臨床雑誌内科 124巻6号 (2019年12月)

特集 内分泌Up To Date

特集のねらい

身近な内分泌疾患 槙田 紀子
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なぜ内分泌疾患なのか?

 これまで,内分泌疾患というと「まれな疾患で,専門家に任せればよい」というイメージが先行していたと思う.しかし,内分泌の領域でも時代の潮流に乗ってガイドラインが整備され,まずはガイドラインどおりに検査を進めるようになり,逆にその検査結果をどう解釈するかが問題となる時代になってきた.また,CTや頸部エコーなどの画像検査で偶発的に見つかる副腎偶発腫や甲状腺偶発腫がものすごい勢いで増えている.見つかってしまった「異常」をどこまで検査するのか? どう対応したらよいのか? さらに,がんゲノム医療の進歩と相まった分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬による内分泌有害事象(「トピックス」の項目を参照)のパンデミックは,非専門家であっても内分泌疾患を避けて通れない時代を形づくっている.

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Summary

▪ホルモンは生体内で情報伝達系として機能し,恒常性を維持,成長・発達,生殖,エネルギー代謝,行動などの生体システムを制御している.

▪ホルモンは視床下部・下垂体,甲状腺,副甲状腺,副腎,性腺,膵臓などの古典的内分泌臓器のみならず,心臓,血管,脂肪,腎臓,骨など多彩な全身臓器から分泌されている.

▪古典的ホルモンの分泌調節の一つに,フィードバック機構がある.

日常診療に隠れた内分泌疾患

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Summary

▪日常診療で,電解質異常から内分泌代謝疾患を疑い診断にいたることは少なくない.

▪電解質異常自体が生命の危険となる場合には経静脈的な薬剤投与や輸液による緊急的対処が必要となるが,体液量減少があればその治療も急務である.

▪電解質濃度の補正速度に注意を要する場合がある.

▪緊急性のない軽度の電解質異常に対しても,見逃さず精査を試みる姿勢が望まれる.

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Summary

▪全高血圧患者の10~20%は二次性高血圧であり,そのなかの多くが内分泌性高血圧とされる.

▪内分泌性高血圧は原因疾患の治療により治癒の可能性がある一方で,原因治療を行わない限り治療抵抗性高血圧となる場合が少なくない.

▪高血圧とは独立したホルモンの直接作用による臓器障害や,耐糖能異常・脂質異常症などの代謝障害をきたす.

▪内分泌性高血圧の診断および除外は高血圧診療において非常に重要であり,疑い例は積極的に専門医へ紹介すべきである.

糖尿病に隠れた内分泌疾患 大杉 満
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Summary

▪Basedow病を代表とする甲状腺機能亢進症では,食後高血糖を呈することがある.

▪原発性アルドステロン症や副腎偶発腫瘤では,HPA調節系を逸脱したコルチゾール分泌で高血糖を呈することがある.

▪古典的Cushing症候群以外に,臨床症状に乏しいがコルチゾール分泌の異常のあるサブクリニカルクッシング症候群やプレクリニカルクッシング症候群がある.

▪先端巨大症や褐色細胞腫でも耐糖能異常をきたす.

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Summary

▪原発性骨粗鬆症の診断には,続発性骨粗鬆症の除外が必須である.

▪男性骨粗鬆症は続発性の頻度が高い.

▪続発性骨粗鬆症の診断は,問診と身体所見が重要となる.

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Summary

▪不妊症の男女は約10%と推定され,視床下部-下垂体-卵巣系およびこの系に作用する内分泌系の異常は,女性不妊症の主要な原因の一つである排卵障害を引き起こす.不妊症のスクリーニング検査として,内分泌学的検査を行う.

▪内分泌学的検査で異常を認め,甲状腺機能異常,高プロラクチン血症,多囊胞性卵巣症候群などが判明した場合,不妊症の原因となるのみならず,妊娠予後に影響を与える場合や他の疾患の危険因子となる可能性がある.速やかに治療を開始し,内分泌機能の正常化を図ることが必要である.

