特集 消化管悪性リンパ腫1998
主題
Ⅰ.総論
胃MALTリンパ腫に対する遺伝子診断の現況
小野 裕之
1
,
齊藤 大三
1
,
佐川 保
1
,
永田 和弘
1
,
小竹 桃子
1
,
後藤田 卓志
1
,
近藤 仁
1
1国立がんセンター中央病院内科
キーワード:
胃MALTリンパ腫
,
遺伝子診断
Keyword:
胃MALTリンパ腫
,
遺伝子診断
pp.309-313
発行日 1998年2月26日
Published Date 1998/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103598
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要旨 臨床における胃low-grade MALTリンパ腫の遺伝子学的検討の意義は,1つは確定診断に際しての補助診断であり,もう1つはHelicobacter pylori除菌効果の予測および除菌後の取り扱いの判定上の補助的役割と考えられる.現時点ではMALTリンパ腫に特異的な遺伝子変化は少ないが,bcl-2蛋白の発現は悪性度の増加に伴い低下し,p53はbcl-2とは逆に増加する点から悪性度の評価に,また免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成を用いた単クローン性の証明は,除菌後の経過観察の指標となる可能性が示唆される.高頻度にみられることが報告されているtrisomy3およびt(11;18)などの染色体異常も発生を考えるうえで興味深く,今後の進展が望まれる.
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