作業療法ジャーナル 54巻7号 (2020年7月)

特集 これからの作業療法士を育てる臨床教育

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特集にあたって

<教育側と臨床側,両者の視点から描くビジョン>

 作業療法領域では,養成校指定規則やガイドラインの改正に伴い,臨床実習に関心が集まっている.「本校ではクリニカル・クラークシップ(CCS)方式による臨床実習を取り入れています」と言うと理解者と,やや否定的な立場に分かれた時期から,一歩も二歩も前進した印象をもつ.だからこそ,次を目指すための企画を立てた.

 さて,ページをめくっていただくと,普段の体裁と異なる点に気づくだろうか.今回の特集は,身体・精神科・発達・地域の各領域とMTDLPを活用した臨床実習それぞれで,教育側と臨床側が協働で執筆している.“教育側と臨床側が相互理解の上に立ち,社会が必要とするこれからのOTを育てる臨床教育”について論じている.企画者たちには,これからこの職域に携わる人たちが,わが国の保健医療福祉教育において,人が自立し生活していくうえで欠かすことのできない作業の視点を十分に活かして活躍してほしい,そのための教育の進化が必要だという思いがある.

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Key Questions

Q1:私たちの社会に求められる作業療法士の教育キーワードは何か?

Q2:学内教育と臨床教育を連動させるためのポイントは?

Q3:養成校と実習施設の連携を進めるためのポイントは?

はじめに:作業に焦点を当てた実践を学ばせ,経験させる,これからのOTを育てる教育

1.「作業療法士」という専門職の養成教育が目指すもの

 一昨年,英国の作業療法教育事情を視察するためQueen Margaret University(QMU)を訪ねた際,社会の財産となる一人の専門職(OT)を育成することの価値を非常に高く捉えている姿勢に感銘を受けた1).また,その際,教育キーワードとしてsocial inclusionやhealth promotion等が挙げられていた.背景に,英国ではOTが疾病管理から生活支援まで幅広くかかわる2)事情があると思われる.

 それに対し,私たちの教育キーワードは何だろうか.筆者は「作業に焦点を当てた実践」,「自立支援」,「多職種連携」を入れたいと思う.これらはそれぞれ,わが国での取り組みとして強調されている.日本作業療法士協会による作業療法の定義改定〔2018年(平成30年)〕3),地域包括ケアにおける自立支援の促進4),そして医療・介護の一体的な改革における多職種連携の推進5)がある.これからのOTには,これらのキーワードで表現されるOTに求められる役割の本質を,専門職としての見方をもって実践できる人となってもらいたい.

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Key Questions

Q1:臨床教育者に求められるスキルとは?

Q2:臨床実習で求められる視点を学内教育からつなげるには?

Q3:これからの身体領域作業療法実習に求められることとは?

養成校の側から描くビジョン

 後半の臨床側で小岩氏も触れているように,身体領域の作業療法教育(学内教育も臨床実習も)は変わらなくてはならない.筆者が,ある回復期リハ病院のOTたちと1年間,継続的な研修を行って,その研修に参加したOTが気づいたこと1)は,「対象者理解を深める」,「対象者の個別性に応じた作業を活用する」,「退院後の生活をより具体的にイメージする」,「社会的交流の機会を検討する」といったことだった.これは,生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)が身体領域作業療法に投げかけたことと共通する.また,筆者は以前,約3年間地域ケア会議の外部助言者として,対象者の主疾患の経過,合併症,身体能力や認知精神機能,生活の様子,生活環境,社会交流状況等を把握し,本人と家族が解決したい生活課題を推察して助言していた.その場で資料を読み込み,端的に助言を行うことが求められるが,そのときは,知識を示すよりも根拠に基づく考え方(専門性に基づく視点)が重要だと感じた.

 最近の教科書2)に,身体障害作業療法には比較的ゆっくりとプログラムを考えられる「マネジメント型プロセス」と,状況に応じて即座に介入内容を決める「エンゲージメント型プロセス」とがあると示されている.そしてOTは,これらを対象者のニーズやT(時間)P(場所)O(場合)に合わせて効果的に使い分ける必要があると書かれている.身体機能への治療実技ばかりに意識がいくような教え方をやめて,こうした実践の考え方を,対象者への作業療法を通して,学生と話し合いながら伝えて育てていかなくてはならない.以下に具体的なポイントを提示する.

