特集 心原性ショック診療:エビデンスに基づく最適化への挑戦
❸ 心原性ショックの現実②—院内のマネジメントと予後予測
西本 裕二
1
Yuji NISHIMOTO
1
1市立豊中病院 循環器内科
キーワード:
機械的循環補助
,
MCS
,
SCAIショック分類
Keyword:
機械的循環補助
,
MCS
,
SCAIショック分類
pp.319-323
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170030319
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はじめに
心原性ショックに対する院内マネジメントは,ランドマークとなる大規模無作為化比較試験や新しいデバイスの登場,新たな重症度分類の登場などにより,ダイナミックに変化している。
機械的循環補助mecanical circulatory support(MCS)デバイスに関しては,IABP-SHOCK Ⅱ試験で大動脈内バルーンポンプintra-aortic balloon pump(IABP)が心原性ショックの30日死亡率を改善しないことが示された。その後のIMPELLA®(循環補助用心内留置型ポンプカテーテル)の登場と相まって,一部の諸外国では,使用割合に劇的な変化が生じた。特に体外式膜型人工肺venoarterial extracorporeal membrane oxygenation(VA ECMO)を要した患者の院内死亡率は非常に高く,IMPELLA併用により予後が改善することが期待されるが,現時点では支持するデータは乏しい。また,米国のSociety for Cardiovascular Angiography and Interventions(SCAI)から提唱された心原性ショックの重症度分類を用いることで,院内で刻一刻と変わっていく病態を評価することが可能となった。
本稿では,これらの変遷により現在の心原性ショックに対する院内マネジメントと予後予測がどう変わったかを概説する。

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