特集 管/ドレーン
第2章 胸部領域の管
1.胸腔ドレナージ—安全な手技と管理のためのエビデンス
軽米 寿之
1
,
林 淑朗
1,2
Toshiyuki KARUMAI
1
,
Yoshiro HAYASHI
1,2
1鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科
2The University of Queensland, Centre for Clinical Research
pp.547-556
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200295
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胸腔ドレナージは,胸腔から気体および液体を排出することを目的として行われる処置であり,外来から手術室,そしてICUを含むさまざまなセッティングで行われる。その歴史は古く,紀元前5世紀にヒポクラテスが膿胸の患者に開窓術とドレナージを施行したという記録が残っている1)。その後は一部の外科医によってのみ行われる手技であったが,1917年のインフルエンザパンデミックの際,肺炎随伴性胸水に対して胸腔ドレナージを行った報告がなされて以降,一般臨床で広く行われるようになっていった2)。しかし,その長い歴史に反し,胸腔ドレナージの手技や管理に関する疑問に答えを出すことのできる臨床研究は限られているのが現状である。
本稿では,胸腔ドレナージの基本的事項を示すとともに,この治療を巡る議論について文献を吟味しながら紹介していく。
Summary
●胸腔ドレーンの挿入にトロッカーは使用しない。
●ドレーン挿入時の予防的抗菌薬の有効性を示すエビデンスは存在しない。
●ルーチンでの胸腔ドレナージ陰圧吸引は推奨されない。
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