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Key Questions

Q1:精神科領域の臨床実習でCCSが必要な理由は?

Q2:症例レポートの作成を課さない理由は?

Q3:チェックリストはどのように活用されるのか?

はじめに

 精神科では短期入院と地域移行が進み,現在「精神障害にも対応する地域包括ケアシステムの構築」が目指されている1).これまでOTの多くは入院患者を主な対象に作業療法を提供してきたが,入院患者は医療を利用している精神疾患患者全体の1割にも満たない1).入院の短期化が進み,地域移行,通院医療,訪問,地域での生活・就労支援等が求められているが,これらに携わるOTの割合は依然として少ない.多様化する支援ニーズに応えていくためには,日常業務に対するOT自身の認識(パターナリズムやセクショナリズム)を変えるとともに,養成教育と臨床実習のあり方も変えていかなければならない.本稿では信州大学医学部保健学科における精神障害領域の臨床教育に関する取り組みと,実習施設である千曲荘病院における臨床実習指導の概要を紹介する.

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Key Questions

Q1:臨床以外で学生にクリニカル・クラークシップを教えるには?

Q2:小児領域の作業療法で教えるべきことは?

Q3:実習指導者に求められる技量とは?

学生サークルから後輩育成を学ぶ

はじめに

 児童福祉法の改正に伴って,小児領域のOTの働く場も大きく変わってきた.児童発達支援にかかわる分野での作業療法への期待が増えており,小児領域のOTの育成が急務となっている.一方で小児領域の実習地確保は,他の領域と比べて少ないのが現状である.今回,学生サークル活動を活用し,小児領域の臨床教育の充足を図った学内教育での工夫を述べていきたい.

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Key Questions

Q1:MTDLPを活用した臨床実習の利点とは?

Q2:MTDLPを活用した臨床実習の進め方は?

Q3:MTDLPを活用した臨床実習の学生評価とは?

はじめに

 5歳の女の子から回答者が叱られる教養系テレビ番組が人気を博している.その番組では,「今こそすべての日本国民に問います」というフレーズが頻繁に流れる.作業療法の世界でも,指定規則が改正され臨床実習が変容していく.将来臨床実習は,従来の患者担当制から作業療法参加型の形態に発展する.さらに,臨床実習指導者(以下,指導者)が指導する学生数も2対1程度が望ましいと示されている1).今こそ臨床実習のあり方を指導者と養成校とが問い直し,OT育成の財産となる方策を編み出す時期に来ている.

 本稿では,生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)を活用した指導者と養成校との連携について4つのポイント(表 1)に沿って紹介する.構成は,谷川が教員の立場から表 1の1,2を紹介し,3,4は都甲による指導者の立場からの実践報告としている.

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Key Questions

Q1:教育側が地域実習に求める経験や学びの内容は?

Q2:幅広い作業療法を実感してもらい,作業療法の視野を広げてもらうにはどうしたらよいか?

Q3:地域実習での学びを効果的に支援する方法とは?

養成校の側から描くビジョン

 筆者は現在,地域領域臨床実習(以下,地域実習)に関して2点,気がかりなことがある.1点目は2020年(令和2年)4月に施行された新しい「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」における地域実習の位置づけ,2点目は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,今年度地域実習の実施がかなり厳しい状況となっていることである.

 1点目について,新しい指定規則では通所リハ施設または訪問リハ施設で1単位以上の実習を行うことが定められた1).ただ,見学・評価・総合臨床実習の区別はあるが,これらの施設における実習の規定は特にない.一般には,これらの施設で行う実習を「地域実習」と称することが多い.しかし,これらの施設に限定してしまって,作業療法臨床実習における本来的な地域実習が行えるのか,危惧している.

 2点目について,今年度,学外実習の中止は全国の養成校に広がっている.あらためて,地域実習で学生に学ばせたい内容,学習目標は何かを明確にしておかなくてはならない.学外実習が困難となった場合に,代替手段である学内実習で何を行うべきか,ゼロからの問いに答えなくてはならない.この2点を考えながら以下に述べる.

