特集 消化管悪性リンパ腫1998
ノート
基礎編
生検標本におけるlymphoepithelial lesionの診断的意義
太田 玉紀
1
,
渡辺 英伸
2
1新潟県立新発田病院内科
2新潟大学医学部第1病理
キーワード:
MALTリンパ腫
,
リンパ上皮病巣
,
lymphoepithelial lesion
,
生検診断
Keyword:
MALTリンパ腫
,
リンパ上皮病巣
,
lymphoepithelial lesion
,
生検診断
pp.474-475
発行日 1998年2月26日
Published Date 1998/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103618
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- 文献概要
lymphoepithelial lesion(LEL)は,唾液腺の病変1)で初めて用いられた所見である.これは,Isaacsonら2)によって,mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫の診断に重要な組織所見であると主張され,消化管,肺,甲状腺などのMALTリンパ腫にも認められる.
LEL3)とは,腫瘍性の小型~中型リンパ球が上皮細胞間に集簇性に浸潤している組織像である(Fig.1).このBリンパ球は,円形~卵円形の核や核周に切れ込みを認める核(cleaved nucleus)と,非腫瘍性成熟リンパ球に比べて広く明るい細胞質を有し,細胞異型度は低い.LELは,低異型度のMALTリンパ腫にのみ認められる所見で,大型リンパ球から成る高異型度のリンパ腫ではみられない.腫瘍性Bリンパ球の浸潤が高度になると,上皮細胞の変性や腺管構造の破壊がみられ,やがてLELは消失する.
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