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1946年にPurcell,Pound,Torry(ハーバード大)とBloch,Hansen,Packard(スタンフォード大)が核磁気共鳴(NMR)現象を報告したが,画像化の発端となったのは1976年のLauterbur(ニューヨーク州立大)の研究である.更に本格的なMR画像が提供されるようになったのは,1982年のBydder,Steiner(ハマースミス病院)の研究からで,NMR現象の発見以来36年も有している.しかし,その後今日に至るまでの16年間の技術の進歩には目を見張るものがある.2年後の1984年には,MRI用造影剤が既に使われ,1986年には高速spin echo法の基礎となるRARE(rapid acquistion with relaxation enhancement)法がJ.Henningにより発表され,diffusionやperfusionの脳画像やgradient echo法が開発されている.1990年にはfMRI(functional MRI)におけるBOLD効果が既に報告され,1991年には高速SE法やMR angiography,MR hydrographyが臨床可能となっている.最近では,開放型装置によるIVR(interventional radiology)への応用が現実となっている。このようにMRIは,形態の描出から生理機能の描出へ,そしてリアルタイム画像へと急速に進歩(技術革新)している分野である.
MR画像は,パルスシーケンスにより決められた組織の緩和を,ボクセルからの信号強度として画像に反映させたものである.存在診断から質的診断へ,そして更に高次の機能診断へと,無限の拡がりをもって画像診断に寄与している.しかし,画像が表現する濃淡(信号強度)は,複雑になるばかりである.今や組織の組成を追求するばかりか,その組織の分子の状態がどのように信号強度を支配しているのかまで解明しなければならない時期に来ている.diffusion,perfusion,EPI(echo planar imaging),fMRI,MTC(magnetization transfer contrast)などがその代表例である。それらは,画像に新しい情報を与えてくれるが,それが組織のどのような状態(緩和時間)を表しているのか,その解明は難しい.
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