わたしの大切な作業・第27回

料理の時間 ドミニク チェン
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 3月から本格的に自宅での巣篭もり生活が始まり、生活が一変した。それまでは仕事の合間に片付けるものであった家事が、生活の中心になった。今は、家事の合間に仕事をするという意識で生活している。

 我が家の場合では、妻が昼食と夕食を毎日手作りしてくれている。料理好きなこともあるが、それでもリモートワークで仕事をしながら、毎日の献立を考え、材料を調達し、調理をするというのはどう考えても大変だ。なので、料理が妻ほど上手くないわたしは専ら、その他の雑用を率先して行っている。もう二カ月ほど、食器の洗い物と片付け、ゴミ出し、服の洗濯と乾燥、猫の餌やりとトイレ掃除、そして娘の宿題の面倒などなどを担当しているが、不思議と嫌にはなっていない。なぜなら、物理的な打ち合わせや会議から解放されたことで、わたしの仕事は大幅に効率が上がり、仕事に由来する疲れとストレスが低減したからだと思う。

提言

気がつけば……30年 竹内 さをり
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●これまでを振り返って

 私が作業療法士免許を取得して,今年でちょうど30年になる.今回の機会をいただくまで,これまで自分自身のOTとしての経験を振り返ったことがないことに気づいた.そこで,今回,これまでの30年を振り返り,そこから得られた事柄を伝えたいと思う.

 OTになって最初の6年は病院で勤務した.その後10年間,行政機関で地域支援に従事した.そして現在,教育機関に勤務して14年目を迎える.これら職歴をたどると,さまざまな領域で対象者の支援に携わることができたことを実感する.この経験を振り返り,特に印象に残っていることは,地域でかかわった多くの方々から学んだことといえる.

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第67回

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心の育ちと環境

 脳腫瘍で幼子になった義妹との会話.

「担当のPTとOTとどっちが好き?」

連載 続々・歴史と遊ぶ「ハンセン病と隔離政策」・第4回

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国際動向は知っていて日本は日本

 1900年(明治33年),わが国で最初の本格的なハンセン病患者の一斉調査を実施し,1902年(明治35年)に帝国議会で「癩病患者取締ニ関スル建議案」を可決し,1907年(明治40年)に全国の浮浪ハンセン病患者の一掃を目指した法律第11号「癩予防ニ関スル件」を制定して療養所の開設と収容政策を展開した.収容施設としての療養所は全国5地区に分けて設置され,いずれの療養所も初代所長は警察官であった.さらに国は,困窮したハンセン病患者の犯罪的行動と伝染性をマスメディアと一体になって強調し,1916年(大正5年)には法律第11号の一部を改正して,入所者に対する懲戒検束権を療養所長に与え,悪質患者を収容する監房を設置することとした.

 幕末から明治維新へと,脱アジアと富国強兵を目指す神国意識は根強く定着したようである.したがって,世界の趨勢はともかく,独自性の主張,血統重視の思想はハンセン病者の絶対隔離と完全消滅に向けた政策を生み出していく.国際会議情報の事実誤認ではなく,確信に基づく行動であり,太平洋戦争での敗戦後も反省の余地はありえなかったようである.明治維新を経験した知識人は,正義を振りかざすことの空しさを時勢として納得し,情報発信はするが,それ以上の行動は控える習性を身につけたかのごとくである.

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姿勢評価を食事場面だけで完結してはいけない

 連載第2回『「食事場面を見に行くだけで大丈夫?」リハビリ室だから行える食事姿勢の評価』1)で説明した通り,食事時の効果的な姿勢介入をするには実際の食事場面を見に行くだけでは不十分です.なぜなら,姿勢が崩れていたとしても,それが不可逆的な変形に起因するものであり,その人にとっては「最良姿勢」かもしれないからです.

 リハビリ室で十分な姿勢評価をしていない場合や,姿勢評価が専門ではない介助者の方々は,患者さんにとっての「最良姿勢」がわからないために,左右対称でアライメントの整った一般的なよい姿勢と患者さんの姿勢を比較し,「姿勢が崩れている!」と判断してしまいます.OTはリハビリ室で,患者さん個人にとっての「最良姿勢」を確認し,その姿勢と実際の食事姿勢を比較するようにしましょう.

