特集 消化管悪性リンパ腫1998
主題
Ⅱ.診断
大腸悪性B細胞性リンパ腫の臨床病理学的特徴―胃悪性B細胞リンパ腫との比較を含む
竹下 盛重
1
,
岩下 明徳
2
,
八尾 隆史
3
,
渕上 忠彦
4
,
山本 一郎
5
,
栗原 憲二
6
1国立病院九州医療センター臨床・研究検査科
2福岡大学筑紫病院病理
3九州大学医学部第2病理
4松山赤十字病院消化器科
5松山赤十字病院病理
6市立宇和島病院病理
キーワード:
大腸原発悪性リンパ腫
,
胃MALTリンパ腫
,
肉眼分類
,
組織分類
,
予後
Keyword:
大腸原発悪性リンパ腫
,
胃MALTリンパ腫
,
肉眼分類
,
組織分類
,
予後
pp.405-414
発行日 1998年2月26日
Published Date 1998/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103608
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要旨 原発性大腸B細胞性リンパ腫24例について,臨床病理学的立場から検討した.24例中22例がIsaacsonの分類によるMALT型リンパ腫であった.22例の平均年齢は68歳で,男女比は1:1.14例が低悪性度群で,8例が高悪性度群であった.前者群のうち9例は直腸(7例が女性),下行結腸に,後者群のうち5例は盲腸,上行結腸に発生しており,発生部位による悪性度の差がうかがえた.肉眼像では,低悪性度群の11例が最大腫瘍径7.5cm以下で,腫瘤形成型であり,高悪性度群は7例が7.5cm以上で,潰瘍形成型であった.組織像では,sm例は2例,ほか20例は全層浸潤性であった.胃MALTリンパ腫と比較すると,表層拡大型がなく,上皮内リンパ球浸潤は4例,高度粘膜浸潤は7例であり,大腸MALT型リンパ腫において粘膜下層以下での浸潤,増殖が目立った.腫瘍細胞は,全例CD5,bcl-1は陰性,両群の過半数はbcl-2が陽性であった.本腫瘍の5年生存率は低悪性度群で100%,高悪性度群で28%と前者に有意(p<0.05)に良好であった.
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