臨床雑誌内科 123巻1号 (2019年1月)

特集 緊急受診してくる呼吸器疾患―「息が苦しい」という患者が来院したとき,どのように対応できますか?

特集のねらい

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 臨床現場で,「息が苦しい」という患者が受診してくることは,呼吸器疾患を専門としていなくても日常的に経験すると思う.

 呼吸困難はさまざまな要因で発生するため,呼吸器疾患だけを想起して診療をしていくわけではないが,一度横断的に知識を整理する機会をもつことは有用と考えて企画した.

Overview

呼吸困難の成因と分類 西川 正憲
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Summary

▪呼吸困難を訴える患者の背景にある病態・疾患は多岐にわたる.

▪呼吸不全(低酸素血症)や胸痛などを伴い,A(気道)・B(呼吸)・C(循環)のいずれかに異常を認める場合には,病態・疾患の鑑別を的確に行う必要がある.

▪呼吸困難の成因を,呼吸運動の制御機構とともに理解しておくことは臨床医として大切である.

▪呼吸不全の背景にある4つの要素:① 換気障害(肺胞低換気),② ガス交換(動脈血酸素化)障害(換気血流比不均等,肺内血流シャント,拡散障害),③ 組織への酸素運搬障害,④ 組織での酸素利用障害,を想起し,迅速かつ適切に対応できるようにする.

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Summary

▪呼吸困難は,その持続期間が4週間を超えるか否かで急性と慢性に分類される.

▪救急外来では4週間以内に発症した急性呼吸困難が多く,致死的となる重症例もしばしば混在するのが特徴的である.

▪一般的な初期評価は,病歴聴取,身体診察,血液検査,動脈血液ガス,胸部X線,心電図,心エコーである.

▪初期評価から緊急処置が必要な重症例を速やかにみつけ出し,初期治療と並行しつつ根治的治療へ結びつけることが肝要である.

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Summary

▪患者の主訴がどれくらいの時間をかけてきた症状かを把握する.

▪感染症や閉塞性肺疾患では1週間以内の経過を急性と考える1)

▪びまん性肺疾患では1ヵ月以内の経過を急性とする1)

▪うっ血性心不全は急性の経過をたどる重要な鑑別疾患である.

▪主な鑑別疾患を想起したら関連する代表的な症状の有無を確認すべきである2)

▪呼吸困難が主訴の患者では前傾か後傾かで,肺か心臓かの鑑別が可能である.

▪身体診察では頸部の静脈の張り方,呼吸補助筋に着目する3)

▪胸部と腹部の動きの連動をみたり,胸郭の動きに左右差がないかにも注目する.

▪聴診では心音・呼吸音のどちらに焦点を当てるかを意識して最強点を探す.

▪下腿浮腫では足背優位か足首優位かも意識して確認する.

検 査

胸部単純X線 荻野 広和
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Summary

▪胸部単純X線像の読影は呼吸器緊急疾患の診療において不可欠な要素である.

▪胸部単純X線像の読影においては,順序立てて読影することが見落としを防ぐうえで重要となる.

▪具体的には,① 撮影条件,② 骨・軟部陰影,③ 中心陰影,④ 横隔膜周辺,⑤ 胸膜,と進み,最後に ⑥ 肺野をチェックする.

▪とくに,シルエットサインを意識し,心陰影や横隔膜のラインをチェックすることの重要性,また得られた所見を適切な用語を用いて表現することの重要性を強調したい.

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Summary

▪一般採血検査および動脈血液ガス分析を提出する.

▪肺炎を疑う場合には非定型菌抗体を提出する.

▪両肺に陰影を認める場合は鑑別疾患が多くなるので,BNP,線維化マーカー,β-D-グルカンなどを提出してスクリーニングする.

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Summary

▪動脈血液ガス分析の意義および評価法と動脈血液ガス分析に影響を与える因子について解説する.

▪呼吸状態と酸塩基平衡を評価することが必要である.

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Summary

▪呼吸困難のなかには循環器疾患が原因であることがあるため,心電図は必須な検査である.

▪STが上昇しないタイプの心筋梗塞の心電図に注意が必要である.

▪洞性頻脈の診断図をみたら,背後に隠れている疾患の鑑別が必要である.