間脳・下垂体

Cushing症候群 矢嶋 由紀
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Summary

▪Cushing症候群は慢性の高コルチゾール血症により,満月様顔貌・中心性肥満・野牛肩・赤色皮膚線条などの特異的な身体的症候,高血圧・糖尿病・骨粗鬆症などの非特異的症候を呈する疾患の総称である.

▪診断は,まず病歴・服薬歴を詳細に聴取し,外因性グルココルチコイド過剰による医原性Cushing症候群を除外する.

▪副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が測定感度以下であればACTH非依存性(副腎性)Cushing症候群,ACTHが測定可能であればACTH依存性Cushing症候群(下垂体腫瘍によるCushing病あるいは異所性ACTH産生腫瘍)である.

▪副腎性Cushing症候群は副腎摘出術,Cushing病は経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術が治療の第一選択である.再発例や手術不能例では薬物療法や放射線療法が行われる.

先端巨大症 福岡 秀規
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Summary

▪先端巨大症はまれな内分泌疾患であるが,成長ホルモン(GH)過剰分泌に伴う全身性症候性疾患であるため,患者はさまざまな主訴を契機に医療機関を受診し,関連する診療科は多岐にわたる.

▪顔貌異常や末端肥大が本性を疑うきっかけになることが多いが,近年はMRIで下垂体腫瘍を指摘され,それをきっかけに診断にいたることも多くなっている.

▪本症を疑った場合には,スクリーニングとして血清IGF-Ⅰ(ソマトメジンC)値を測定することが重要である.

▪治療により本疾患の死亡率上昇を抑制し,QOLの改善を見込むことができるため,的確な診断が必要である.

▪患者のQOLは外見面で低下していることが多く,顔貌異常を呈する前に早期に診断することが今後の課題である.

下垂体機能低下症 大月 道夫
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Summary

▪下垂体機能低下症は,下垂体前葉ホルモンの分泌低下が起こり,これらの標的臓器から分泌されるホルモンの欠落症状が生じる疾患である.

▪各下垂体前葉ホルモン分泌低下症の主症状を理解し,該当する下垂体前葉ホルモンとその標的内分泌腺ホルモンを測定し,必要があればホルモン刺激試験を行う.

▪治療は,原則として標的内分泌腺ホルモンの補充である(GH補充および妊孕性獲得を目的とする場合以外).

高プロラクチン血症 波多野 雅子
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Summary

▪プロラクチンは下垂体前葉からパルス状に分泌されるため,高プロラクチン血症を認めたときには複数回測定して判定する.

▪高プロラクチン血症をきたす病態はいくつかあるため,病因を同定してから治療を検討する.

▪高プロラクチン血症は乳汁分泌のほかに性腺機能低下症をきたし,無月経や不妊の原因になりうる.

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Summary

▪本症は成人期の成長ホルモン(GH)欠乏によって引き起こされる疾患であり,原因となる病態は多岐にわたる.

▪臨床症状として易疲労感,スタミナや集中力の低下,うつ状態などQOLの低下,体組成の変化,皮膚の乾燥や体毛の柔軟化が認められ,心血管系合併症による死亡率が高いと考えられている.

▪一般検査では脂質代謝異常,耐糖能異常,脂肪肝などが認められる.

▪診断にはインスリン低血糖刺激試験,アルギニン試験,グルカゴン試験,GHRP-2試験が用いられる.

▪GHは,毎日就寝前に自己皮下注射にて補充する.

▪GH治療の効果として諸症状の改善が認められているが,生命予後への効果についてはさらなる検討が必要である.

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Summary

▪中枢性尿崩症の新しいガイドラインでは,多尿の評価に体重あたりの基準が設けられた.小柄な成人で,従来基準の1日3Lを超えない例があるためである.

▪中枢性尿崩症の新しいガイドラインでは,バソプレシン負荷試験は水制限試験後に行うことが記載された.

