胃と腸 33巻3号 (1998年2月)

特集 消化管悪性リンパ腫1998

序説

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はじめに

 消化管悪性リンパ腫は節外性リンパ腫の中で最も頻度の高いもので,胃に限ってもWaldeyer輪に次ぐ節外性リンパ腫の好発部位である.ほとんどの消化管原発悪性リンパ腫は非ホジキンリンパ腫であり,大部分はB細胞性で大細胞型が多く,T細胞性やホジキン病はまれな疾患である.消化管では胃に最も頻度が高いが,地理病理学的に分布に偏りがあることや,わが国ではATLL(adult T-cell leukemia/lymphoma)による大腸病変がしばしばみられ,multiple lymphomatous polyposisとの鑑別などが問題になることが知られている.「胃と腸」でも過去に何回か消化管悪性リンパ腫をテーマとして取り上げてきているが,最も大きな最近の話題は,何と言ってもlsaacson PGによるmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)とそこから発生するMALTリンパ腫の概念の提唱である.

 悪性リンパ腫の病理診断は,従来,細胞形態ならびに増殖様式により分類され,数種類の組織分類があった.近年,リンパ球系細胞の分化と形質発現の研究の進展につれて,リンパ腫の分類は変遷し,形態のみならず,免疫学,遺伝子学的見地から腫瘍細胞の形質発現を重視し,正常対応細胞の分化の系列に従って分類する新たな分類が導入された.その結果,通常の組織・細胞所見に加え,免疫組織化学,分子生物学的検索が必須となっている.消化管,なかんずく胃においては,Isaacson PGのMALTリンパ腫の概念の導入により,従来わが国でreactive lymphoreticular hyperplasia(RLH)と呼ばれ良性反応性病変として扱われてきた疾患の多くが,この範疇に入ることが明らかになってきている.最近の悪性リンパ腫分類Revised European-American Classification of Lymphoid Neoplasms(REAL分類)では,低悪性度MALTリンパ腫はextranodal marginal zone B-cell lymphomaとして明記されるに至っている.この病変はリンパ節ではmonocytoid B-celllymphomaに対応するもので,リンパ濾胞のmarginal zoneのB細胞に由来する腫瘍として位置づけられている.

主題 Ⅰ.総論

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要旨 悪性リンパ腫の病理組織分類の変遷については1940年以前の流れと1940年以後の流れに分けて述べた.1940年以後の流れではGall-Mallory分類(1942),Jackson-Parker分類(1944),Rappaport分類(1966),Rye分類(1966),Lukes-Butler分類(1966),Lukes-Collins分類(1974,1978),Lymphoma-Leukemia Study Group(LSG)分類(1979),Working Formulation(WF)分類(1982),updated Kiel分類(1988,1992),Revised European-American Classification of Lymphoid Neoplasms(REAL)分類(1994),新World Health Organization(WHO)分類(1998公刊予定)を取り上げ,Hodgkin病と非Hodgkinリンパ腫に大別して,それぞれの分類の内容,背景あるいは問題点について述べた.

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要旨 近年における節外性リンパ腫全般に関する知見の深化はMALTリンパ腫概念の導入に始まると言っても過言ではない.しかしながら,消化管原発例に限っても肉眼および組織所見にかなりの幅,spectrumが存在する.また,胃におけるHelicobacter pylori感染など病因との関連を考慮すれば,“MALT”型リンパ増殖性疾患には真の意味での境界領域から低悪性度,更に高悪性度のものまで極めて多彩な病変が包含される.日常診療において,これらの間の鑑別は治療法の選択と関連して常に問題となるが,現状では多分に人為的なものと成らざるを得ないのも事実である.本稿ではこれらの問題の解説に留意して胃および腸原発例におけるMALTリンパ腫の病理学的特徴について述べた.

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要旨 “RLH”と呼ばれるリンパ濾胞過形成を伴う小型リンパ球増生状態は単一の疾患ではない.筆者らは1992年,これを,粘膜内におけるTリンパ球とBリンパ球の分布状態から“BLH”(benign lymphoid hyperplasia)と“ALH”(atypical lymphoid hyperplasia)に亜分類できることを示した.後者はBリンパ球のmonotonousな増殖が特徴的であり,今日のMALTリンパ腫(low-grade)に含まれる病態である.しかし,ALH=MALTリンパ腫ではない.すなわちMALTリンパ腫の側からみれば,従来のRLH的なものと従来からLSG分類でdiffuse,medium-sized cell typeとされてきたものがある.パラフィンブロックからのサンプルを用いての,免疫グロブリン(IgH)遺伝子再構成の検索では,monoclonaiityはBLHにはなく(0/10),ALHの2例(2/12)に認められた.筆者らのALHは全例(12例)がリンパ節転移がなく予後良好である.昨今H.pylori除菌療法によるMALTリンパ腫治療が注目されているが,本療法が指示されるとすればBLHを含めて従来のRLH的なものに限られるべきであろう.ALHあるいはMALTリンパ腫の生検診断の要領についても述べた.

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要旨 消化管悪性リンパ腫の中でMALTリンパ腫は最近確立した疾患概念で,発生頻度も高い.そこでMALTリンパ腫を中心として鑑別すべき疾患を検討した.MALTリンパ腫は反応性リンパ組織増生,他の低悪性度リンパ腫との鑑別を要することが多く,形成されるlymphoepithelial lesionによっては癌との鑑別も問題になる.これはときに高悪性度化することがあるが,低悪性度MALTリンパ腫のプログレッションにはかなりの時間経過が必要であると考えられた.大型リンパ腫細胞の増生より成る大細胞型リンパ腫は,癌,悪性黒色腫などとの鑑別が問題になり,若年例ではBurkittリンパ腫との鑑別も重要である.

