特集 管/ドレーン
第1章 頭部領域の管
2.皮下・硬膜外・スパイナル・脳槽ドレナージ—理解しておくべき脳神経外科のドレナージ
松本 学
1
Gaku MATSUMOTO
1
1山梨県立中央病院 救命救急センター 救急科
pp.535-546
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200294
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脳神経外科手術は他領域と比べやや特殊であり,脳神経外科以外を専門とする医師が周術期管理に悩むことは想像に難くない。ドレーンに関しても同様で,例えば,脳脊髄液排出を目的としたドレナージ回路は,他領域ではほぼ利用されない特殊な構造である。また,開頭術後の皮下や筋層下といった軟部組織のドレナージでも,留意しておかなければならない点がある。神経集中治療が包括的な集中治療の一環として扱われる時代となり,集中治療医は脳神経外科術後の管理についても精通することが求められている。本稿では,脳神経外科領域で扱われるドレナージについて,システムと使用する意図および根拠について解説する。
Summary
●脳神経外科領域で術後に留置するドレーンとして,皮下ドレーン,筋層下ドレーン,硬膜外ドレーンがある。開頭術後は通常閉鎖式ドレナージシステムを用い,導出部は頭髪ラインの内側に位置するように心掛ける。
●待機手術におけるドレーンのルーチン使用については見直す必要がある。
●脳槽ドレーンは,くも膜下出血の開頭術後に留置し,脳血管攣縮を予防・軽減するために血腫排出を行う。
●スパイナルドレナージは,くも膜下出血,水頭症,髄液漏,大動脈手術などで幅広く利用される。ベッドサイドで留置することも可能だが,禁忌事項や合併症を理解しておく必要がある。
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