看護管理 28巻11号 (2018年11月)

特集 1冊まるごと特集!これからの入退院支援・在宅移行支援 ケアプロセスを切れ目なくつなぎ,意思決定を支える

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2018年の診療報酬改定では,「入退院支援」が改定項目のトップに掲げられました。入院前からの退院支援を評価するもので,病院看護部の推進力に期待が寄せられています。

本特集では,この領域の第一人者である宇都宮宏子氏をゲストエディターに迎え,入退院支援・在宅移行支援の取り組みを大きく前に進めるための考え方と実践を紹介します。

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2018年診療報酬・介護報酬同時改定は,「生活を支える医療」の理念のもと,患者にとって必要な医療・看護・介護と情報が,切れ目なくつながる仕組みづくりを目指した。退院支援をさらに前進させる「入院前からの退院支援」も今改定の理念を体現する評価項目で,看護師の実践に期待が集まる。

座談会では,宇都宮氏の司会のもと,今改定に関わった厚生労働省の迫井氏と,看護部長として入退院支援の体制構築に取り組んだ栁澤氏にご出席いただき,病院看護部が入退院支援や外来機能強化,真の意味での地域連携をどのように推進していくべきか,その方向性を共有する。

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2000年の介護保険制度開始以降,退院支援に関する診療報酬制度は変遷を遂げてきた。当初は在院日数短縮を推進する目的が色濃かったが,地域包括ケアの時代を迎えた2018年の同時改定では「生活を支える」目的が重視され,入院前からの支援に評価がなされた。

本稿では,看護師による退院支援という領域の先駆者である筆者が,これまでを振り返るとともに,今後の退院支援で求められる「ケアプロセスマネジメント」と「意思決定支援」について解説する。

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本稿では前稿で述べられたこれからの退院支援で重要になる「ケアプロセスマネジメント」の実践方法を,宇都宮氏による「退院支援の3段階プロセス」をフレームにして解説する。後半では,2018年の同時改定の内容を踏まえた最新の病院と在宅支援チームとの連携の考え方について述べる。

PART2 本人・家族の意思に基づく入退院支援

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厚生労働省では,おおむね5年ごとに「人生の最終段階における医療」に関する検討会を実施してきた。2018年3月には,2007年に策定したガイドラインの改訂版にあたる「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を公表した。本稿では,この改訂の概要と,医療・ケアチームや国民に普及するための取り組みを紹介する。

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地域包括ケア時代の入退院支援や在宅移行支援において,患者の意思決定支援は不可欠であり,その普及は喫緊の課題となっている。国立長寿医療研究センターにおいてアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の実践や普及に取り組む立場から,今後の方向性として,市民へのアプローチ,医療ケア提供者への教育や組織的導入,多職種がACPをつなぐ仕組みづくりの必要性について考察する。

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「京都の街であなたらしく生きるを支える 京都ACP(アドバンス・ケア・プランニング)研究会」は,宇都宮宏子氏と任和子氏が中心となり,2014年に発足した。研究会では,看護師を中心とする医療者が意思決定支援に関わった事例を「時間軸」に沿って振り返る。その後,職種や組織を異にする参加者が意見を交換する。そこで得られた気づきや学びが,地域や医療者にもたらしたものとは—研究会の主要メンバーに語っていただいた。

PART3 患者像・疾患別の入退院支援・在宅移行支援—ケアをつなぎ,意思決定を支える

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兵庫県立姫路循環器病センターは,心不全患者の地域包括ケアにおいて,高度専門病院として役割を担う。本稿では,「心不全患者への地域包括ケア」「専門チーム活動としての心不全緩和ケアラウンド」「心不全患者への入退院支援・在宅移行支援」の3点から,同センターの実践を紹介する。

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がん患者の治療や療養の場として「外来」や「在宅」の重要性が増しつつある中,今後の病院におけるがん患者の支援では,入院前から退院後までがん患者の病期の進展に寄り添い,地域と連携してケアをつなぎ,意思決定を支える取り組みが不可欠となっていく。それを実現しているKKR札幌医療センター患者サポートセンターの実践について,看護師としての支援事例,多職種による「ACPシート」の活用を含めて報告する。