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要旨 悪性リンパ腫の新しい組織分類であるREAL分類を用いて,自験例と文献を参照しながら,消化管悪性リンパ腫の臓器別特性を下記のごとく検討した.①発生頻度:胃・大腸では全悪性腫瘍の1~3%,小腸では約30~40%,②各臓器での好発部位:胃の前庭部と移行帯部,回腸末梢部,腸T細胞リンパ腫は回腸から空腸に及ぶ多発性の潰瘍性病変,IPSIDでは上部空腸・十二指腸に,大腸では盲腸,上行結腸と直腸,③発生原因・誘因:ウイルスや細菌.特に,Helicobacter pyloriは胃MALTリンパ腫の発生・進展と関連している,④肉眼形態の相違:胃で表面型が多く,腸では隆起型とびまん浸潤型が多い.胃MALTリンパ腫は腸のそれに比べて多発する.腸でもT細胞リンパ腫は高率に多発する,⑤組織型別頻度:胃ではMALTリンパ腫が70%,次いで,びまん性大細胞Bリンパ腫が多く,T細胞リンパ腫はみられなかった.腸では,直腸にMALTリンパ腫が多く,回腸末梢部から盲腸部ではびまん性大細胞Bリンパ腫が主体であった.また,胃と異なり,T細胞リンパ腫が7%にみられた.更に,今回の検討で興味あることには,腸リンパ腫にT・B両細胞の形質を持ったびまん性大細胞Bリンパ腫が8%にみられることである.これら臓器別特性の差に応じた治療法の選択についても考察した.

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要旨 臨床における胃low-grade MALTリンパ腫の遺伝子学的検討の意義は,1つは確定診断に際しての補助診断であり,もう1つはHelicobacter pylori除菌効果の予測および除菌後の取り扱いの判定上の補助的役割と考えられる.現時点ではMALTリンパ腫に特異的な遺伝子変化は少ないが,bcl-2蛋白の発現は悪性度の増加に伴い低下し,p53はbcl-2とは逆に増加する点から悪性度の評価に,また免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成を用いた単クローン性の証明は,除菌後の経過観察の指標となる可能性が示唆される.高頻度にみられることが報告されているtrisomy3およびt(11;18)などの染色体異常も発生を考えるうえで興味深く,今後の進展が望まれる.

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要旨 消化管は節外性リンパ腫の好発部位であるが,節性リンパ腫に比し限局性の病変が多いため,わが国では手術療法が治療の第一選択とされ,全身性リンパ腫とは区別して取り扱われている.しかし,low-grade MALTリンパ腫のような組織学的に低悪性度と考えられる消化管悪性リンパ腫であっても,病期の進行している場合が少なからず(10%程度)認められ,また,節性悪性リンパ腫においても胃をはじめとする消化管に浸潤を有する場合が20%以上を占めるなど,診断学的にも消化管悪性リンパ腫と全身性悪性リンパ腫とのかかわりを正しく把握することが極めて重要な課題となっている.一方,治療学的な立場からみると,最近の多剤併用療法は進行期の全身性悪性リンパ腫をも治癒を可能としており,これに放射線による局所療法を組み合わせた集学的治療法が節性リンパ腫のかなりの部分に対する標準的治療法として確立している.これらの治療法はそのまま消化管悪性リンパ腫の治療にも応用可能であり,欧米では手術療法よりも非手術的治療法が標準的治療とすることで広くコンセンサスが得られつつある.一般的に節外性リンパ腫では原発部位による生物学的特性や臨床像に特徴があるため,全身性悪性リンパ腫に対応する診断・治療に関する知見に加えて,臓器固有の診断技術や治療を駆使することが必要であり,放射線科・消化器科・血液化学療法科・病理医などによる各科連携の総合的なチーム医療が必須である.

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要旨 胃悪性リンパ腫の診断,治療のうえで中心的存在となったMALTリンパ腫のX線診断について手術症例27例(びまん,大細胞型悪性リンパ腫併存例2例を含む)を対象として報告した.症例は男性13例,女性14例,平均年齢53.4歳であった.X線所見は,①多発潰瘍,びらん,②表面陥凹,③顆粒状粘膜,④肥厚粘膜ひだ,⑤腫瘤形成で,多くの症例で,これらの所見が混在していた.潰瘍,びらん,表面陥凹など陥凹性の病変は早期胃癌Ⅱc型と類似し,鑑別を要するが,その多発性,陥凹辺縁,陥凹面の平滑さなどの点で鑑別が可能である.顆粒状粘膜は粘膜固有層の顆粒状変化,腫瘤形成は粘膜に関連した腫瘤の存在部位を反映している.また,肥厚粘膜ひだは粘膜自体の肥厚で,伸展性が認められた.リンパ腫の診断では組織診断が優先しがちであるが,高度悪性リンパ腫との鑑別,移行例への疑問,経過観察例の観察のポイントなど,これらの点を見極めるうえで,上記のX線所見を中心としたX線診断は欠かせない.

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要旨 表層型胃悪性リンパ腫の多彩なX線像を8型に分類し,症例を中心に提示した.主に背景粘膜との関係から,各X線型の出現状況を分析したところ,背景粘膜領域との間に一定の関係がみられた.すなわち各粘膜領域によって出現するX線型がある程度決まってくるということである.このことを念頭に置きながら所見を読影すると胃悪性リンパ腫の早期診断に役立つものと思う.

