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胃MALTリンパ腫の除菌治療の現状
1.文献的にみた除菌治療無効・再燃例
1992年Stolte1)によってHelicobacter pylori(以下H. pylori)陽性でmucosa-associated lymphoid tissue由来の胃リンパ腫(以下胃MALTリンパ腫)に対する除菌治療による改善例が報告されて以来,今日までにMALTリンパ腫に対する除菌治療の成績が多数報告されている2)~6).このうち無効例や再発例についてみると,Wotherspoonら2)は除菌に成功した6例中5例で改善が認められ,無効例1例はPCR(polymerase-chain reaction)でモノクロナリティが残存していたと報告している.また,Bayerdörfferら3)は除菌治療を行った33例全例が除菌に成功し,27例が改善したものの,1例が鼻腔内に再発を来し,無効例6例のうち手術を行った5例では1例がT細胞性で,残りの4例はhigh gradeな組織を呈し,深部まで進展していたことを報告した.Roggeroら4)は除菌治療を行った26例中25例が除菌に成功し,成功25例中15例(60%)が改善し,改善例のうち1例は骨髄に再発し,10例(40%)は無効であったと報告している.改善例については15例中8例は6か月以内の初回検査時に改善したものの,残りの7例は追加の除菌治療を必要とし,6か月以後2回目以降の検査で改善したと述べている.一方,Horstmannら5)は除菌治療後6か月目,Cammarotaら6)は15か月目の経過観察中H. pylori感染の再燃と共にリンパ腫病変の再発を来した症例を報告している.
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