連載 食べる楽しみを支える・第2回
「車いすでの食事はダメ?」自力摂取の食事姿勢
佐藤 彰紘
1
Akihiro Sato
1
1目白大学
pp.958-962
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201418
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はじめに
車いすに乗ったまま食事をとることはよくない,このことは多くのOTが知っています.これはなぜでしょうか.それは食べにくいからです.あたり前だと思うかもしれませんが,食事への作業療法介入では,自力摂取の「できる-できない」が注目されやすく,「食べやすさ-食べにくさ」という視点はおろそかにされる傾向があります.
食べにくさは本人の主観的な問題だけではなく,多くの問題を引き起こします.たとえば食べにくい食事動作では過剰な筋活動が生じやすく,それが正常な嚥下運動を妨げることや,疲労を招き,食事中の傾眠が生じる等の問題です.つまり,食事の食べにくさを改善することは,本人が主観的に食べやすいと感じるだけではなく,誤嚥等のリスクを下げることも期待できるのです.
食べにくさを引き起こす主要な要因の一つが食事姿勢です.本稿では自力摂取の際に食べやすい食事姿勢について,一般的な食事姿勢を例に解説します.基本的なことが多く,ご存知のことが多いかもしれません.たとえば「食事のときは足を床に着ける」.それでは,なぜ足を床に着けるのでしょう.この「なぜ?」に答えられなければ,現場で看護師や介護士の方々を納得させることはできません.OTのADL介入は常に,看護師や介護士等,介助者への広がりを意識した介入が必要です.
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