特集 管/ドレーン
第1章 頭部領域の管
1.脳室ドレナージ—頭蓋内の解剖・生理学を理解して適切な管理を行う
横堀 將司
1
Shoji YOKOBORI
1
1日本医科大学大学院医学研究科 救急医学分野
pp.527-533
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200293
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頭蓋内圧intracranial pressure(ICP)管理において,脳室ドレナージは有効な手段である。また,水頭症,脳室内出血に対する緊急的手段として,さらにはICP測定のスタンダードとしても1),脳神経外科の基本的手技の1つである。脳外科周術期管理や神経集中治療を学ぶ者にとって,脳室ドレナージは理解しておくべき管理法であるといえる。しかし,脳脊髄液の産生や循環などの基本的な生理学,適応,合併症を理解しておかないと,脳室ドレナージの管理は難しい。本稿では,脳脊髄液を含む頭蓋内環境の解剖と生理,ドレナージ管理法の基本と注意点などについて概説する。
Summary
●脳室ドレナージは脳外科手術の基本的手技であり,脳外科周術期管理や神経集中治療を学ぶうえで理解しておくべきである。
●脳室ドレナージの適応は,ICP測定を要する疾患やICPコントロールを緊急に必要とする疾患となる。具体的には,頭部外傷,くも膜下出血,小脳出血などの脳卒中,脳脊髄液流出路の閉塞による閉塞性水頭症などである。また,その他の脳外科手術の際,アプローチを容易にするための脳脊髄液排出にも用いられる。
●頭蓋内圧は,脳室ドレナージで測定される脳室内圧が最も正確であるとされている。
●主な合併症に出血性合併症や頭蓋内感染症がある。特に抗凝固薬,抗血小板薬の内服や出血性素因をもつ患者に対しては注意が必要である。
●抜去のタイミングには明確な決まりはないが,1日の脳脊髄液排液量や頭部CT,神経症状の増悪がないことを確認して抜去する。
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