SIADH 盛田 幸司
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Summary

▪低ナトリウム血症の鑑別や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の診断は,一筋縄ではいかないことが多い.生理的な抗利尿ホルモン(ADH)分泌刺激因子は血漿浸透圧の上昇以外にも複数存在し,データ解釈に難渋すること,またADH以外にも有効循環血漿量の調節機構は多数存在し,代償機構として病態を修飾することがその理由である.発症経過(水やNaの出納)の分析や除外診断など慎重な考察が必要となる.

▪SIADHと診断できれば軽症例では水制限,重症例では高張食塩水やfurosemideの併用を行う.その際,急激な補正により浸透圧性脱髄症候群を生じないよう,頻回の電解質モニターを行う.

▪本邦では異所性アルギニンバソプレシン(AVP)産生腫瘍の一部に,V2受容体拮抗薬mozavaptanの使用が認可されている.

甲状腺

Basedow病 有安 宏之 , 赤水 尚史
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Summary

▪Basedow病は,甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する刺激型抗体によって甲状腺ホルモンの合成と分泌が促進され,動悸,発汗過多,体重減少などの甲状腺中毒症をきたす疾患である.

▪血液検査では,FT3とFT4は高値,TSHは低値を示し,抗TSH受容体抗体が陽性を示す.

▪thiamazoleによる薬物療法が初期治療として施行されることが多い.

▪甲状腺クリーゼは,コントロール不良な甲状腺中毒症に種々のストレスが加わった際に,生体恒常性が破綻し多臓器不全に陥る予後不良の救急疾患であり,集学的治療を要する.未治療のBasedow病や治療中断患者にみられることが多い.

甲状腺機能低下症 中島 康代 , 山田 正信
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Summary

▪甲状腺機能低下症は,日常臨床において最も多く認められる内分泌疾患の一つである.

▪原因としては,自己免疫疾患である慢性甲状腺炎(橋本病)が最も多い.

▪慢性甲状腺炎などの甲状腺を原因とする原発性甲状腺機能低下症では,血中甲状腺ホルモン値(FT3,FT4値)の低下と下垂体からの甲状腺ホルモン刺激ホルモン(TSH)の上昇が観察される.

▪甲状腺機能低下症の頻度は,人種,年齢や性別,ヨード摂取率などにより大きく影響を受けるが,TSHのみ高値を呈する潜在性甲状腺機能低下症は人口の4~8%に認められる.

▪高齢者の潜在性甲状腺機能低下症については,甲状腺ホルモン補充療法によるリスク軽減効果はこれまで示されていない.

▪過剰な甲状腺ホルモン製剤投与は,心血管イベント死亡のリスクとなる潜在性甲状腺中毒症を招くことが多いため,とくに高齢者での甲状腺ホルモン治療は注意が必要である.

甲状腺腫瘍 堀内 喜代美
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Summary

▪甲状腺腫瘍の診断のアプローチは,① 触診・問診,② 頸部超音波検査,③ 穿刺吸引細胞診,である.

▪触診や問診では急速増大をきたす悪性リンパ腫,未分化がん,とくに問診では遺伝性髄様がんの有用な情報を得ることができる.

▪悪性リンパ腫や未分化がんを疑った場合には,早急に専門医による確定診断が必要である.

▪髄様がんはCEAやカルシトニンが腫瘍マーカーとして有用であるが,他のがんに特異的なマーカーは存在しない.

▪サイログロブリンが高値である場合は,濾胞がんを見据えて手術の適応となりうる.

副 腎

原発性アルドステロン症 馬越 洋宜
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Summary

▪原発性アルドステロン症(PA)のスクリーニングは,PA高頻度と考えられる高血圧患者で行い,血中アルドステロン濃度とレニン活性(濃度)の比を用いる.

▪スクリーニング検査が陽性の患者でPA精査を希望する場合は,機能確認検査を実施する.

▪PA精査を希望しない場合は,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬での薬物療法を開始する.

▪機能確認検査は1種類以上の陽性をもってPAと診断する.

