看護管理 28巻12号 (2018年12月)

特集 全員が「リーダーシップを発揮し合う」チーム 相互の影響力が自己効力感と高い成果を導く

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これからのリーダーシップのあり方として,リーダーシップ論「シェアド・リーダーシップ(shared leadership)」が注目されています。公式のリーダー1人だけではなく,そこにいるメンバー全員が自分の特性を活かして影響力を発揮し合い,チームや組織の目標達成を目指す,というものです。

シェアド・リーダーシップが有効な職場の特性として,「曖昧で,創造性や素早さが求められ,かつ専門性の高い職場」が挙げられており,看護の職場こそそのメリットを享受できそうです。また,保田江美氏の研究から,シェアド・リーダーシップが看護の職場のチームワークや新人看護師の成長に寄与することも明らかになっています。

本特集では,このシェアド・リーダーシップを「全員がリーダーシップを発揮し合うチーム」と位置づけ,多角的に詳説するとともに,看護部組織でそれを実現するための方法論を考察します。

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本特集の趣旨は,現在の看護の職場に求められる「リーダーシップ」のありようを,職場やチームのメンバー全員が影響力を発揮し合う「シェアド・リーダーシップ」に求めようというものである。

総論となる本稿と次稿は,看護の職場のチームワーク研究を専門とする保田氏が執筆する。まず本稿では,シェアド・リーダーシップにおいて必要となる「自分なりのリーダーシップ」を考えるため,リーダーシップ論の系譜を概観する。

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看護の職場において仕事の複雑性や組織メンバーの多様性が増す中,全員がリーダーシップを発揮する「シェアド・リーダーシップ」という考え方が,これからを生き抜く術となる可能性がある。本稿では,「シェアド・リーダーシップ」について詳説するとともに,看護の職場で,リーダーシップを全員が発揮することの価値を考える。

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北里大学病院では,「患者中心の医療・共に創りだす医療」が理念に掲げられ,各職種が患者のために何ができるのかを自職種の視点から発言し,行動することが求められてきた。本稿では,組織内に存在する諸課題の改善と付随する意思決定に看護師長が主体的に参画したプロセスを紹介し,看護部組織における「全員が発揮するリーダーシップ」のありようとそれが実現する前提条件を考察する。

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筆者は「異質な人間が助け合う組織」こそチームであるという視点に立ち,看護管理者としての経験を積み重ねてきた。現在は病院の看護部長として「より多くの個人が当事者として参加可能な組織・チームづくり」に取り組み,時代を先取りした創造的な課題解決を目指す。本稿では筆者のこれまでの経験と,関西メディカル病院での実践を通じて,「全員が当事者として参加するチーム」が組織・個人にもたらす価値を考察する。

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筆者は,現場の改善や看護の質の追求は,看護管理者だけが担うものではなく,現場に関わる全てのスタッフが役割を持ちリーダーシップを発揮することが必要と考え,それが実現できる環境づくりを志向している。

本稿では,看護師長として病棟や外来で経験した“全員が発揮するリーダーシップ”の事例を紹介するとともに,看護師長に求められる思考や姿勢を共有する。

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企業を取り巻くめまぐるしく急激な環境変化を背景に,1人のリーダーに頼らない全員が発揮するリーダーシップに注目が集まっている。立教大学経営学部ではリーダーシップ開発の教育と研究を統合し,「全員発揮のリーダーシップ」を教育の中心に据えるかたちで学生へのビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)に取り組み,成果を挙げている。

本対談では組織でも応用可能なBLPの概要を紹介するとともに,いかに看護現場に全員がリーダーシップを発揮する現象をつくり出せるのか,その方法を考察する。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために・23【最終回】

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大学院および領域の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

