看護管理 26巻9号 (2016年9月)

特集 個々の強みを活かして,役割に応じた成果を達成する コンピテンシーを基盤にしたクリニカルラダーの開発 北里大学病院・東病院の取り組み

  • 文献概要を表示

1995年,北里大学病院・東病院看護部は全国に先駆けてクリニカルラダーの開発・導入を行った。それから20年が経ち,この度,クリニカルラダーver.2としてコンピテンシーをベースにした大幅な改定を行った。新たなラダーでは,スタッフ各自の強みを活かして,職域や役割に応じた成果を生み出せる組織を目指した。多くの中間管理者らが参画した開発プロセスは,組織開発と活性化にもつながった。

本特集では新たなラダーの全体像と数年間にわたる開発プロセス,そして現段階での成果を紹介する。

  • 文献概要を表示

特集のはじめに,2010〜2015年度にかけて開発され,現在運用されている北里大学病院・東病院看護部のクリニカルラダーver.2の特色と概要を共有したい。

なお,本イントロダクションは本誌2015年7月号特集「看護管理者のコンピテンシー—広がる取り組みと進化」に掲載した別府千恵氏による「北里大学病院における看護管理者のコンピテンシー—クリニカルラダーと連動させたキャリアパスの開発」を一部抜粋,再構成したものである。

  • 文献概要を表示

北里大学病院・東病院看護部では1996年にクリニカルラダーを,2000年にマネジメントラダーを開発し,運用を続けてきた。このほど,1人ひとりが強みを活かして成果を生み出すことができる組織を目指して,コンピテンシー理論を取り入れたクリニカルラダーver.2として改定を行った。本稿では同院のクリニカルラダーに対する基本的考え方を紹介するとともに,組織開発にもつながった改定の概略を振り返る。

  • 文献概要を表示

北里大学病院・東病院看護部では2016年に,20年にわたり運用してきたクリニカルラダーの改定を行った。クリニカルラダーとコンピテンシーの理論を融合させた取り組みは,改定という言葉を超えて新たな開発を行ったと言っても過言ではない。本稿では,5年にわたる組織的な取り組みをⅠ〜Ⅳ期に分けて時系列で振り返る。

  • 文献概要を表示

5年間をかけて取り組んだ北里大学病院・東病院看護部のクリニカルラダーver.2作成では,プロジェクトⅡ期からⅢ期(2012〜2014年度)の活動として,4つの職域別のコンピテンシー開発に取り組んだ。そこでは成果責任とキャリアパスの視点が重視された。本稿ではワーキンググループの4人のメンバーから,それぞれの開発プロセスと決定したコアコンピテンシーなどについて述べる。

  • 文献概要を表示

新たに開発された北里大学病院・東病院看護部のクリニカルラダーver.2は,コンピテンシーとクリニカルラダーのマトリクスによる評価構造となっていることから,紙ベースではなくITを用いたシステム構築が不可欠であった。筆者は看護部のシステム担当者として看護部とシステム開発業者をつなぎ,「個人のキャリア情報の一元化」と,「多元的な評価の簡便な実施」とをかなえるシステムを構築した。本稿ではその取り組みを振り返るとともに,評価システムの概要を紹介する。

  • 文献概要を表示

はじめに

 2010年度に文部科学省補助金事業「看護師の人材養成システムの確立プログラム」で選定された,北里大学病院看護部と北里大学看護学部(以下,本学)の協働による取り組み「協働を基盤とした高度実践者・教育者育成」に,本学の担当者として関わった。

 このプログラムは大学病院と本学が協働して取り組んだもので,❶教育プログラムの開発,❷教育指導者の養成,❸横断的人事システムの構築,❹キャリアパスの構築,という4つの計画を柱とした。

 今回北里大学病院・東病院看護部によって開発されたクリニカルラダーver.2は,❹のキャリアパス構築の取り組みの一環である。私自身は,看護学部の卒業生の多くが今後進んでいくであろうジェネラリストのクリニカルラダーの開発に携わった。