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在院日数が短縮する中,急性期病院での入院中に経口摂取への移行が完結しないケースが増加している。函館五稜郭病院では,入院予約の段階で患者から栄養に関する情報を事前に聴取したり,入院直後に独自システムにより栄養リスクを判定するなど,栄養管理が必要な患者を早期から把握し,地域・在宅との調整に役立てている。本稿では,同院による栄養管理が必要な患者への機能的かつ効率的な入退院支援・在宅移行支援について述べる。

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豊郷病院は,認知症疾患医療センターと認知症初期集中支援チームの機能を持ち,認知症を持つ患者の地域・在宅への移行を,生活調整の視点を重視して支援している。また,看護師を配置した在宅療養サポートセンター「とよサポ」の関わりで,外来通院中の患者の療養生活が改善され,認知症の進行が緩徐になるケースもあるという。本稿では,前方病院や地域・在宅と連携し,認知症を持つ人が安全に安心して生活できる地域づくりについて報告する。

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医療的ケア児が増加する中,新生児・小児への入退院支援・在宅移行支援のニーズも増している。済生会宇都宮病院では,9年前から院内の組織体制や地域との連携体制を整え,できるだけ家族の不安や負担を解消できるような新生児・小児への入退院支援・在宅移行支援を行っている。本稿では,同院における児と家族を在宅につなぐための手厚い支援について,宇都宮宏子氏の「退院支援の3段階プロセス」に沿って述べる。

PART4 実践報告:これからの入退院支援・在宅移行支援に必要な機能とマネジメント

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2018年の診療報酬改定では,「入院前からの退院支援」に対する評価が新設された。その基盤となるPFM(Patient Flow Management)運用の先駆的施設である東京慈恵会医科大学葛飾医療センター。2008年から運用を開始し,看護部が中核的役割を担っている。本稿では,患者の療養の質と経営の質の双方に貢献する,PFM運用10年の軌跡と成果を共有する。

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2018年の診療報酬改定では,周術期等の口腔機能管理の充実が図られることになり,医科歯科連携の推進が1つの柱になった。東北大学病院では,この流れに先駆け2017年9月から入退院センターと周術期口腔支援センターの連携により,手術予定患者に入院前の歯科受診を促進している。医療の質向上と経営貢献に資するこの取り組みを紹介する。

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春日井市民病院ではジェネラリストの経験と技術を入院患者のケアプロセスマネジメントに活かすため,2012年に院内認定制度「クリニカルリーダーナース(CLN)」を立ち上げた。現在48名が活動し在宅移行やそれに伴う意思決定支援に力を発揮している。本稿ではCLNの活動の実際を紹介する。

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常滑市民病院は,市民と医療者,行政が協働して赤字病院から再生した。以来,“地域のための病院”を追求し続けている。本稿では,さらに地域包括ケアを前に進めるための看護師長の市役所高齢介護課への出向や,地域包括ケア病棟のマネジメント,同病棟における退院支援について報告する。

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武蔵野赤十字病院は三次救急を提供する高度急性期病院でありながら,20年以上前から地域連携・地域包括ケアに力を入れてきた。本稿では在院日数が短い同院が意思決定支援の場として重視している丁寧な「退院前多職種カンファレンス」の実際と,それに伴う退院時共同指導料の算定状況について述べる。

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鳥取大学医学部附属病院では退院支援に力を入れるとともに,教育プログラムを通じて,在宅支援・訪問看護能力の強化を図ってきた。その結果,病院看護師の訪問看護ステーションへの出向や,退院前後の積極的な在宅訪問・同行訪問に結び付き,患者・家族の退院支援への満足と在宅療養への安心感を導いている。本稿ではこの一連の成果について述べる。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために・22

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大学院および領域の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

三重県立看護大学および大学院のあゆみ

 三重県立看護大学(以下,本学)は,三重県立看護短期大学を前身として,1997年4月に看護系の単科大学として開学しました。開学の目的は,県の長期総合計画実現の1つである「健康で生きがいのある福祉社会づくり」の施策推進を図るため,その担い手である看護職者の確保と質の高い看護専門職者を育成することでした。

 開学と同時に,大学の付属機関として地域交流研究センター(現在は地域交流センター)を設置し,公立大学として重要な役割の1つである地域貢献機能を果たしています。県内の医療関係者ばかりでなく,県民の医療健康福祉に貢献するため,さまざまな支援プログラムや講師派遣,市民公開講座などを開催しています。2009年に独立行政法人化して公立大学法人三重県立看護大学となり,2017年度に開学20周年を迎えました。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
28巻11号 (2018年11月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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