胸部CT 角川 智之
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Summary

▪救急受診してくる呼吸器疾患患者の診療において,胸部CTはきわめて有用である.

▪胸部単純X線像では病変の分布を俯瞰的に把握することはできるが,肺内の微細な変化を鋭敏に捉えることはできない.胸部CTを行うことにより,より詳細に肺内病変の性状を把握することができ,診断を的確に絞り込むことができる.

▪造影検査を行うことができることも胸部CTの強みである.血痰・喀血の原因血管の同定や,肺血栓塞栓症の診断に有用である.

▪もちろん放射線被曝を最小限にする努力も必要であり,適応を的確に判断する必要がある.

▪上手に胸部CTを使いこなすことにより,救急受診してくる呼吸器疾患患者の早期診断,早期治療に結びつけるようにしたい.

呼吸器の救急疾患

自然気胸 中野 千裕
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Summary

▪気胸は原発性自然気胸と続発性自然気胸に分類され,多くは肺囊胞の破綻により発症する特発性自然気胸である.

▪続発性自然気胸の基礎疾患としては肺気腫症が最も多いが,特発性肺線維症,膠原病肺,Langerhans細胞組織球症(肉芽腫症),リンパ脈管筋腫症,AIDS患者のPneumocystis jirovecii感染症,サルコイドーシス,異所性子宮内膜症など囊胞を生じる疾患に好発する.

▪臨床症状,身体所見から気胸を疑い,胸部単純X線像で診断する.

▪軽度気胸では外来で経過観察し,中等度以上では原則として入院のうえドレナージを行う.

▪難治性,重篤な基礎肺疾患のある気胸などは専門医にコンサルトする.

▪再発予防のための禁煙指導も重要である.

気道異物 岡藤 浩平
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Summary

▪気道異物は窒息の原因となり,また放置することで重篤な感染症を併発することがあるため,迅速な診断と治療が求められる.

▪気管・気管支異物を発症年齢でみると,3歳以下が75.1%と大半を占め,一方で高齢者において再び増加する二峰性の分布を示すとされる1)

▪異物の種類は,小児ではピーナッツをはじめとした豆類が最も多く2),成人では義歯などの歯科異物が多い1)

▪治療の基本は異物の摘出である.近年の気管支鏡機器の進歩に伴い,成人例の多くは局所麻酔下に軟性気管支鏡で摘出可能であるが,摘出困難な場合には硬性気管支鏡や開胸術が必要となる.

▪近年では高齢者が多くを占める報告も増えており3,4),今後,高齢化社会が進むにつれて高齢患者の増加が予想される.

急性過敏性肺炎 立石 知也
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Summary

▪過敏性肺炎はトリコスポロンや鳥抗原へのアレルギー疾患であり,微熱,倦怠感を呈し感冒を繰り返すとの主訴で外来を受診することが多い.

▪酸素飽和度の軽度低下を認めるが,X線ではごく淡い異常に留まるため,聴診におけるfine cracklesを認めた場合,とくに疑って詳細な抗原曝露歴の問診を行うべきである.

▪CTでは小葉中心性粒状影やとくに呼気CTで目立つモザイクパターンを認める.その他のびまん性肺疾患に比べKL-6が比較的高値を呈する.

▪問診やCT所見などにより過敏性肺炎が疑われた場合,入院管理により改善するか,また誘発試験によって症状が再現されるかを確認することが正確な診断につながる.

肺血栓塞栓症 渡邉 琢也
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Summary

▪急性肺血栓塞栓症(急性PTE)は,「呼吸困難」および「胸痛」を認めて緊急外来を受診してくる患者に対して鑑別にあげるべき疾患である.

▪急性PTEは,致死性疾患であり早期診断と早期治療介入が予後を左右する.特異的な症状や臨床所見が少ないことから鑑別診断として念頭に置くことが重要である.

▪重症度判定,血行動態に加えて心エコー図検査による右心負荷所見を組み合わせた臨床重症度分類に基づいて治療戦略を構築する.

▪早期に診断して治療を開始することが重要である.急性PTEを疑う患者では,未分画ヘパリン5,000単位のボーラス投与を考慮する.

呼吸器感染症による緊急受診

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Summary

▪ウイルス,とくにインフルエンザ感染後は二次的に細菌性肺炎を起こすことが知られている.