働きながら修士が取れる大学院を目指す

 東京医療保健大学(以下,本学)は,2005年4月に開学しました。建学の精神である「科学技術に基づく正確な医療保健の学問的教育・研究及び臨床活動」「寛容と温かみのある人間性と生命に対する畏敬の念を尊重する精神」に則り,医療分野において特色ある教育研究を実践することで,時代の求める豊かな人間性と教養を備え,これからの社会が抱えるさまざまな課題に対して,新しい視点から総合的に探求し解決することのできる人材の育成を目的としています。

 大学院は開学3年目の2007年に開設されました。修士課程は看護マネジメント学,感染制御学,医療栄養学,医療保健情報学の4領域でスタートし,その後,助産学,周手術医療安全学,滅菌供給管理学,そして看護ケアに関する看護実践開発学が加わり,現在は8つの専門領域を設置しています。博士課程には感染制御学,周手術医療安全学,看護学の3領域があります。

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現代社会はストレス過多を引き起こしやすい状況があり,入院患者や看護師にもストレスを抱え込んでいる人が増えている。そうしたストレスへの対処法の1つがリラクセーション法である。本稿では,リラクセーション法が必要とされる背景を概観した上で,これを取り入れることによる効果や,具体的な技法を紹介する。

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はじめに

 病院に勤務する看護師にとって,勤務計画表(以下,勤務表)は,大変重要です。毎日の看護の質と量を示す一方で,スタッフナースの生活に直結します。“永遠のベストセラー”ともいわれるゆえんです。私(中村)は,勤続20年のスタッフナースです。ご多分に漏れず,毎月発表される勤務表を心待ちにして,穴があくほど見ます。自身の仕事と生活そのものを表わしているからです。

 勤務表は一般的に,部署の管理者である看護師長が作成しますが,「勤務表作るの大好き! 楽しい!」という看護師長にこれまで出会ったことがありません。また,勤務表作成は,ブラックボックスのように,触れてはいけないことのように扱われており,自分自身に関係することについて意見する機会がないことを,もどかしく思っていました。

 そこで,勤務表作成者の負担内容を明らかにし,さらに勤務表作成者とスタッフナースが互いの勤務表作成に対する認識を共有すれば,歩み寄りが生まれ,相互理解からチームワークが向上し,より働きやすい職場になるのではないかと考え,調査を行うことにしました。初年度には勤務表作成者(以下,作成者)に対する調査を行いました1)。今回は次の段階として,スタッフナースに対する調査を行いましたので,紹介します。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・11

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連載第7回〜第10回では,診療科や病棟の特徴を加味した看護師配置について,具体的な事例をもとに解説してきました。第11回からは,診療報酬改定ごとの看護必要度評価の変更に合わせ,必要看護師数の算定方法や応援体制の構築など,京都大学医学部附属病院で看護師の配置管理をどのように検討し,変更してきたかを解説していきたいと思います。

連載 プログラムデザインで変わるファシリテーション あなたのスキルを現場に活かそう・14【最終回】

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対話の場づくりに必要なプログラムデザインの理念,プロセス,スキルと実践事例を丁寧に紐解いた本連載。最終回は連載全体を振り返り,ファシリテーションやプログラムデザインを看護現場にどのようにいかしていただきたいかを,あらためてお伝えします。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・19【最終回】

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私の看護管理を支えた先輩たちとの出会い

 私は臨床経験も看護師長経験も少なく看護部長になったため,私の看護管理は,知識や経験が浅いことによる自信のない自分との戦いであった。

 看護師長となったのは外来看護部門であった。業務内容もスタッフも分からない部署を管理することになり途方に暮れたが,まずは人間関係を構築しなければ何も始まらない。そのためには現場で一緒に業務を行いスタッフと業務内容を知ることが必要と判断し実行した。コミュニケーションの機会が増えたことで信頼関係ができ,業務内容を把握できたことで課題が抽出できた。外来師長としての5年間に,接遇改善,診療アシスタント導入,入院窓口の設置,紹介窓口の設置,効率的かつ効果的な外来看護師の配置など多くの業務改善ができ,外来の組織風土の変革にもつながった。これが私の看護管理の出発点となっている。