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要旨 胃悪性リンパ腫38例,reactive lymphoreticular hyperplasia(RLH)5例,内視鏡的にリンパ腫を疑われた非リンパ腫4例の内視鏡所見を見直した.胃悪性リンパ腫は,表層型15例,潰瘍型14例,隆起型6例,巨大皺襞型3例に分類された.潰瘍型リンパ腫は85%が類円形の平皿状潰瘍であり,皺襞集中を伴う場合は潰瘍辺縁部に集中点があった.15例がmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫であり,敷石粘膜型5例,Ⅱc類似型7例,粘膜下腫瘍型3例に分類された.RLHの2例は自然消失し,他の3例は病理組織学的には濾胞性胃炎,内視鏡的には潰瘍型リンパ腫様の潰瘍であった.MALTリンパ腫やRLHに伴う巨大潰瘍は,比較的短期間に治癒するが,MALTリンパ腫では粘膜病変が残存した.内視鏡所見だけでは胃悪性リンパ腫と鑑別困難な良性疾患が存在するため,生検,粘膜切除による病理検索,遺伝子検索が必要である.

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要旨 胃MALTリンパ腫は胃原発悪性リンパ腫のほとんどのものを包括する.本研究では低悪性度MALTリンパ腫と高悪性度MALTリンパ腫の内視鏡像,超音波内視鏡像(以下EUS)を深達度,組織構成と対比して検討した.内視鏡上,低悪性度MALTリンパ腫は,凹凸顆粒状粘膜,びらんなどのreactive lymphoreticular hyperplasia(以下RLH)との共通所見のうえにⅡc様陥凹,易出血性,平盤状隆起などの所見が加わり多彩な像を示し,深達度の深いものにはひだの肥厚,硬化像が認められた.高悪性度MALTリンパ腫のうち,低悪性成分の併存を認めるものは凹凸顆粒状粘膜などの表層変化を伴った粘膜下腫瘤様隆起が,また高悪性成分のみから成るリンパ腫は表層変化のない決潰型の腫瘤がそれぞれ特徴的であった.なお,褪色調粘膜変化は治療後の退縮変化として注目すべきと考えられた.EUS上,深達度の浅い低悪性度MALTリンパ腫は非腫瘍性RLHと共通して表層性肥厚型を示し,深達度が深いものは特徴的な深部浸潤型を示した.活動性潰瘍はEUS判定を困難にし,潰瘍治癒後の再検査が必要と考えられた.一方,高悪性度MALTリンパ腫はEUS上腫瘤形成型を示したが,低悪性度成分併存群と非併存群の比較では後者のほうで深達度が深く大きい傾向が認められた.EUSは内視鏡の補助診断として深達度と発育進展状態を把握するうえで有用であり,治療方針決定や経過観察において必須の検査と考えられる.

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要旨 過去に原発性胃悪性リンパ腫またはreactive lymphoid hyperplasiaと診断された切除標本126例を対象に,肉眼型・組織型・深達度の見直し診断を行い,114例のリンパ節郭清症例の転移の有無を検討した.また,Helicobacter pylori(H.pylori)除菌による組織学的変化についても検討を加えた.胃悪性リンパ腫全体の肉眼型頻度は,表層型44%,潰瘍型14%,隆起型21%,決潰型19%,巨大皺襞型2%であった.表層型,巨大皺襞型ではlow-grade lymphoma,MALT type(LG-MALT)の組織像を呈することが多く,隆起型,決潰型では,large-cell lymphomaを主体とするものが大半であった.進行癌様病変の周囲に表層型を伴うものは,その表層部分ではLG-MALTの組織像を呈していた.次に病変の深達度は,表層型,潰瘍型,隆起型,決潰型の順に深い傾向があり,LG-MALTを主体とするものはsmまでの浸潤にとどまることが多かった.リンパ節転移は全体の46%に認められ,組織型が大細胞型優位,深い深達度,肉眼型が表層型以外を呈することが危険因子であった.またLG-MALT単独では22%にリンパ節転移を認め,その特徴的肉眼所見は表層型に伴う隆起成分の出現で,その部分ではsmにmassiveに浸潤し,逆に隆起成分がないものでは粘膜筋板下に少量浸潤しているにすぎなかった.H.piylori除菌による組織学的変化は,粘膜内における腺管密度の減少,限局性の線維化,浮腫による問質の増大であった.粘膜下層以下では,このような所見は認められず,腫瘍細胞が残存することが多かった.以上の結果から,胃悪性リンパ腫の生検診断の際に留意すべき点について考察した.

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要旨 low-grade胃MALTリンパ腫のHelicobacter pylori(H.pylori)除菌による組織像の変化について検討を行い,以下のような結果を得た.low-grade MALTリンパ腫でもH.pylori除菌で腫瘍組織が消失しない症例が存在し,腫瘍細胞消失群と非消失群間に核形態上で差が認められた.また腫瘍細胞非消失群4例中2例はH.pylori除菌で腫瘍細胞が多く残存していたが,残り2例は少量残存するのみであり,その同定にT・B細胞免疫染色が有用であった.胃MALTリンパ腫のH.pylori除菌による非腫瘍組織部分の変化はH.pylori胃炎の除菌の際の所見と同様で,腫瘍細胞消失群と非消失群で差は認められなかった.