連載 脳損傷者への就労支援—対象者のデータベース化と多職種による支援の試み・第7回

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はじめに

 回復期病棟においてPTは,脳損傷者の麻痺や痙縮等の身体機能障害の回復や,ベッドから起きる,椅子から立ち上がる,病院の中を歩く等の基本動作能力の回復を図り,日常生活の自立度を向上させることで,自宅退院や社会復帰に向けたリハ医療の役割を担っている.退院時に身体機能や基本動作能力に制限や障害が残存する脳損傷者が復職・就労を希望することがある一方で,PTが支援にかかわる方法は体系立てられておらず,今後の学術的な進捗が期待される.当院では,2017年(平成29年)より医師,OTを中心に多職種で編成される就労支援チームを立ち上げた.本稿では,PTが就労支援チームの一員として脳損傷者の復職・就労支援へかかわってきた経験を基に報告する.

連載 老いを育む・第2回

鍛えると育む 柏木 哲夫
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 前回は医学的にみた「老い」について述べました.「老い」には,見た目にわかる老いと,わからない老いがあります.医学的にみた老いには,たとえば,便秘になりやすいとか,老人性の口の渇き等がありますが,これらは本人が自覚するだけで他人にはわかりません.「主観的老い」といえるかもしれません.それに対して「客観的老い」があります.人が見て,この人は老人とわかる老いです.白髪,皺,老人斑等がそうです.その中で「隠せる老い」と「隠せない老い」があります.白髪は染めれば黒くなりますが,皺や老人斑は形成手術でもしなければ隠せません.皺は近くで見なければわかりませんが,遠くからでも「あの人は老人だ」とわかることがあります.老人独特の猫背と,つま先が上がらず歩幅が狭い「すり足」歩きです.

 私自身が自分の老いをはっきりと自覚したのは脚の弱りです.10年ほど前,70歳ころからです.階段を降りるとき,あと数段というところで,脚がもつれて倒れそうになるのです.脚を鍛えなければと思いました.鍛えるというより,脚の力を育むといったほうが正確かもしれません.

連載 作業療法を深める ㊸アンガーマネジメント1

怒りという感情を学ぶ 田辺 有理子
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アンガーマネジメントとは

 皆さんは,勢いに任せて強い口調で怒ってしまい,「言い過ぎた」と後味の悪い思いをした経験はないだろうか.また,内心では怒っていたのに何も言えずに,あのとき怒っておけばよかったと悔やんだことはないだろうか.人は,喜怒哀楽をはじめ,さまざまな感情をもっている.その中でも「怒り」は,自分の感情であるにもかかわらず扱いにくいことがある.

 本稿では2回にわたって「アンガーマネジメント」を紹介する.「アンガー」は「怒り」という意味で,アンガーマネジメントは自分の怒りの感情とうまく付き合っていくための心理トレーニングである.1970年代から米国で発展してきたといわれており,日本でも育児や教育,企業ではハラスメントの防止,人材育成における叱り方等に活用が広がりつつある.

連載 認知症と仏教・第7回

社会的動物,人間 日髙 明
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認定調査で取り繕う

 認知症高齢者と一緒に過ごしていると,「そんなことできるの!?」とびっくりさせられることがたびたびある.

 昨年末,入居者のキシタさん(82歳,男性)は認定調査を受けた.キシタさんの前に,調査員が座る.身体の動きを確認した後,調査員は今の季節を尋ねた.キシタさんは,寒暖の感覚が乏しい.時季に応じて衣服を調整することができず,真夏に厚着をしたりする.季節もわからないはずだ.そう思われたが,キシタさんは調査員の表情を読んでいた.「今は,そうですねぇ,春,夏……,う〜ん,秋,冬……」というように順番に季節を言葉にしていきながら,調査員の顔をうかがう.何度か繰り返して,結果,「冬ですかな」と答えた.メンタリスト顔負けのコミュニケーション術ではないか.続いて「今は何月でしょうか」と訊かれると,キシタさんはまた「う〜ん」と唸りながら,顔は正面を向いたまま視線だけをすばやく周囲にめぐらせる.手がかりを探しているのだ.キシタさんに対面する調査員の後ろの壁には,カレンダーが架けてあった.1枚に2カ月分の日付けが記載されている大きなカレンダーだ.それを見つけて,何食わぬ顔で言う.「11月か,12月でしたなぁ」.こういう具合に,キシタさんは記憶や感覚の欠如を器用に補おうとしていた.