▪PA診断後に手術療法を希望する場合は病型診断を行うが,手術療法を希望しない場合は病型診断を行わず,薬物療法を行う.

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Summary

▪日本人褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)患者においても,血中遊離メタネフリン2分画測定法(遊離メタネフリンおよび同ノルメタネフリンを測定すること)は尿中メタネフリンおよび同メタネフリン測定法(従来法のゴールドスタンダード)に比して非劣性であり,診断に有用であることが証明された.

▪血中遊離メタネフリン2分画測定法は感度が最も高いので,褐色細胞腫の疑われる患者に対するfirst screening(第一の検査)として最も適している.また,1回の採血のみで済むこと(酸性蓄尿のための入院不要)を考えると外来診療で非常に使いやすい.

▪上記の利点が認められ,血中遊離メタネフリン2分画測定法は2019年1月1日に保険収載された.

▪本邦でもPPGLの30~40%は遺伝性で,SDHB変異の30%程度が悪性化すると思われる.

▪若年発症(35歳未満),パラガングリオーマ,多発性,両側性,悪性では,家族歴や特徴的な徴候がなくても遺伝子変異の関与が示唆される.

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Summary

▪近年,画像検査で偶発的に発見される副腎偶発腫が増加している.

▪副腎偶発腫には,手術適応となる悪性腫瘍やホルモン産生腫瘍が30%程度含まれているため,精査が必要である.

▪良悪性の鑑別にはCT,MRI所見に加え,血中DHEA-S値が有用である.

▪ホルモン産生能の評価には,1回のホルモン測定(ACTH,コルチゾール,レニン活性,アルドステロン,尿中メタネフリンなど)のみでは不十分で,1mg dexamethasone抑制試験によるサブクリニカルクッシング症候群(SCS)のスクリーニングも行う.

▪SCSの手術適応は,コルチゾール産生の程度,合併症の有無などを考慮して決定する.

▪悪性,機能性いずれも否定された腫瘍についても,その後の定期的なフォローアップは必要である.

副腎不全 横田 健一
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▪副腎皮質機能低下症(副腎不全)とは視床下部,下垂体,副腎のいずれかが障害されることにより,副腎からの糖質コルチコイド分泌が低下し,血圧低下や低血糖,全身倦怠感,嘔吐,食思不振などの症状をきたす病態をいう.

▪症状が非特異的であるため,ときとして診断が難しいが,既往歴,服薬歴,低ナトリウム血症,低血糖,好酸球増多,色素沈着(原発性副腎不全の場合)などの所見が本症を疑うきっかけとなる.

▪各種ホルモン検査で確定診断が得られるが,とくに副腎クリーゼを疑う重症例では,治療の遅れは致命的となりうるため,躊躇なく治療を開始する.

▪「副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針」では,EBMに基づいた診断法やステロイド投与量の目安などが策定され,有用な指針となっている.

骨・ミネラル代謝

原発性副甲状腺機能亢進症 間中 勝則
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Summary

▪原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は比較的頻度の高い内分泌疾患で,高カルシウム血症の原因として最も多い.

▪偶発的に,または骨粗鬆症や尿路結石の原因検索のなかで診断される頻度が増えてきている.

▪診断では,高カルシウム血症に対して不適切に副甲状腺ホルモン(PTH)が高値であり,尿中Caが少なくないことを確認する.

▪治療の基本は,症候性であれば手術であり,無症候性に対してもNIHのガイドライン2013に沿って手術を中心に治療を検討する.副甲状腺がん・手術不能例・術後再発例による高カルシウム血症とそれによる症状の改善にcinacalcetが有用である.

▪副甲状腺腫瘍の遺伝的な背景に関しても知見が蓄積されつつある.

副甲状腺機能低下症 山内 美香
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Summary

▪副甲状腺機能低下症は,副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌不全により,低カルシウム血症を呈する疾患である.

▪副甲状腺機能低下症の病因は,術後性や放射線照射後など二次性の頻度が高く,それ以外に副甲状腺発生異常やPTH分泌障害を惹起するさまざまな原因遺伝子が明らかとなっている.