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要旨 小腸原発悪性リンパ腫83例の臨床病理学的検討を行った.組織型は22例(27%)がlow-grade B細胞性(MALT12例,immunoproliferative small intestinal disease 2例,mantle cell 2例,follicle center 6例),48例(58%)がhigh-grade B細胞性(MALT 20例,diffuse large 16例,Burkitt 8例,lymphoblastic 4例),12例(14%)がT細胞性,1例はT/B細胞型の判定不能であった.肉眼型は限局隆起型(19例),限局潰瘍型(45例),MLP型(4例),びまん浸潤型(6例),混合型(9例)に分類でき,X線所見と同様に,組織型とある程度相関がみられた.小腸リンパ腫の予後(5年,10年生存率55%,47%)は胃リンパ腫より不良で,log-rank testでは,大腸や胃への浸潤,T/B細胞型,組織grade,MALT由来の有無,肉眼形態,病期,発熱,穿孔,リンパ濾胞性ポリポーシス,治癒切除の有無が有意な予後因子であった.

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要旨 大腸の悪性リンパ腫は回盲部に多く,次いで直腸に病変を認めた.悪性リンパ腫の分類は腫瘤型,潰瘍型(周堤を認めるもの),潰瘍型(周堤が目立たないもの),びまん浸潤型に分けた.これらの肉眼型を基にして,X線所見・内視鏡所見について述べた.悪性リンパ腫の特徴として隆起の成分では粘膜下腫瘤の所見があり,大きな潰瘍でも腸壁の変形は軽度である.悪性リンパ腫に対して化学療法を行い,腫瘍は縮小したのでこれらの変化をX線で見た.化学療法が著効になると,治癒後では病変を指摘できないことがあった.悪性リンパ腫との鑑別を要する疾患についても言及した.

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要旨 原発性大腸B細胞性リンパ腫24例について,臨床病理学的立場から検討した.24例中22例がIsaacsonの分類によるMALT型リンパ腫であった.22例の平均年齢は68歳で,男女比は1:1.14例が低悪性度群で,8例が高悪性度群であった.前者群のうち9例は直腸(7例が女性),下行結腸に,後者群のうち5例は盲腸,上行結腸に発生しており,発生部位による悪性度の差がうかがえた.肉眼像では,低悪性度群の11例が最大腫瘍径7.5cm以下で,腫瘤形成型であり,高悪性度群は7例が7.5cm以上で,潰瘍形成型であった.組織像では,sm例は2例,ほか20例は全層浸潤性であった.胃MALTリンパ腫と比較すると,表層拡大型がなく,上皮内リンパ球浸潤は4例,高度粘膜浸潤は7例であり,大腸MALT型リンパ腫において粘膜下層以下での浸潤,増殖が目立った.腫瘍細胞は,全例CD5,bcl-1は陰性,両群の過半数はbcl-2が陽性であった.本腫瘍の5年生存率は低悪性度群で100%,高悪性度群で28%と前者に有意(p<0.05)に良好であった.

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要旨 消化管悪性リンパ腫の類縁疾患として,形質細胞腫,リンパ性白血病,成人T細胞白血病(ATL)の消化管浸潤病変について述べた.形質細胞腫はわが国の報告例における各消化管病変の肉眼所見の特徴について述べ,特に,胃形質細胞腫の早期例の代表的な肉眼形態である表層浸潤型について強調した.また,形質細胞腫の類縁疾患である原発性マクログロブリン血症の大腸病変の自験例を呈示した.リンパ性白血病は剖検例における消化管浸潤病変の特徴について述べ,わが国の報告例における消化管病変の画像所見の特徴についても述べた.また,胃に浸潤のみられた急性リンパ性白血病の自験例を呈示した.ATLは自験例18例の消化管浸潤病変の画像所見を検討し,消化管病変の肉眼型を分類し,症例を呈示し,その特徴について述べた.ATLの消化管浸潤は広範囲に及び,多彩な肉眼像がみられた.他の全身性悪性リンパ腫と比べ,びまん浸潤型病変が多くみられた.びまん浸潤型病変の診断には,二重造影による微細診断と内視鏡検査では色素撒布の併用が有用と考えられた.また,未治療で切除されたATLの小腸,大腸病変を画像所見および組織学的に検討し,画像所見と密接に関係する腫瘍細胞の浸潤・発育進展様式について考察した.

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要旨 本稿では,消化管リンパ腫のstagingを行う場合に出発点となる腹部CTを中心として,画像検査のコツや読影上の盲点を解説した.画像によるリンパ節腫大の判定はもっぱらその大きさによって行われているが,sizeのみを基準とした画像診断ではunder stagingは避けられない.腸間膜や横隔膜上など,“小さくともリンパ腫の浸潤を考えたほうが実際的なリンパ節”を知っておく必要がある.一方,リンパ節ばかりに注目していると節外臓器浸潤を見落とすことになる.小腸壁肥厚,肝・腎の小結節,肺内リンパ節,脊柱管内の病変などは特に見過ごされる.身体のどこかにリンパ腫が発見された症例では,他にも病変があるだろうと疑うことがstagingの第一歩である.

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要旨 消化管悪性リンパ腫は,近年,診断能の向上とともに増加しつつある疾患である.しかし,その絶対数が少ないため,治療方針についてはいまだ統一した見解が得られていない.わが国では,外科的治療がその主体を成してきている.今回,この外科的治療について予後の面から検討した.胃については,リンパ節転移がなく,漿膜浸潤陰性症例では,手術単独でも治癒可能である.腸についても,リンパ節転移が予後を左右するが,手術成績は決して良好ではない.したがって,たとえ外科的治療によって根治が得られても,症例によっては,補助療法が必要となる.また,今後の検討によっては,外科治療の占める位置付けも変わる可能性もある.