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 新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々へ,お悔み申し上げますとともに,闘病中の方々には,心よりお見舞い申し上げます.また,最前線で医療・介護に従事される皆様には,心より感謝いたします.

 このたび弊誌では,これまで経験したことのないこの感染症と作業療法がどのように向き合うのか考え,また将来への備えとして現状での対策を記録しておくため,主に作業療法における新型コロナウイルス感染症対策や課題等についてアンケートを実施いたしました.今後の対策のため,参考にしていただければ幸いです.

(2020年5月22日現在,編集室)

海外事情 特別編 海外における福祉用具支援サービス・第4回

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OTの役割と機能

 今回は,グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(以下,英国)における福祉用具支援サービスを紹介する.

 わが国で福祉用具支援サービスのあり方,支援の進め方を検討するにあたり,英国の取り組みで参考になるのは,北欧と同様に,OTが支援サービスの策定の中心を担っていることである.図 11)は福祉用具を供給する際のOTの役割と機能を示したものである.一般的にはOTは利用者への直接的支援のみにかかわることが多いが,福祉用具支援サービスの供給システム全般にかかわっている点が重要である.この概念図は,世界各国のOTに共通した理想的な供給システムのあり方ではあるが,英国がそのあり方を最も具現化している国ではないかと捉えている.

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Abstract:本研究では地域在住高齢者を独居世帯群(32名),夫婦のみ世帯群(74名),子と同居世帯群(80名)の世帯構造別に分類し,心身機能および生活機能を比較検討した.結果,独居世帯群は夫婦のみ世帯群に比して,握力,運動能力,認知機能低下,抑うつ傾向が認められた.さらに下位項目では,運動能力の「買い物を持ち帰る」に「できない」の回答が,抑うつ評価の「生活に満足しているか」,「幸福だと思うか」,「活力にあふれているか」の項に「いいえ」の回答が独居世帯群に多く確認された.本研究の独居世帯群は他世帯群に比べ高齢であったが,バランス,歩行能力等の身体機能および生活機能は比較的に保たれていた.独居世帯群は他世帯群に比して,同居人からの支援が受けにくい状況にある.そのため独居生活を継続させるためには,心身機能の低下を予防する個別のプログラム介入や,生活機能維持を図るための買い物等の生活支援,地域活動への参加支援が必要である.

昭和の暮らし・第43回

婚礼道具の値段 市橋 芳則
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 婚礼道具,婚礼家具等,結婚して新しい生活を始めるに際して購入する家具や電化製品は時代とともに変わってきた.

 たとえば,「長持」と呼ばれる布団等を収納する1畳分くらいの箱形家具がある.明治時代から昭和初期にかけては,農家では必需品だったが,戦後はあまり使われなくなった.わが家の2階には今でもこの長持があるが,子どものころは棺桶に見えて怖かった.

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目次

表紙のことば/今月の作品

9号予告

研究助成テーマ募集

第55巻表紙作品募集

学会・研修会案内

編集後記 西出 康晴
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 COVID-19によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げます.また,罹患された方々およびそのご家族,関係者の皆様,感染拡大により日常生活に影響を受けられているすべての皆様に心よりお見舞い申し上げます.1日も早い終息を祈っております.

 先ほど,全国すべての地域において緊急事態宣言が解除されました.長い自粛期間でした.しかしながら,感染症拡大前の状態にすぐに戻ることは難しく,出口戦略としても言われている通り,新しい生活様式を取り入れながら,ウイルスとの共生をしていくことになります.これまでの何気ないことをすべて変えていく必要がありそうです.すべての人にとって新たなことへのチャレンジになりそうです.

基本情報

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作業療法ジャーナル
54巻7号 (2020年7月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

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