臨床雑誌内科 122巻6号 (2018年12月)

特集 じっくりじんわり神経診察―実臨床での胆力をつけるために

特集のねらい

神経診察の奥深さに触れる 井口 正寛
  • 文献概要を表示

 神経診察を扱う教科書には,「神経系疾患の症候学(Joseph Jules Dejerine)」1),「神経症候学を学ぶ人のために(岩田 誠)」2),「神経症候学(平山惠造)」3,4)というように,“症候学” の名前が冠せられたものが多くある.

Overview

症候学は謎解き学 岩田 誠
  • 文献概要を表示

Summary

▪神経症候学は,単なる病気や病態の診断法ではなく,臨床所見を記号とみなして,その記号の意味解読を行うものであり,神経系の構造や働きの謎を解明していく営みである.本稿では,そのような謎解き学の実例をいくつか紹介してみたい.

問診でわかる神経症候 福武 敏夫
  • 文献概要を表示

Summary

▪神経診察の80~90%は問診にあり,基本的診察手技は身につける必要があるが,神経診察全体の10~20%ほどの役割しかない.

▪的確な病歴をとることは正しい診断や治療への近道である.

▪問診の前に,カルテや問診票から得られる情報を整理しておくことが重要である.

▪年齢・性,既往歴,家族歴,薬物歴,職業歴,家族構成などに留意する.

▪病歴聴取では,主訴を明らかにし,「聞き」ながら「訊いて」いき,内容を掘り下げる.

▪病歴のなかでは時間経過が最も重要である.

▪患者は大事なことをいわないことがある(ドアノブ症候群).

▪問診でわかる神経症候の代表的なものを参考に供す.

基本的な診察法

意 識 松原 知康 , 丸山 博文
  • 文献概要を表示

Summary

▪意識障害の客観的評価スケールとしてJapan coma scale,Glasgow coma scaleが普及している.これらのスケールの限界(ごく軽度の意識障害の検出や高次脳機能障害が背景にある場合での評価)を理解したうえで使用する.

▪意識障害の診察は,バイタルサイン,全身観察,神経診察の順に行う.

▪神経診察は「目,四肢,髄膜」の3つから得られる情報が多い.

高次脳機能 菊池 雷太 , 河村 満
  • 文献概要を表示

Summary

▪高次脳機能障害を記憶障害,失語,失行,失認に分類し,評価法を概説した.

▪失語を自発話,喚語,復唱,話し言葉の理解,読み書き障害に分類した.

▪失行は肢節運動失行,観念運動性失行,観念性失行を,失認は視覚性失認,聴覚性失認,病態失認を概説した.

脳神経 塩尻 俊明
  • 文献概要を表示

Summary

▪対座法による視野検査では,膝が付くか付かない程度の距離で向かい,赤いペンなどの指標物を用いて,耳側上方,下方,鼻側上方,下方の視野を検査する.

▪眼球運動は,患者から30cmほどの距離で目標物を動かして「H」の文字を描くように診察する.

▪顔面の感覚の診察は,触覚と温痛覚を分けて行う.

▪軽度の眼輪筋の筋力低下では,睫毛徴候を留意する.

▪Weber試験は,伝音性難聴では聴力低下側に響き,感音性難聴では,健側に響く.

▪咽頭の診察は,軟口蓋反射が患者への負担が少ない.

▪舌の偏倚は,舌下面の縫線の偏倚で判定する.

  • 文献概要を表示

Summary

▪麻痺の評価は軽度の片麻痺診断が重要で,その検査法としてMingazzini試験とStrümpell試験が有用である.

▪腱反射の評価ではわずかの左右差を上下肢でみつけ,これに足底反射試験でBabinski徴候をみつけることで錐体路障害の完全把握ができる.

  • 文献概要を表示

Summary

▪不随意運動の診察とは,目の前の動きを観察して系統的に分類し,何という不随意運動なのかを把握する行為であり,それには動画撮影がきわめて有用である.

▪すべての不随意運動の鑑別には,薬剤性と心因性の可能性を検討する必要がある.

▪振戦の診察ではその出現状況(安静時または動作時)が重要であり,安静時振戦ではParkinson病の可能性があるため専門医への紹介が望ましい.

▪本態性振戦を疑った場合は,必ず甲状腺機能亢進症を除外する.

