特集 心原性ショック診療:エビデンスに基づく最適化への挑戦
❷ 心原性ショックの現実①—機械的循環補助は予後を改善したのだろうか?
大畑 孝憲
1
Takanori OHATA
1
1慶應義塾大学病院 循環器内科
キーワード:
有病率
,
予後のトレンド
,
機械的循環補助
,
MCS
Keyword:
有病率
,
予後のトレンド
,
機械的循環補助
,
MCS
pp.313-317
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170030313
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はじめに
心原性ショックcardiogenic shock(CS)は,心拍出量の低下による全身の低灌流と末梢臓器不全をきたす致命的な病態であり,心停止を経験することも多く,その院内死亡率は約30〜50%1,2)といわれている。また,心筋梗塞患者においてCSを併発すると,長期的な予後もより不良である2,3)ことから,いまだ大きな臨床的な課題となっている。非常に重篤な病態が故に,大規模な無作為化比較試験(RCT)が行いにくい領域ではあるが,機械的循環補助mechanical circulatory support(MCS)の使用法を中心に,治療方針に関する知見が得られつつあり,臨床現場でもCSに対する対応が直近の数年でも劇的に変化してきている。
本稿では,そういった近年の治療技術の進歩があるなかで,実際に患者予後が改善されているのかを疫学的な見地から紐解く。

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