▪副甲状腺機能低下症の治療には活性型ビタミンDを用い,血清CaやP,尿中Ca/尿中Cr比にてコントロールを図ることが重要である.

▪現在,本邦においてもPTHによる治療の臨床使用に向けた検討が進んでいる.

ビタミンD欠乏症 渡部 玲子 , 井上 大輔
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Summary

▪血中25(OH)D濃度がビタミンD充足の指標であり,30ng/mL以上が「充足」,20ng/mL以上30ng/mL未満が「不足」,20ng/mL未満が「欠乏」と定義される.

▪日本人のビタミンD不足・欠乏の割合は非常に多い.

▪ビタミンD欠乏はくる病・骨軟化症の原因となりうるが,他の原疾患にビタミンD不足・欠乏を合併することも多い.

▪ビタミンD欠乏・不足は続発性副甲状腺機能亢進症をもたらし,骨密度を低下させ,骨折リスクや転倒リスクを高める.

▪骨粗鬆症の治療にはビタミンD充足が必須である.

膵内分泌

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Summary

▪膵内分泌腫瘍は,WHO 2017分類で低分化型NECがNET G3とNEC G3に新たに区分された.

▪超音波内視鏡下穿刺吸引法が普及し,ソマトスタチン受容体シンチグラフィが日本でも保険適用となったことで診断率が向上した.

▪遺伝性・多発性・難治性膵・消化管内分泌腫瘍,若年性インスリノーマ,ガストリノーマ全例で,MEN1を疑う.

▪治療の原則は外科切除であるが,新たな治療としてeverolimusとsunitinibの分子標的治療薬2剤や抗がん薬streptozocinが保険適用となり,ソマトスタチン受容体を介する放射線内用療法が治験段階である.

性 腺

Turner症候群とKlinefelter症候群 伊藤 純子
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Summary

▪Turner症候群およびKlinefelter症候群は性染色体の量的異常による疾患で,特徴的な身体所見および原発性の性腺機能低下をきたす.

▪Turner症候群は合併奇形や低身長のため小児期から治療を開始することもあるが,思春期遅発や不妊によって思春期以降に診断されることも多い.

▪Klinefelter症候群は小児期には気づかれにくく,大部分は成人してから性腺機能低下や不妊によって診断される.

▪両症候群とも成人期には適切な性ステロイドの補充が必要であるが,とくにTurner症候群の場合は,経年的に内分泌・心血管系の疾患や難聴など種々の合併症の頻度が増すため,トランジション後の全身管理が重要となっている.

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Summary

▪免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は,がん免疫療法の一つとして種々の進行悪性腫瘍に使用されるようになったが,自己免疫機序の関与が示唆される有害事象が発生する.それらは免疫関連有害事象(irAE)と総称され,肺,消化管,肝,皮膚,神経・筋,内分泌器官など全身の臓器で認められる.

▪内分泌irAEとして,下垂体機能低下症,副腎皮質機能低下症,甲状腺機能異常症,副甲状腺機能低下症,1型糖尿病が報告されており,適切な診断と治療がなされなければ重大な転機をたどることも想定される.

▪内分泌irAEの治療は適切なホルモン補充療法が基本であり,状態が安定すればICIを再開することが可能である.

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 槙田 私たちは内分泌の専門医療機関で仕事をしていますので,「内分泌疾患が疑われる患者さん」という前提で診察が始まります.しかし,その患者さんたちを最初に発見してご紹介くださるのは実地医家の先生方です.本日は日常臨床で出会う内分泌疾患を取り上げ,実地医家の先生方がふだん抱いていらっしゃるであろう素朴な疑問をテーマに意見交換をしたいと思います.