▪典型的なウイルス症状が改善した4~14日後ごろより再度発熱し,通常の細菌性肺炎と同様の発症経過をたどる.

▪リスク因子として65歳以上の高齢者や肺疾患の既往がある.

▪原因微生物は肺炎球菌が多いが,それに加え黄色ブドウ球菌の頻度が高いことが特徴である.

市中肺炎の重症度評価 久田 修
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Summary

▪市中肺炎では,まずはじめに,重症度の評価に基づき「治療の場所」を決定することが重要である.

▪重症度評価には,A-DROPシステムが推奨される.

▪A-DROPスコアで中等度(1~2点)以上が入院適応の目安であるが,基礎疾患,経口摂取の可否などを評価して,総合的に判断する.

▪外来治療においては,治療開始3日後に有効性の評価を行い,無効で悪化傾向のある場合は,入院を考慮する.

胸膜炎・膿胸 中岡 大士 , 石田 正之
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Summary

▪呼吸困難の原因として胸膜炎を疑うヒントは胸部の痛みの性状にある.

▪多くは胸水貯留を合併しており,胸水検査が必要である.

▪胸水評価については超音波を用いた観察と穿刺が推奨される.

▪膿胸の場合に診断またはドレナージの遅れが致死率の上昇につながる.

▪肺炎随伴性胸水や膿胸では可能な限り抗菌薬投与前の細菌学的精査と十分なドレナージを行う.早い段階での専門医への紹介,外科医との連携を考慮する.

▪結核性胸膜炎の治療の基本は抗結核薬の投与であり,胸水のドレナージは呼吸困難症状が強ければ検討する.

▪がん性胸膜炎では速やかに胸水ドレナージを行い,呼吸困難の改善と肺の再拡張が得られるかどうかの評価が重要である.

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Summary

▪肺結核や肺アスペルギルス症を背景に「息が苦しい」という主訴で救急外来を受診する場合は,喀痰による気道閉塞や胸水貯留,気胸など,さまざまな原因が考えられるが,そのほかに,気道出血が原因となる場合もめずらしくない.

▪気道出血に対しての一般的な対応は,その両者の疾患においても大きな違いはないため,本稿では気道出血の一般的な救急対応と治療方法を概説する.

▪結核を疑った場合は診察時にN95マスクを装着するなど,医療者自身の感染防護を行う必要がある.

▪診察には,緊急度の評価と胸部CTでの画像評価,気管支鏡や気管動脈塞栓術などの適応を判断する必要がある.

誤嚥性肺炎 関 雅文
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Summary

▪誤嚥性肺炎は,加齢に伴うさまざまな臓器機能,身体機能の低下に加え,基礎疾患の合併も多くなり,死亡率が高い.

▪高齢者が多く,発熱や喀痰などの明らかな症状が出にくい.

▪一般に,嫌気性菌もカバーする抗菌薬の選択が望ましい.

▪人工呼吸管理が必要な場合,非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)では誤嚥を増長する可能性に注意する.

▪口腔ケアやインフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどの予防的対応を受診後に勧めるのが望ましい.

疾患の増悪による緊急受診

気管支喘息の増悪 鈴木 慎太郎
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Summary

▪喘息の増悪による入院や死亡は年々減少傾向にあるが,依然として年間1,500人弱の喘息患者が亡くなっている.

▪喘息患者一人一人に増悪に対するアクションプラン(短時間作用性β2刺激薬(SABA)の頓服吸入やSMART療法,次回外来までの吸入ステロイド薬(ICS)増量など)を事前に文書で示しておく.

▪増悪による再受診が強く予想される場合,経口ステロイドを3~5日分もっていてもらう.

▪呼吸困難の程度から増悪の強度を評価し,それに応じた発作治療ステップを選択し速やかに治療を開始する.

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Summary

▪慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪とは,息切れの増加,咳や喀痰の増加,胸部不快感・違和感の出現あるいは増強などを認め,安定期の治療の変更が必要となる状態をいう.

▪症状,病歴,徴候・身体所見,呼吸状態などの臨床検査所見に基づいて増悪の重症度を判定し,治療方針を決定する.

▪COPDの急性増悪には,ABCアプローチを主とする薬物療法,酸素療法,換気補助療法を行う.

▪COPDの急性増悪の予防法や増悪時の症状と対処法についての患者教育も重要である.

