特集 内分泌Up To Date
甲状腺
甲状腺機能低下症
中島 康代
1
,
山田 正信
1
1群馬大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学
キーワード:
慢性甲状腺炎
,
潜在性甲状腺機能低下症
,
TSH
Keyword:
慢性甲状腺炎
,
潜在性甲状腺機能低下症
,
TSH
pp.2455-2458
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_2455
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Summary
▪甲状腺機能低下症は,日常臨床において最も多く認められる内分泌疾患の一つである.
▪原因としては,自己免疫疾患である慢性甲状腺炎(橋本病)が最も多い.
▪慢性甲状腺炎などの甲状腺を原因とする原発性甲状腺機能低下症では,血中甲状腺ホルモン値(FT3,FT4値)の低下と下垂体からの甲状腺ホルモン刺激ホルモン(TSH)の上昇が観察される.
▪甲状腺機能低下症の頻度は,人種,年齢や性別,ヨード摂取率などにより大きく影響を受けるが,TSHのみ高値を呈する潜在性甲状腺機能低下症は人口の4~8%に認められる.
▪高齢者の潜在性甲状腺機能低下症については,甲状腺ホルモン補充療法によるリスク軽減効果はこれまで示されていない.
▪過剰な甲状腺ホルモン製剤投与は,心血管イベント死亡のリスクとなる潜在性甲状腺中毒症を招くことが多いため,とくに高齢者での甲状腺ホルモン治療は注意が必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2019