連載 今さら聞けないビジネスフレームワーク・11【最終回】

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ロジカルシンキングとは

 ロジカルシンキングとは,論理的に考えること,物事を整理していく思考のことです。それ自体を目的にするものではなく,手段,手法として身に付けていくスキルです。

 看護業務はもともと,論理的に考えて組み立てていくものですので,皆さんも日々の業務の中で,無意識に,あるいは感覚的にロジカルシンキングを行っています。しかし,患者さんの全身状態を観察し,家族背景や本人の意思や思いを考慮しながら,ゴールを設定して看護計画を立てる,その一連の流れの中で,「全体を俯瞰して,一旦ゼロベースで最適な解を求める」というロジカルシンキングの基本的な考え方に立ち返ることを意識していかないと,いつしか従前の判断を繰り返すのみになっていってしまいます。それは大きな見落としや部分最適につながることもありますし,一貫した説明ができなくなってしまう可能性もあります。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・8

思い込みを探る 清水 広久
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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読書の皆さんとともに追い求めていきます。

今回は,人間関係を難しくしている要因の1つ「思い込み(ビリーフ・固定概念)」について深く掘り下げます。

連載 コーチングと組織の関係性システムから考えるコミュニケーション 1人ひとりがイキイキ活きるチーム創り・11

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 2018年1月からこの連載を始め,気がつけば師走。あっという間の1年でした。

 前回(10月号)は,チーム力を発揮する上で大切な「安心して話せるチームになる」ことについてお伝えしました。実践いただいていますでしょうか。活発に意見交換できるチームにはなったけれど,合意点が見いだせないなど,新たなお悩みはありませんか? 各メンバーの声は,まるっきり違う考えのように聞こえていても,実はその根っこにある想いは,意外と一緒だったりします。どこまでいっても平行線な議論の様相を,今回は関係性システムの3つの現実レベルという視点から考えます。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・11

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 前回(10月号)に続き,晴子さんと夫の物語です。

 緩和ケアと精神腫瘍科に通院しながら自宅で過ごした日々の後に迎えた最期の日と,その後は?

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・149

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 私の住むマンションは,オーナーさんが樹木好きで,周囲や中庭の駐車場に実にさまざまな種類の木々を植えている。10年余り前にマンションを建てたとき,それらの木々のほとんどをわざわざ信州から取り寄せたのだという。

 私も妻も木が好きで,1年ほど前まで長年住んでいた杉並区内の山小屋風の借家も,その辺りが武蔵野だった頃からのクヌギ,スダジイ,ケヤキの大木が並んでいたので,《ここで暮らそう》と決めたほどだった。しかも,私たちは大木だけでは飽き足らず,植木屋さんに頼んで,空いているところにシャラノキ(ナツツバキ),サンザシ,キンカン,ヒメリンゴ,ブルーベリーなどの木々を植えてもらい,季節の変化を楽しんだ。

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変革に対する期待と「ワクワク感」を与えてくれる1冊

 本書は,日々悩み,臨床で起きる問題と格闘する看護管理者に「看護現場での変革成功への道しるべ」としてぜひお薦めしたい。「問題解決のために現場を変えなければいけないけれど,何から手をつけたらよいのか分からない」—そんなとき本書を手にすれば,問題山積で混沌とした状況の向こう側に光明を見出せることは間違いない。

 著者は大学院で看護管理学を専攻し,公立病院の看護師長として数々の変革を成し遂げた経験を持つ。また,大学教員としてさまざまな看護管理者教育にも携わってきた。米国ハーバードビジネススクール教授(現・名誉教授)のジョン・P・コッターの影響を受けた著者は,「リーダーシップ=変革」と捉えており,看護管理者教育においてもコッターの企業変革の理論を取り入れた。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

看護管理 第28巻 総目次

基本情報

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看護管理
28巻12号 (2018年12月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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