  • 文献概要を表示

北里大学病院・東病院看護部で新たに開発したクリニカルラダーver.2は,クリニカルラダーとコンピテンシーのマトリクス構造に変更されるとともに,3種類の評価方法が導入された。この効果的運用に向けて組織内に浸透させるための方策が検討された結果,主任を軸に据えて浸透を図ることとなった。本稿では主任を対象にした研修企画と学習内容について紹介する。

巻頭 うちの師長会・主任会 学習する組織をめざして・33

  • 文献概要を表示

スーパーケアミックス病院として,急性期から在宅までの切れ目のない看護を提供し,地域住民の健康を支える

公立病院がない愛知県安城市(人口約19万人)において,八千代病院は創立以来100年にわたり,診療・医療機能を拡大しながら地域の基幹病院の役割を果たしてきた。2009年には愛知県で初めて社会医療法人として認可され,急性期から在宅までの公益性の高い医療を提供している。本稿では地域包括ケアを体現する同院の活動を各部門の看護管理者が紹介する。

  • 文献概要を表示

兵庫医科大学病院看護部では今年度から,それまでのクリニカルラダーシステムを見直した,新たなキャリア開発システムの運用を開始した。人事考課制度との連動や,コンピテンシー開発のための教育研修制度を特徴とするこの新たなシステムについて,見直しまでの経緯や,システムの特徴および内容,導入初期の反響などについて紹介する。

  • 文献概要を表示

岐阜県南部の羽島市で,地域の中核病院として急性期から在宅に至るまで地域の医療に貢献している羽島市民病院。看護の質向上のため,多くの施設で行われている看護研究に関する研修であるが,同院の看護研究研修では,研究の実施を必須としない体制をとっている。その特徴的な研修の実際と,現時点での成果,今後の課題を報告していただく。

連載 看護管理者としてよりよく生きるために 倫理課題とどう向き合うか・16【最終回】

  • 文献概要を表示

 この連載も最終回を迎えることになった。初回に書いたように,「難しいと考えられがちな倫理課題を整理し,看護管理者がそれらに向き合うときの自分の傾向を知り,よりよく向き合えるようサポートすること」が,連載で目指してきたことである。果たして,読者の皆さんをサポートするに至ったであろうか。

 締めくくりに示すのは,これまでの連載の内容を統合した「看護管理者の倫理的意思決定プロセスモデル」(後述)である。モデルのタイトルには「看護管理者の」という条件がついているが,たとえば経営学者,出版社の担当者,友人など,看護師でない人や管理者でない人たちからも使えるという評価をいただいている。かなり普遍的なモデルとして使ってもらえそうではあるが,まずは本誌の読者に説明をさせていただこう。

連載 ポジティブ・マネジメントの航海術—組織変革の波を越える・15

  • 文献概要を表示

 前回は,在宅療養移行支援の体制構築をめざした荻窪病院の取り組みにおいて,思うように取り組みが進展しない状況が生まれた背景について考察しました。

 そこで明らかになったことは,計画推進者が,関わり合うメンバーの行動「だけ」を変えようとしても,うまくいかないということでした。地域包括ケアシステムを支える「分散=共有型の『多重化する活動の場』」を生み出すためには,まず最初に計画推進者自身が大きく意識を変え,関わり合うメンバーとの関係性を変えることに目を向ける必要があったのです。

連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・3

  • 文献概要を表示

 「アメリカって,都市よりも自然がすごい!」と,久しぶりのアメリカでまた痛感した。北カリフォルニア・レッドウッドの森の中にあるリトリートセンターで行われたジョアンナ・メイシーの「アクティブホープ(希望を生きる)」という合宿と,ニューメキシコ州の広大な大地サンタフェ近郊でウパヤZEN(禅)センターを統括しているジョアン・ハリファックス老師を山の中に訪ねた。