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要旨 胃悪性リンパ腫における化学療法の現況と治療効果の形態学的評価を行った.B細胞非Hodgkinリンパ腫が主体のため,化学療法に対する感受性が高く,多剤併用療法の治療成績は年々向上している.化学療法により再切除が可能となったり,非切除例でも長期生存が得られることがある.術前化学療法が行われた14例のうち7例50%では切除標本において腫瘍消失を認め,最長15年の生存を得ている.更に高齢者や手術拒否の非切除例における完全寛解率は13例中12例92.3%と高く,切除優先であったⅠ・Ⅱ期においても化学療法による完全寛解の可能性が高い.なお化学療法奏効例では,EUSを含む内視鏡像で腫瘍の縮小や病変の平坦瘢痕化など形態像の変化が容易に観察され,これらの変化は効果判定と予後に相関した.

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要旨 Helicobacter pylori(以下H.pylori)陽性のlow-grade MALTリンパ腫(L-MALT)におけるH.pylori除菌療法後の組織学的改善率は約70%であり,有用な治療法と考えられる.しかし,除菌療法施行前には十分なstaging,informed consentが,除菌療法後の改善率においても短期間ごとの慎重な経過観察が必要である.除菌療法に奏効しないものやH.pylori陰性のL-MALTにおいては,内視鏡的あるいは組織学的増悪傾向が認められない場合は現時点では経過観察せざるを得ない.high-gradeリンパ腫では除菌療法以外の治療法が選択されるべきである.胃悪性リンパ腫の鑑別診断,治療方針決定および評価のためのmolecular levelでのマーカーの検索・解明が急務である.

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はじめに

 胃悪性リンパ腫をMALTの概念に基づいて細分類し,臨床病理学的,病理組織学的に検討した1)

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RLHとは

 RLHとは“reactive lymphoreticular hyperplasia”(中村ら1),1966)あるいは“reactive lymphoid hyperplasia”(Smith & Helwig2),1958)の略であり,ほぼ同義の語として“lymphoid hyperplasia”(Faris & Saltzstein3),1964)や“pseudolymphoma”Jacobs4),1963)がある.当時の悪性リンパ腫の亜分類は,リンパ肉腫(lymphosarcoma),細網肉腫(reticulum cell sarcoma)およびポジキン肉腫(Hodgkin's sarcoma)に分類されていたが,それらとの鑑別が困難な病変および良性病変を想定した概念であり,胃原発の悪性リンパ腫として治療された症例のうち予後良好な一群に対して提唱された疾患概念である.すなわち,いわゆるRLHの症例は,この概念が提唱される以前には悪性リンパ腫として認識され治療されていたということである.

RLHからMALTリンパ腫へ

 これに対して当時Valdes-Dapenaら5)は,この予後良好な一群の病態と高悪性度のリンパ腫との間には組織像に重複する部分があることから,両者には漸次移行があり,良性反応性病変(いわゆるRLH)と腫瘍性病変(悪性リンパ腫)との間に明確な境界線を引けない部分があることを示唆している.

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はじめに

 Helicobacter pylori(以下H.pylori)は1983年に報告され,胃粘膜に感染する螺旋型をした桿菌である1).これまでの研究により,この菌の感染は胃炎,胃潰瘍,十二指腸潰瘍を起こし,胃癌の発症率を高めることが報告されてきた.

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 lymphoepithelial lesion(LEL)は,唾液腺の病変1)で初めて用いられた所見である.これは,Isaacsonら2)によって,mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫の診断に重要な組織所見であると主張され,消化管,肺,甲状腺などのMALTリンパ腫にも認められる.

 LEL3)とは,腫瘍性の小型~中型リンパ球が上皮細胞間に集簇性に浸潤している組織像である(Fig.1).このBリンパ球は,円形~卵円形の核や核周に切れ込みを認める核(cleaved nucleus)と,非腫瘍性成熟リンパ球に比べて広く明るい細胞質を有し,細胞異型度は低い.LELは,低異型度のMALTリンパ腫にのみ認められる所見で,大型リンパ球から成る高異型度のリンパ腫ではみられない.腫瘍性Bリンパ球の浸潤が高度になると,上皮細胞の変性や腺管構造の破壊がみられ,やがてLELは消失する.

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はじめに

 低悪性度胃MALTリンパ腫の病変は,粘膜および粘膜下組織にとどまるのが通常であり,従来のreactive lymphoid hyperplasia(RLH)を包含する概念として広く捉えるべきであろう.そして当然ながら,早期冒癌と同じく,多くの場合,所属リンパ節に異常は認められない.腫瘤ないし周堤を伴う潰瘍を形成する進行型胃悪性リンパ腫において所属リンパ節が侵される頻度は60~70%である1).高度のリンパ節病変を伴うリンパ腫の場合は,腫瘍が消化管原発であるか否かの判断が求められることがある.一方,進行型胃悪性リンパ腫を組織学的にていねいに観察すると,病巣周辺部粘膜においてMALTリンパ腫と同様の低悪性度病変にしばしば遭遇する.こうした病変は,低悪性度リンパ腫の悪性転化によって形成された“高悪性度MALTリンパ腫”とみなすことが可能である2)

 逆に,所属リンパ節病変を伴う胃原発性悪性リンパ腫は,すなわち“高悪性度MALTリンパ腫”なのであろうか.答えはNoである.その理由を少し考えてみたい.