▪ミオクローヌスには陽性ミオクローヌスと陰性ミオクローヌスがあり,後者が出現する場合は代謝性脳症を疑い内科的検査を迅速に実施する.

感覚系 三井 良之
  • 文献概要を表示

Summary

▪感覚系診察の前に医療面接(問診)の情報が重要である.

▪基本的な表在感覚と深部感覚の伝導路の走行を知る.

▪感覚系診察の方法を身につける.

▪デルマトームを理解し,感覚系診察から障害部位を推定する.

協調運動 花島 律子
  • 文献概要を表示

Summary

▪協調運動障害は,小脳機能障害,深部覚障害などで観察される.

▪診察では測定障害(dysmetria),運動分解(decomposition),協働収縮不能(asynergia),振戦(tremor)などとして観察される.

▪基本的な診察手技として,四肢の動きをみる鼻指鼻試験,手回内回外試験,踵膝試験などや,体幹・歩行の診察について紹介する.

歩 行 内藤 寛
  • 文献概要を表示

Summary

▪歩行の観察は患者が診察室に入るときから始まる.椅子に座るまでの動作から,おおよその診断がつくことがある.

▪立位の姿勢や開脚状態,膝・股関節の屈曲,身体の揺れなどを観察する.

▪自己ペースで歩く様子を観察する.患者は診察を意識して歩くため,入退室時の自由な歩行も観察しておく.

▪歩行の開始と停止,方向転換,足の運び方,姿勢と安定性,腕振りや不随意運動の有無に着目する.

▪継ぎ足歩行やつま先歩き,踵歩きを観察する.

▪疾病による歩行障害は,残存機能を効率的に使った歩行である.

脊 髄 安藤 哲朗
  • 文献概要を表示

Summary

▪脊髄病変の症候は,神経根症と脊髄症に分けられ,脊髄症はさらに髄節症候と索路症候に分類できる.高位診断に重要なのは,神経根症と髄節症候である.

▪C5/6椎間にはC7髄節があり,脊髄下端部はL1/2椎間で終わるなどの脊髄と脊椎の高位のズレを理解するのが重要である.

▪筋,感覚,反射の髄節を意識して診察することが必要である.

自律神経系 荒木 信夫
  • 文献概要を表示

Summary

▪自律神経は血圧調節,体温調節など生命現象の基礎となる機能を担っており,自律神経の理解はさまざまな疾患を考えるうえで必要不可欠なものと考えられる.

▪自律神経の機能を捉える検査としては,種々の古典的な血行力学的検査および起立試験(head up tilt試験),R-R間隔変動測定,MIBG心筋シンチグラフィなどがある.

▪体温調節とかかわる発汗機能も重要な自律神経機能を反映する検査である.さらに,排尿機能も自律神経機能を表す有用な指標となる.

▪これら自律神経機能を把握することは,自律神経支配の理解とそれに基づく検査の考え方を会得することにより可能となる.

疾患に応じた神経診察

  • 文献概要を表示

Summary

▪重症筋無力症は小児から高齢者まであらゆる年齢層に生じ,初発症状として眼瞼下垂および外眼筋麻痺を呈することが多い.

▪抗MuSK抗体陽性は顔面・咽頭筋,頸部伸筋の筋力低下と関連する.

▪症状の日内変動の病歴,診察による易疲労性の確認を行うことが診断のポイントである.筋疾患は典型的には四肢近位筋および体幹筋優位の筋力低下を生じるものの,疾患ごとに特徴的な分布を示す場合があり,診断において重要である.

▪本稿では,神経筋接合部疾患および筋疾患の臨床的特徴と,診察技法について述べる.

末梢神経障害 本田 真也 , 神田 隆
  • 文献概要を表示

Summary

▪しびれを訴える患者では,末梢神経障害を鑑別にあげる必要がある.

▪しびれの意味する内容は患者によってさまざまであり,ほかの言葉での言い換えを促すことにより,しびれの性質が明らかになる.

▪感覚系の診察を行うことで感覚障害のパターンを把握し,詳細な病歴聴取で疾患を絞り込む.

脳卒中 田川 皓一
  • 文献概要を表示

Summary

▪超急性期から急性期,回復期,慢性期にかけての脳卒中は,それぞれの時期で神経診察法は異なる.

▪超急性期のrt-PA静注療法実施の判定は,迅速性を必要とする時間との闘いであり,「血管病」として神経診察を心がける.