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Summary

▪特発性肺線維症(IPF)の急性増悪は,死亡率が50%とされる予後不良な病態である.

▪生存期間中央値が35ヵ月とされるIPFの死因の40%を占めるのが急性増悪であり,この対策は重要な臨床課題である.

▪特効薬はなく,効果が期待できる薬剤と適切な呼吸管理が対応の中心となるが,高流量鼻カニュラ(HFNC)は本病態の呼吸管理ツールとしての有用性が期待できる.

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Summary

▪救急外来を受診するがん患者の受診理由として呼吸器症状は多く,入院率が高い.

▪がん患者において急性呼吸不全は発生率が高く,挿管率・死亡率ともに高い.

▪がん患者の肺炎では,免疫不全のタイプ別に起因菌を推定する.

▪がん患者の換気戦略は高流量鼻カニュラ酸素療法(ハイフローセラピー)が第一選択になりつつある.

▪免疫関連有害事象による肺臓炎はまれであるが重篤例もある.

▪免疫関連有害事象は比較的遅発性に発生するため,病歴聴取の際には注意を要する.

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Summary

▪2012年のBerlin基準の公開により,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の定義が明確かつ簡便になり,今後の臨床および研究での進歩が期待される.

▪ARDSは炎症に伴い血管内皮と肺胞上皮の透過性が亢進することで生じる非心原性肺水腫である.

▪ARDSにおける最も重要な治療は「原疾患の治療」である.

▪呼吸管理としては一回換気量を低くする,いわゆる肺保護戦略が重要である.

▪ARDS患者の生存期間を改善させるとコンセンサスの得られた薬剤はない.

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Summary

▪急性呼吸不全の診療においては,高流量鼻カニュラ酸素療法(ハイフローセラピー),非侵襲的陽圧換気(NPPV),挿管による人工呼吸を適切に使い分ける必要がある.

▪ハイフローセラピーやNPPVは有用であるが,挿管による人工呼吸への移行のタイミングを遅らせないようにすることが重要である.

日本におけるECMOについて 市場 晋吾
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Summary

▪ECMOは,完全な臨床治験によるエビデンスはないが,これまで積み重ねられてきたエビデンスにより有効性が支持されている.

▪新しい工業技術と管理プロトコルの導入によって,長期間の安定したサポートが可能となり,リスクの減少と適応が拡大された.

▪ECMOの成績向上のためには,集約化による医療資源と人材育成が必要である.

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 仁多 本日は,呼吸器疾患と緊急受診についての座談会ということで,外来や病棟の臨床現場の第一線で呼吸器疾患をみている専門医の先生方にお集まりいただき,呼吸器疾患の緊急受診を減らすために,どういうことに気をつけて診療しているのかということについて,実際の臨床の現実的な部分の話を聞いていきたいと思います.

Book Review

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 呼吸器内科では,咳嗽や呼吸困難などの症状を訴える患者や健診などでの胸部異常影の精査を目的として受診される患者が多いが,その鑑別診断には,感染症,閉塞性肺疾患,腫瘍性疾患,アレルギー性・膠原病関連肺疾患,間質性肺疾患,血管性疾患など,多岐にわたる領域が含まれる.よって,呼吸器内科医には,これらの多岐にわたる疾患を効率よく診断してよりよい治療を実践するために,医療面接や検査手技,治療手技,そして急性期医療から緩和医療への対応など,多くのスキルが要求されている.さらに,肺がんの分野を代表として,それぞれの分野の医学的進歩は日進月歩であり,最新の知見の収集およびそれらを実臨床でどう活かすかが重要である.日々の忙しい診療のなかで,これらの幅広い情報を効率よく学び,実臨床に活かしていくことは非常に重要であり,それを手助けしてくれる書籍が求められている.

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 このたび「こんなときどうする? PCIトラブルの対処術」が南江堂から発刊された.PCIの技術に関する症例検討会「Gruentzig club」における議論を集大成したPCI合併症のマニュアル本である.現状分析,トラブル対処術,IVUSを活用した合併症対処術などで構成され,著者らからのメッセージ,とくに覚えておくべき内容はエッセンスとして冒頭に記載されている.また,トラブルからの回避手段は具体的に多くの図,写真を用い平易な言葉で記載されている.本書の特筆すべき点は,トラブルの発生機序,予防策に関して理論的解説がなされている点である.結果(トラブル)には必ず原因があり,トラブルから回避できた場合にもそこにはチップスがあるからである.この理解がなければトラブルを繰り返すであろうし,トラブル回避への応用も不可能だからである.このように本書は,読者の理解を深める構成となっており,実践的な解説書である.本書を読み進める間,数多くうなずく点を見つけることであろう.