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はじめに

 Isaacsonらが1983年から主張してきた胃MALTリンパ腫の概念は現在広く受け入れられてきた.その後,MALTリンパ腫とHelicobacter pylori(以下H.pylori)の関連が提唱され,最近の報告では低異型度MALTリンパ腫はH.pylori除菌療法で消失したとの報告も相次ぎ,その診断基準や治療法選択において多少混乱を生じてきている.また,低異型度MALTリンパ腫には高異型度リンパ腫が併存することも知られているが,それらにおいてはH.pylori除菌療法は無効のようであり,予後も不良である.したがって,低異型度MALTリンパ腫と高異型度MALTリンパ腫を鑑別することが臨床的には重要となってくる.

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はじめに

 Isaacsonら1)が1983年にmucosa-associated lymphoid tissue type lymphoma(MALTリンパ腫)という疾患概念を提唱して以来,本疾患の研究・理解は飛躍的に進歩した.そしてこの疾患名の定着に伴ってreactive lymphoreticular hyperplasia(RLH)なる病名は死語になりつつある.なぜならば,現在の悪性腫瘍というものの総論的理解が,細胞形態学的に異型性のある細胞のクローナルな増殖であるからである,そうした中で,免疫グロブリン重鎖(lgH)遺伝子の再構成の検索はMALTリンパ腫のみならずB細胞性リンパ腫の診断には欠くことのできないものとなっている.

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大腸のリンパ組織

大腸には,胃・小腸とともにGALT(gut-associated lymphoid tissue)と呼ばれる局所免疫リンパ装置がある.大腸粘膜には,生理的状態でも孤立リンパ小節に類似したリンパ球の小集簇巣が,1cm2当たり平均15(結腸)~24.5個(直腸)存在する1).これらリンパ球小集簇巣と同部を被覆するM細胞(microfold cell)(腸内抗原をリンパ球小集簇巣に提示するために特殊に分化した円柱上皮細胞)は,併せてlymphoglandular complexと呼ばれ,大腸の局所粘膜免疫機構を担っている2)

 正常の大腸では,lymphoglandular complexの約1%に胚中心形成がみられるにすぎない2).しかし,潰瘍性大腸炎やCrohn病などの炎症性腸疾患や腸管感染では,胚中心形成を伴うリンパ濾胞の過形成が起きる2)3).これら自己抗原刺激や細菌性外来刺激により惹起される胚中心を伴うlymphoglandular complexは,MALTリンパ腫の発生に不可欠4)な後天性MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)に相当するものと考えられる.

ノート 臨床編

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“まず手術”という考え方

 胃悪性リンパ腫に対する標準的治療法は確立されておらず,手術,化学療法,放射線療法が,単独または併用で行われている.わが国では外科的切除が行われることが多いが,欧米諸国では化学療法(±照射)を第一選択とする流れもあり,ドイツを中心に両者を比較する大規模な無作為化試験が始まろうとしている.

 わが国における外科療法の有利な点として,胃癌に対する診断・治療技術の普及により,①欧米に比べて胃切除術が格段に安全に行える,②手術のみで根治しうる比較的早期のリンパ腫病変の発見が多い,③リンパ節転移の組織学的検査システムが確立している,などがあり,このためか消化管原発の腫瘍性病変に対して“まず切除する”という考えに抵抗が少ない.

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はじめに

 胃悪性リンパ腫の肉眼分類には佐野の分類1)や中村の分類2)などが一般的に使用されているが,内視鏡的肉眼分類については内視鏡像,内視鏡的特徴という表現にとどまっている.その理由としてはリンパ腫の内視鏡診断は決して容易ではなく,その範囲や形態を把握するのが困難なためと考えられる.われわれは今回佐野の肉眼分類を基に,内視鏡で分類されたリンパ腫が切除後は実際どう分類されるか,その相違について検討する.

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はじめに

 従来欧米およびわが国では,“胃悪性リンパ腫”と診断された場合の治療方針として,限局型で手術可能であれば胃摘出術が第一選択であり,所属リンパ節の転移または漿膜浸潤例では術後補助化学療法や特に欧米では放射線照射が施行されてきた(Fig.1).その結果,限局型胃悪性リンパ腫の5年生存率は約80%以上1)と節性リンパ腫,胃癌に比べ良好であるが,一方で胃摘出術に伴うQOLの低下が問題となっていた.

 最近,胃MALTリンパ腫の概念およびその病因としてのHelicobacter pylori(H.pylori)感染症という考え方が確立し,限局型低悪性度MALTリンパ腫に対してはH.pyloriの除菌療法が第一選択となりつつある.除菌にはbismuth subgallate,amoxicillin,metronidazole,omeprazoleなどが有効であるとされ通常2~3種類の併用療法により,約60~80%以上の有効率が報告されている2)3).ただし効果判定基準が標準化されておらず,また長期のfollow-up例は少ないため,慎重に経過を観察する必要がある.

 本稿では,欧米で最近試みられている胃悪性リンパ腫を対象にした非手術的な治療法およびH.pylori除菌耐性例や再燃例も考慮した系統的な胃MALTリンパ腫に対する治療法を紹介する.