Book Review

呼吸器疾患最新の治療2019-2020 岩永 賢司
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呼吸器診療を行う臨床医必携の本

 『呼吸器疾患最新の治療 2019-2020』が発刊された.本書は1998年に初版発行後,21年の長きにわたり3年ごとの定期的な改訂が続けられてきたが,目覚ましく進歩する内容を早く取り入れるために,今回から2年ごとの発刊となった.呼吸器診療に携わる医療者にとって,基本的知識のみならず最新の情報も得られるので,まさしく頼りになる書籍である.

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 このたび『3週間de消化器病理2』が発刊された.大変好評であった『3週間de消化器病理』の続編である.前書では,病理学教室の部長が消化器内科を目指す初期研修医に対してさまざまなサブジェクトを3週間レクチャーする形式で進行する内容の,非常に斬新な病理学書であった.続編にあたる本書でも,二人の新たな登場人物が加わったものの,1日1項目ずつカンファレンス方式で進み,3週間で完結する流れは変わっていない.

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 このたび,日本甲状腺学会よりバセドウ病治療ガイドラインが8年ぶりに改訂され,『バセドウ病治療ガイドライン2019』として上梓された.バセドウ病は内分泌疾患のなかでも頻度が高く,内分泌を専門としない医師も臨床の現場で遭遇する機会の多い疾患である.現代医学の進歩はめざましく,世界中で最新の診断法,治療法に関する研究成果が発表され,日常診療にその成果が導入されている.その一方で,最新・最善の治療の普及が進まず,同じ病態であるにもかかわらず異なる治療法が行われ,結果として診療の質にばらつきがみられる状況も散見される.このような最新のエビデンスと日常診療の乖離を改善する目的で導入されてきたのが診療ガイドラインである.内分泌疾患のなかでは頻度が多いとはいえ,生活習慣病に比較すれば格段に症例数の少ないバセドウ病の治療ガイドラインでもシステマティックレビューに準拠した内容が求められるようになってきた.

連載 こんなとき,漢方薬が味方になります! ~漢方医が伝授する実践的な処方のノウハウ~

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総合内科からのコンサルト

 14年前の子宮筋腫と卵巣囊腫術後に,腹腔鏡下の癒着剝離術を2回施行しています.2年前より腹痛が増悪しております.恥骨周囲にも腸管の癒着が強く,再度の腹腔鏡下での剝離術は非常に困難な状況です.大建中湯を使用して,腹痛頻度の減少は認めておりますが,他の東洋医学的な疼痛コントロールの選択肢はありますでしょうか.ご多忙のところ恐れ入りますが,貴科にてご高診,加療のほど,よろしくお願いいたします.

連載 悩むケースに立ち向かう! 臨床推論のススメ方 ~全国GIMカンファレンスより~

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連載のねらい

 GIMカンファレンスは,臨床推論の技術を向上させることを目的とした内科全般の症例を扱う検討会であり,全国各地で組織され開催されています.本連載では,全国のGIMカンファレンスにおいて検討された症例をご紹介いただき,診断過程を時系列に沿って解説いただきます.

連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~

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 前回(第16回)は,糖尿病患者さんからみたがんについてお話しさせていただきました.今回は,がん患者さんからみた糖尿病との関係性や問題点などについて解説していきたいと思います.

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 症 例:84歳,男性.

 主 訴:全身倦怠感,下腿浮腫.

 山中 X−24年に糖尿病,高血圧症の診断で内服加療が開始となり,その後,糖尿病と腎硬化症が原疾患と考えられる腎機能低下を認めました.X−4年はCr 1.18mg/dL,尿蛋白1+,尿潜血2+でしたが,感染を契機として腎不全の増悪を繰り返し,X−2年にはCr 2mg/dL台まで上昇しました.同年9月に早期胃がんと直腸がんを認め,胃がんに対して内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行するも根治せず,本人は積極的治療を希望しない意向であったため,ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の方針で経過観察となっていました.X年8月にCr 4.88mg/dLまで増悪し,全身倦怠感や下腿浮腫などの尿毒症症状が出現したため,透析導入目的で同月9日に当科入院となりました.

基本情報

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臨床雑誌内科
124巻6号 (2019年12月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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