▪脳卒中の病型別に治療方針を決定するが,脳外科的治療や血管内手術の適応についても考慮する.

▪脳卒中と似て非なる疾患(stroke mimics)との鑑別も重要である.

▪アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症では病態が異なり,症候の発現機序に違いが出てくる.

▪神経診察を進めるためには,脳卒中で出現する症候を知っておく必要があり,脳梗塞では主要動脈の血管閉塞症候群を,脳出血では出血部位別の症候の特徴を理解しておくことが重要である.

てんかん 神 一敬
  • 文献概要を表示

Summary

▪てんかんは,有病率が約0.5~1%のcommon diseaseである.

▪何らかの発作性エピソードを訴える患者は,てんかんを疑う必要がある.まず,てんかん以外の緊急を要する疾患の鑑別を優先すべきであるが,それらが鑑別されたら問診により詳細な病歴を聴取する.

▪てんかん発作は,通常,発作の始まり(オン)および終わり(オフ)がはっきりしている,症状がステレオタイプで,毎回同じパターンを繰り返す,持続時間は秒単位~分単位であるといった特徴がある.

▪てんかん診断で最も重要なのは,時間をかけた問診による詳細な病歴聴取である.

▪病歴聴取で得られた情報から「発作型」を推測する.

  • 文献概要を表示

Summary

▪Parkinson症候群はパーキンソニズムをきたす疾患の総称である.

▪特発性Parkinson病のほかに二次性パーキンソニズムや症候性パーキンソニズムがあり,進行経過や予後,治療法が異なる場合があるため鑑別診断が重要である.

▪最近のパーキンソニズムの定義は運動緩慢に加え静止時振戦,筋強剛のどちらか,もしくは両方を示すことである.

▪運動緩慢は日常に関する動作のスピードの低下について問診する.

▪振戦は静止時振戦,姿勢時振戦,動作時振戦のいずれを呈しているかに注目する.

▪発症早期から姿勢反射異常が出現している場合には,Parkinson病以外のParkinson症候群を示唆することがある.

筋萎縮性側索硬化症 佐々木 彰一
  • 文献概要を表示

Summary

▪筋萎縮性側索硬化症(ALS)を疑うきっかけは,発症様式が緩徐進行性で,症状が運動ニューロン系に限局されているときである.

▪問診で症状が運動神経系に限局していることを聞き出し,他覚的感覚障害,膀胱直腸障害,錐体外路徴候,小脳症状,眼球運動障害などの陰性徴候を確認する.

▪神経学的診察で下位運動ニューロン徴候,上位運動ニューロン徴候および球麻痺の3つの徴候を見出す.

▪初発症状によって,進行性筋萎縮症,進行性球麻痺,原発性側索硬化症,flail arm syndrome,flail leg syndrome,前頭側頭型認知症(FTD)を伴うALS-FTDなどの臨床亜型を見分ける.

  • 文献概要を表示

Summary

▪項部硬直,Kernig徴候の感度は低く,陰性でも髄膜炎の可能性は残る.

▪jolt accentuation(JA)は首の回旋に伴う頭痛の増悪で,急性髄膜炎で高頻度にみられる.

▪最近起こった頭痛・発熱患者で,神経症状や意識障害を欠く例に限ればJAが髄液細胞増多を予見する感度は他の髄膜刺激徴候より高く,腰椎穿刺の適応決定に有効である.

▪神経症状や意識障害を伴う場合は,JAの有無にかかわらず腰椎穿刺の適応となる場合が多い.

▪脳実質は痛みを受容する系を備えておらず,実質病変が二次的に髄液細胞増多を起こしても,頭痛やJAが目立たない場合がある.

  • 文献概要を表示

Summary

▪多発性硬化症(MS)は,中枢神経系病変の空間的・時間的多発が特徴である.

▪視神経脊髄炎(NMO)は,視神経炎と横断性脊髄炎が特徴だが,間脳や脳幹に病変を生じる例もあり,視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)と呼ばれるようになった.

▪MSでは視覚異常,複視,顔面や四肢の麻痺・感覚障害,排尿障害など病変部位に応じたさまざまな症状が再発と寛解を繰り返す.

▪NMOSDはMSよりも重症で,難治性吃逆などの特徴的症状を呈することがある.

