連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~
第7回 気軽に計測できる腫瘍マーカー,そのピットフォールは?
公平 誠
1
1公平病院腫瘍内科
pp.1227-1232
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_1227
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「血液検査だけでがんのスクリーニングができないだろうか?」これは多くの医師や患者さんが望んでいることだと思います.「血液一滴でがんを診断」といったコピーはとても魅力的です.もし実現すれば医療現場もずいぶんと負担が軽減されると思います.近代的な画像診断やinterventional radiology(IVR)などによる診断方法が登場する以前は,腫瘍マーカーは過度に期待されていたと思います.しかし,感度や特異度が高くないという問題があり,以前ほど実用的とは考えられなくなってきました.それでも,患者さんのなかには腫瘍マーカーを調べればがんの診断ができると思っている方も少なくありません.日常的な診療のなかで「血液検査に腫瘍マーカーを追加してもらえませんか?」と尋ねられることもありますし,人間ドックでは腫瘍マーカーが組み込まれていたり,オプションとして追加できることも多いです.腫瘍マーカーも測定方法の技術向上により,日常的な血液検査として手軽に測定できるものも多くなってきました.しかし,そのために不適切使用や過剰使用も多いとされています.本稿では,プライマリーケア医が腫瘍マーカーを用いる場合のポイントやピットフォールについて説明したいと思います.
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