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胃MALTリンパ腫とH.pylori

 胃MALTリンパ腫におけるH.pyloriの存在頻度は92~98%とされている1)2).Wotherspoonら3)が,H.pyloriを除菌することにより胃MALTリンパ腫が退縮することを初めて報告して以来,胃MALTリンパ腫に対するH.pylori除菌療法の意義に関してはいくつかの報告4)があり,筆者らも既に報告している5).しかし,H.pylori陰性の胃ALTリンパ腫の特徴およびその取り扱いに関しては詳細な検討はなされていない.筆者らは1993年10月より胃MALTリンパ腫に対するH.pylori除菌療法を開始してから1997年8月現在までに23例の胃MALTリンパ腫を経験したが,このうち3例がH.pylori陰性例であり,更にこのうち2例が高悪性度病変を有する症例であった.このうち1例で除菌療法を実施し著明改善を認めたので呈示する.

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胃MALTリンパ腫の除菌治療の現状

1.文献的にみた除菌治療無効・再燃例

 1992年Stolte1)によってHelicobacter pylori(以下H.pylori)陽性でmucosa-associated lymphoid tissue由来の胃リンパ腫(以下胃MALTリンパ腫)に対する除菌治療による改善例が報告されて以来,今日までにMALTリンパ腫に対する除菌治療の成績が多数報告されている2)~6).このうち無効例や再発例についてみると,Wotherspoonら2)は除菌に成功した6例中5例で改善が認められ,無効例1例はPCR(polymerase-chain reaction)でモノクロナリティが残存していたと報告している.また,Bayerdörfferら3)は除菌治療を行った33例全例が除菌に成功し,27例が改善したものの,1例が鼻腔内に再発を来し,無効例6例のうち手術を行った5例では1例がT細胞性で,残りの4例はhigh gradeな組織を呈し,深部まで進展していたことを報告した.Roggeroら4)は除菌治療を行った26例中25例が除菌に成功し,成功25例中15例(60%)が改善し,改善例のうち1例は骨髄に再発し,10例(40%)は無効であったと報告している.改善例については15例中8例は6か月以内の初回検査時に改善したものの,残りの7例は追加の除菌治療を必要とし,6か月以後2回目以降の検査で改善したと述べている.一方,Horstmannら5)は除菌治療後6か月目,Cammarotaら6)は15か月目の経過観察中H.pylori感染の再燃と共にリンパ腫病変の再発を来した症例を報告している.

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はじめに

 胃MALTリンパ腫は,Helicobacter pylori(以下H.Pylori)の持続感染により発生することが示唆されている.事実,H.pyloriの除菌によって改善する例が多数報告されている.しかし,一方H.pyloriが除菌されたにもかかわらず,その経過観察中に病変が進展する例も報告されている.したがって除菌前にH.pyloriの除菌により治癒しうる例であるか否かを判定することができれば治療計画を立てるうえで極めて有用と考えられる.そこで,胃MALTリンパ腫の除菌後の予後因子について,現在までの知見について自験例も含めて考察する.

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〔患者:53歳,男性.現病歴:3年前から食道粘膜下腫瘍を指摘されていたが放置,今回同病変を再度指摘されて精査加療目的で紹介入院.〕

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〔患者:54歳,女性.1992年4月ごろから嚥下困難を訴え,同年7月精査目的で当院受診.〕

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〔患者:60歳,男性.1988年11月,心窩部痛を主訴に初診来院.〕

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〔患者:72歳,女性.嘔気,心窩部痛を主訴として来院.3か月ごとのfollow-up〕

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〔患者:54歳,男性.主訴:心窩部痛.〕

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〔患者:52歳,女性.主訴:体重減少,食思不振.〕

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〔患者:77歳,男性.主訴:心窩部痛.〕

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〔患者:74歳,男性.主訴:心窩部痛.〕

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〔患者:68歳,女性.主訴:心窩部不快感.既往歴:30歳時,胆石症で胆摘,52歳時に子宮全摘術.〕

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〔患者:49歳,女性.主訴:1991年10月からの食欲不振,心窩部痛.〕

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〔患者:73歳,男性.現病歴:十二指腸に多発性の潰瘍を認めMALTリンパ腫と診断し,H.pylori除菌療法を施行したが潰瘍の縮小を認めず.他部位に病変はない.高度の呼吸器障害を合併していたため,化学療法および外科療法の適応外と考え,3年間経過観察しているが病像に変化はない.〕

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〔患者:62歳,女性.主訴:肛門周囲痛で外来受診.〕

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〔患者:73歳,女性.C型肝硬変で経過観察中,スクリーニングの大腸内視鏡検査で直腸に粘膜下腫瘍を指摘された.〕

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〔患者:61歳,女性.主訴:1995年3月から右上腹部痛出現.既往歴:1987年,胆嚢摘出術.〕

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〔患者:75歳,女性.主訴:血便.現病歴:1993年9月排便時,便に血液が付着していることに気づき近医受診.注腸検査が施行され,直腸に隆起性病変を認めたため精査加療目的で入院となる.〕

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〔患者:78歳,女性.主訴:便潜血検査陽性の原因精査.既往歴:35歳時,肺浸潤(3か月入院).77歳時,耳鼻科疾患.〕

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〔患者:66歳,女性.主訴:下血.既往歴:50歳時,子宮筋腫にて子宮全摘出術.〕

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 1946年にPurcell,Pound,Torry(ハーバード大)とBloch,Hansen,Packard(スタンフォード大)が核磁気共鳴(NMR)現象を報告したが,画像化の発端となったのは1976年のLauterbur(ニューヨーク州立大)の研究である.更に本格的なMR画像が提供されるようになったのは,1982年のBydder,Steiner(ハマースミス病院)の研究からで,NMR現象の発見以来36年も有している.しかし,その後今日に至るまでの16年間の技術の進歩には目を見張るものがある.2年後の1984年には,MRI用造影剤が既に使われ,1986年には高速spin echo法の基礎となるRARE(rapid acquistion with relaxation enhancement)法がJ.Henningにより発表され,diffusionやperfusionの脳画像やgradient echo法が開発されている.1990年にはfMRI(functional MRI)におけるBOLD効果が既に報告され,1991年には高速SE法やMR angiography,MR hydrographyが臨床可能となっている.最近では,開放型装置によるIVR(interventional radiology)への応用が現実となっている。このようにMRIは,形態の描出から生理機能の描出へ,そしてリアルタイム画像へと急速に進歩(技術革新)している分野である.