トピックス

めまいの診かた 堀江 勝博 , 清水 真人
  • 文献概要を表示

Summary

▪伝統的には「回転性」「浮動性」など,患者の自覚症状から分類していためまいであるが,実臨床ではこれに症状経過や誘引などの発症様式を加えた3つの分類,① 急性持続性めまい,② 再発性頭位性めまい,③ 反復性めまい,によるアプローチが有用である.

▪急性持続性めまいでは,画像検査の限界を知ったうえで,HINTSなどのベッドサイド診察から,神経症状の乏しい “隠れ脳卒中” を見逃さないことが重要である.

▪再発性頭位性めまいでは,めまいの原因として最も一般的なBPPVを,十分な問診とDix-Hallpike法などの身体診察を用いることで,確実に診断していくことが重要である.

▪反復性めまいでは,その多くはMénière病であるが,非典型例ではTIAのリスク評価を行うことが重要である.

ヒステリーの症候学 園生 雅弘
  • 文献概要を表示

Summary

▪ヒステリーは神経学のメインテーマの一つであり,かつcommon diseaseである.

▪ヒステリーの診断は除外診断や心理的特徴から下すのではなく,神経学的に説明のできない徴候,すなわちヒステリーの陽性徴候から下すべきである.

▪検査は最低限として,早期に積極診断することが重要である.

▪視野障害,心因性非てんかん性発作,起立歩行障害,不随意運動,感覚障害などそれぞれでヒステリーの陽性徴候がある.

▪ヒステリー性運動麻痺においては,give-way weakness,屈伸筋を問わない筋力低下などが特徴であり,また協働運動を利用したヒステリーを見破る方法として,Hoover試験,Sonoo外転試験も役立つ.

  • 文献概要を表示

 井口 本日ご出席いただいている先生方は,岩田先生の門下生で,東京女子医科大学で薫陶を受けました.当時,私は自信なく所見をとりながらも,「所見が違う」といって怒られるようなことはありませんでした.岩田先生のご著書を拝読すると,「マニュアル化したものではなくて,自分の症候学を築いていかなければいけない」ということが書いてありますので,「たぶんそういうことなのかな」と思いながら,怒られなくてほっとしていたものです.

連載 Focus On

睡眠薬の使い方を改めて考える 大沼 徹
  • 文献概要を表示

 近年,英国の研究者によって「睡眠負債」という言葉が提唱され,韓国に次いで睡眠時間が短いわが国でも,睡眠不足により,眠気による作業効率の低下や,睡眠が原因の遅刻・欠勤,さらに近年では過重労働による長距離バスの交通事故などが社会的問題となっている.これらによって生じる経済損失だけでなく,睡眠不足による健康被害も大きく,政策である「健康日本21」で,十分な睡眠をとることの重要性をあげている.

 この半世紀で睡眠薬の開発も進み,不眠症に対する投与薬も変化している.① 1950年代のバルビツール系睡眠薬,② 1960年代のベンゾジアゼピン系睡眠薬,③ 1980年代の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,④ 2010年のメラトニン受容体作動薬,そして ⑤ 2014年のオレキシン受容体拮抗薬,の登場である.しかしながら,身体科の先生の睡眠薬処方を拝見すると,いまだに半世紀前の ② ベンゾジアゼピン系睡眠薬が主流となっており,しかも高齢者であっても筋弛緩作用が強く,消失半減期が12時間以上の睡眠薬が投与されていることに驚く.四半世紀前と比べ,睡眠薬も多種多様となり治療者側にも選択ができる現在では,的確な薬剤選択がなされないと医療事故にもつながりかねない.現在,不眠症はどの科の医師も治療する疾患であるため,睡眠薬処方においてはわれわれ精神科医が日々活用している基本的な情報を本稿で共有したいと思う.

連載 呼吸器内科×○○科で語る! Comorbidity患者さんの診かた

  • 文献概要を表示

 今回の患者さんは,肺炎で緊急入院してきた80歳代後半の男性です.高齢ですが日常生活は自立しており,ご自身が設立した会社の顧問の仕事もされています.入院前まではせん妄症状の既往はなかったのですが,入院2日目の夜に不眠とつじつまの合わない発言を繰り返すようになり,見当識障害も出現しました.

連載 教えて! レントゲン 胸部単純X線の(得)目付けポイント

  • 文献概要を表示

70歳女性の方です.2日前から空咳と39°Cの発熱があり,息苦しくなり受診されました.血痰はありませんでした.