連載 教えて! レントゲン 胸部単純X線の(得)目付けポイント

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75歳女性の方です.2ヵ月前から咳があり受診しました.

 ✔発熱や痰はありませんでした.

 ✔半年間で体重が50kgから45kgに減りました.

 ✔これまで大きな病気はしたことがありません.

 ✔タバコを吸ったことはなく,お酒も飲みません.

さて,どこが怪しいでしょうか.

連載 呼吸器内科×○○科で語る! Comorbidity患者さんの診かた

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 今回の患者さんは,高血圧症で循環器内科に通院中の50歳の男性です.職場内の診療所で高血圧症の治療を受けていたのですが,高血圧が持続するため職場の産業医から当院の循環器内科に紹介受診となりました.睡眠時無呼吸の簡易検査にて睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)が疑われたため,呼吸器内科に紹介受診となりました.

連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~

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 前回までは,かかりつけ患者さんにがんが疑われる場合について論じてきました.

 がんが疑われる場合に,がん診療連携拠点病院,がん専門病院,大学病院などの医療機関で精査を受けて,がんと診断される方もそうでない方もいらっしゃると思います.もし,がんと診断された場合は,がんの種類や進行具合,他臓器の機能,年齢,価値観などを考慮して,がんに対する治療やケアを受けることになります.がんの治療が開始されても,ほかの疾患を抱える患者さんはこれまで通りにかかりつけ医を受診しますので,かかりつけ医はさまざまな健康問題に対応することになります.重大な副作用や合併症はやはりがん専門医による対応が必要ですが,知っていればかかりつけ医で対応可能なことも少なくありません.今回からは,がん治療中によくみられる体調不良や副作用に対する支持療法について概説していきたいと思います.まず,今回は最近のがん治療について簡単に解説いたします.

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 は じ め に 非血縁者間同種造血幹細胞移植は,幹細胞の提供者である非血縁ドナーの存在が不可欠である.非血縁ドナーの幹細胞提供には,完全な自由意思に基づく同意を担保するために,ドナー・レシピエント双方の厳格な個人情報保護が求められる.その反面,ドナーはレシピエントの治療経過を知ることができないために幹細胞提供による達成感が得られにくく,レシピエントは提供に対する感謝をドナーに直接伝えることができないという問題点がある1).日本骨髄バンクでは,「手紙交換制度」によって,ドナー・レシピエント双方が精神的につながる手段を提供している.これは,自発的な自由意思に基づいてドナーおよびレシピエントの間で手紙の交換を行うもので,ドナーの最終同意面談後から移植後1年間,双方2回までの送付が許されている.手紙の内容には,氏名・住所・生年月日・病名・移植後の具体的な経過の記載は許されず,金銭や物品の取り扱いも禁じられている2~4).日本骨髄バンクでは,非血縁者間同種造血幹細胞移植を受けるレシピエント全例に対して,ドナーの最終同意面談後に手紙交換制度の案内と送付用のカードを配布している.しかしながら2015年日本国内のレシピエントからドナーへの手紙送付率は58%,ドナーからレシピエントへの手紙送付率は18%に留まっており,制度が十分に機能しているとはいいがたい.今回われわれは,国内で初めて単施設での手紙送付率とその影響因子について統計学的に解析し,手紙交換に関する課題を検討した.

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 は じ め に 近年,急性大動脈解離による死亡症例が増加しており,現在でも手術死亡率の高い疾患といえる1).2005年に手術を施行したStanford A型の急性大動脈解離は2,816例であった(日本胸部外科学会)1).さらに,2014年には手術例は4,953例と報告され増加している2)

 本症例は長期透析患者で,降圧療法も行っていながら,突然,急性大動脈解離になった症例である.残念ながら治療は奏効しなかったが,ここに剖検例を提示する.

基本情報

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臨床雑誌内科
123巻1号 (2019年1月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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