 MR画像は,パルスシーケンスにより決められた組織の緩和を,ボクセルからの信号強度として画像に反映させたものである.存在診断から質的診断へ,そして更に高次の機能診断へと,無限の拡がりをもって画像診断に寄与している.しかし,画像が表現する濃淡(信号強度)は,複雑になるばかりである.今や組織の組成を追求するばかりか,その組織の分子の状態がどのように信号強度を支配しているのかまで解明しなければならない時期に来ている.diffusion,perfusion,EPI(echo planar imaging),fMRI,MTC(magnetization transfer contrast)などがその代表例である。それらは,画像に新しい情報を与えてくれるが,それが組織のどのような状態(緩和時間)を表しているのか,その解明は難しい.

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 公衆衛生従事者はもちろん,地域における保健と医療と福祉の連携強化に関心を持ち,かかわりを持つ医師や保健婦など,すべての保健と医療の各専門職にとって,最も熟読してもらいたい書物を手にしたように思う.その意味で,この書物を見つけ出し,わが国での訳書を刊行しようと努力をされた訳者の水嶋春朔先生に感謝したいし,彼の試みを支えた共訳者と若手研究者を励まし,監訳をお引き受けになった曽田・田中両教授に敬意を表したい.複数の訳者の共同作業によるものの多くは訳者の能力の差が出て読みづらく,原書を読み直したくなるものだが,本書は全く読みやすく,確実に邦訳されており,原書の内容のすばらしさとともに訳書としてもすばらしい書物であり,初版とは信じられないでき栄えである.

 書名の関係で“予防医学”と表現されているが,公衆衛生学の永遠の命題である“個人と集団”,“健康と疾病”,そして“集中と分散”を極めてわかりやすく解説してくれており,公衆衛生学(以下,予防医学と同義語として使わせていただく)の教科書として最高級の内容となっている.

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 この「今日の診療CD-ROM Vol.7」は1枚のCD-ROMに以下のすべての本を収めている.「今日の治療指針1997年版」「今日の治療指針1996年版」,「今日の診断指針第4版」,「今日の小児治療指針第11版」,「今日の整形外科治療指針第3版」,「臨床検査データブック1997-1998」,「治療薬マニュアル1997年版」,「今日の救急治療指針」.これらの本を並べると机の上がいっぱいになってしまうが,それが1枚の小さなディスクに収められている.電子媒体利用の書籍がグーテンベルクの印刷機の発明以来の情報革命と言われるゆえんであろう.

 内容は定評のあるそれぞれの本がすべてそのまま収載されており,表示文字サイズも3段階の中から選べるなど読みやすい画面構成になっている.更に印刷物ではできない画期的機能として動画と音声の情報が入っている.Quick Timeによりカラードップラーの像などが動画で示される.運動失調患者の動きなども映像で示され,まさに百聞は一見にしかずであると実感させられる.心音や呼吸音も収載されている。これらの情報は従来,レコードやテープで提供されていたが,解説は別になっていて使いにくかった.CD-ROM化されたことにより,本文を読みながら文中のアイコンをクリックすることで音声や画像情報を得ることができ,文字情報と映像音響情報の統合が可能になった.音声解説が入ると,更にわかりやすいと思うが,本をそのままCD-ROM化したのでやむを得ないであろう.一方,書籍にある図表や写真はCD-ROMにもすべて収載されてはいるが,これらを見るには図や表のアイコンをクリックする必要がある.開けてみなければわからないので本を見るより多少手間がかかるが,著しい問題ではない.画質は現在のディスプレイの性能を考えると,大変良好で十分に使用に耐える.

編集後記 吉田 茂昭
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 わが国では消化管悪性リンパ腫は比較的まれな疾患であるが,これまで癌(特に早期癌)の代表的な鑑別対象として,診断学的な意義のみが前面に位置づけられてきた.言わば徳川300年の中に安住していたようなものである.この安寧を打ち破った黒船がIsaacsonであり,今から約15年前のことになる.この黒船襲来によって消化管悪性リンパ腫をめぐる世の中の動きはまさに激動というべき状況に突入し,旧秩序の崩壊と新秩序への収斂が始まった.この間,様々な混乱と発見とが交錯し,最近,ようやくある程度共通の理解が得られるようになったが,残念ながら,症例ごとの病理学的,臨床的対応を見ると診断医によって様々であるというのが偽らざる現状である.一方,この黒船の襲来は胃悪性リンパ腫がHelicobacter pylori感染を機とした免疫機構の異常に由来する可能性を教えたが,この画期的な病因論は新たな研究課題を提供するとともに,除菌療法の追求は外科的切除における適応の問題に肉薄し,更には化学療法や放射線療法をはじめとする非外科的治療の可能性を再認識させるなど,治療の分野においても新たな展開をもたらしつつある.

基本情報

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胃と腸
33巻3号 (1998年2月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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