  • 文献概要を表示

高度実践看護師としてのCNS

 医療組織における「看護力」または「看護実践のレベル」を高めるために重要な役割を果たしているのがクリニカルナーススペシャリスト(Clinical Nurse Specialist:CNS)と呼ばれるナースたちです。CNSは大学院の看護学修士課程または看護学臨床博士課程(Doctor of Nursing Practice:DNP)で学び,臨床専門領域の認定を受けた看護師です。私の住むイリノイ州ではCNSに高度実践看護師(Advanced Practice Nurse:APN)という看護師免許を交付しています註)

 米国では州法により看護師免許制度が規定されているため,高度実践看護師(州によりAPNまたはAdvanced Practice Registered Nurse:APRNと呼称)の免許制度は州によって違いがありますが,イリノイ州ではCNSも申請をして免許交付を受けられれば,診断と治療,そして薬剤の処方ができるAPNとして臨床実践ができます。また,APNというライセンスによって,CNSという名称も保護されています(APNやAPRNについては別の機会に詳しくお話しします)。

連載 エビデンスと実践をつなぐ 量的研究論文の読み方・使い方・13【最終回】

連載のまとめ 加藤 憲司
  • 文献概要を表示

連載で一番伝えたかったこと

 およそ1年にわたって続いた連載も,今回が最終回となりました。本連載では,量的研究の文献の読み方に関して,「何を読むか(第2〜4回)」「どう読むか(第5〜10回)」「どう活かすか(第11,12回)」の3つのパートに分けてそれぞれ述べてきました。

 連載全体を通じて一番お伝えしたかったことは,第2回で触れたように「問いの精神を持とう」という主張です。「問いの精神」を持つことは,EBPの全てのプロセスの大前提であり,それらを貫く基本的な構えです。個人レベルにせよ,組織レベルにせよ,「問いの精神」を醸成・涵養するマインド,文化,環境があってこそ,エビデンスを実践に活かすことが実現でき,かつ持続できると言えます1)

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・124

  • 文献概要を表示

 戦争や災害・事故といった多くの人のいのちを奪う事件の恐ろしさや犠牲者の家族の悲しみを,経験したことのない人が深く理解したり共感したりするのは,かなり難しい。これは大人でも子どもでも同じだ。たとえ大人が当事者に対し,「大変でしたね」「辛いですね」と,理解したつもりで同情したとしても,いつの日か自分がその身になると,《やっぱり自分が当事者になると,その辛さはまるで違う》と言うようになる。

 では,当事者が経験のない人に理解を求めるのは意味のないことなのかと言うと,決してそうではない。大事なことは,未経験者が当事者と同じレベルの感情を抱くことではなく,当事者の辛さや悲しみの10分の1でも理解しようとするこころを持つことであり,当事者のために何かできることはないかと寄り添う気持ちを持つことだと,私は思っている。そういう寄り添う姿勢こそ,「こんなことは2度とあってはいけない」という当事者の訴えを支える人のつながりをつくり,広く社会に問題意識を広げていく力になるのだ。

  • 文献概要を表示

「教えること」が楽しみになる,指導に広がりを持たせてくれる1冊

指導経験のある者にとっても,意味づけが起こる本

 「教えることは学ぶこと」である。新人看護師の成長を支援する役割を担うことは,支援をする者が成長する機会であり,看護管理者はそのことを期待して,指導する役割を任せる。初めて新人看護師の指導に向き合うことによって,これまでの手立てでは対応できない状況に出合うことになる。この経験が教える者にとって「一皮むける経験」となり,成長を促すことになる。

 「教えること」は,学習者である新人看護師から始まることが大切である。とは言っても,「教えること」にまつわる悩みや迷いは果てしない。ともすれば,教える機会が,教える者にとっての成長の機会ではなく,苦痛の経験になってしまうこともある。

--------------------

今月の新刊紹介

INFORMATION

バックナンバーのご案内

基本情報

09171355.26.9.jpg
看護管理
26巻9号 (2016年9月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

文献閲覧数ランキング(
11月12日~11月18日
)