 ✔50歳ころから高血圧がありました.

 ✔68歳のときに間質性肺炎といわれましたが,症状もなく治療もしていません.

 ✔タバコは吸ったことがなく,お酒も飲みません.

さて,どこが怪しいでしょうか.

連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~

  • 文献概要を表示

 「血液検査だけでがんのスクリーニングができないだろうか?」これは多くの医師や患者さんが望んでいることだと思います.「血液一滴でがんを診断」といったコピーはとても魅力的です.もし実現すれば医療現場もずいぶんと負担が軽減されると思います.近代的な画像診断やinterventional radiology(IVR)などによる診断方法が登場する以前は,腫瘍マーカーは過度に期待されていたと思います.しかし,感度や特異度が高くないという問題があり,以前ほど実用的とは考えられなくなってきました.それでも,患者さんのなかには腫瘍マーカーを調べればがんの診断ができると思っている方も少なくありません.日常的な診療のなかで「血液検査に腫瘍マーカーを追加してもらえませんか?」と尋ねられることもありますし,人間ドックでは腫瘍マーカーが組み込まれていたり,オプションとして追加できることも多いです.腫瘍マーカーも測定方法の技術向上により,日常的な血液検査として手軽に測定できるものも多くなってきました.しかし,そのために不適切使用や過剰使用も多いとされています.本稿では,プライマリーケア医が腫瘍マーカーを用いる場合のポイントやピットフォールについて説明したいと思います.

  • 文献概要を表示

 超音波を用いての末梢神経・筋の評価を始めたい,標準的な評価法・観察方法について学びたいという初学者に向けた実践的な入門書である.記述の中心になっておられるのは編集責任者である西山和利先生,幸原伸夫先生,野寺裕之先生の3人の先生方で,編集は「神経筋超音波研究会」とある.この会は脳血管,neuromuscularを含め神経疾患全般に関わる超音波診断を扱う研究会として発足したものと聞き及んでいるが,まず一読して,神経筋疾患の評価について,超音波検査が今なしうることと今後の展望が,その限界も含めて誠実に語られているというのが第一の印象である.共著本にありがちな各著者の意見のバラツキや不統一がほとんど目立たないのも特筆すべき点と思う.これは,「神経筋超音波研究会」という組織が一体となって研鑽しながら,この困難かつpromisingな課題に取り組んでいることを物語る,なりよりの証明であると私は思う.

本日の内科外来 築島 直紀
  • 文献概要を表示

 私には,書籍が出たら “とりあえず買い” の著者が二人いる.「村上春樹」と「村川裕二」のお二人である.素敵で奥深い時間が過ごせることが,約束されている.

  • 文献概要を表示

 は じ め に 近年,独居高齢者の増加に伴い意識障害を主訴に救急外来を受診する患者数は増加している.意識障害をきたす疾患の鑑別に当たっては,高アンモニア血症は重要な原因の一つである.もちろん,高アンモニア血症の原因としては,まず非代償期の肝硬変を思い浮かべることが多いが,肝機能に異常のない高アンモニア血症に遭遇することがある.ウレアーゼ産生菌感染による高アンモニア血症の報告は散見されるが,その多くは尿路感染症である.また,ウレアーゼ産生菌の存在がなくとも,閉塞性尿路感染症の存在のみで膀胱内圧の上昇により高アンモニア血症をきたしたとの報告もある.今回,われわれは,ウレアーゼ非産生菌の閉塞性尿路感染症を契機に,高アンモニア血症による意識障害をきたした高齢女性症例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 は じ め に 仮性動脈瘤は動脈の層構造が保たれていないため破裂による死亡率は非常に高いとされており,発生部位としては脾動脈の頻度が最も高く,その成因としては本症例のように膵炎などの炎症によるもののほかに外傷,手術後,肝臓の経皮的穿刺後が知られている.近年,診断精度の上昇,血管内治療の進歩により未破裂動脈瘤に対する動脈塞栓術の症例報告も増えている.今回,急性膵炎により短期間に急激に増大した脾仮性動脈瘤に対して未破裂にて経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を施行した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

基本情報

24329452.122.06.cover.jpg
臨床雑誌内科
122巻6号 (2018年12月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

文献閲覧数ランキング(
12月3日~12月9日
)