Cancer Board Square 5巻3号 (2019年10月)

特集 総合診療医×がん治療医でハイリスク症状を見抜く—帰してはいけない がん外来患者

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がん患者さんの外来診療、ちょっと見直してみませんか?

総合診療的アプローチを参考に丸ごとブラッシュアップ。

スマートフォンで使えるWEBがん診療ツールについてもまとめます!

Part1 がん治療医のための外来診療の型と考えかた

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プライマリケアを知れば、がん診療をもっとよくできたかもしれない

 10年間がん専門病院で勤務した後に、地域のプライマリケアを中心とした病院で働き始め、3年が経過しました。今になって過去を振り返ると、“がん専門”という診療が、がんを抱える患者にとっていかに部分的なものにすぎないかを思い知らされます。現在、私は高齢者プライマリケアとしてさまざまな併存症を有する患者の診療に従事しています。地域医療の目線でみるとがんは多数ある併存症のひとつという位置付けであり、がん患者やがんサバイバーの方に日常的に発生するさまざまな健康上のトラブルへの対応は、むしろ非がん疾患が多いです。

 私が勤務する病院には私のほかに2名の腫瘍内科医(がん薬物療法専門医)がおり、がん診療と同時にプライマリケアを実践しています。3人で苦労しながら診療に取り組むなかで、皆が共通で抱えているのは「プライマリケアを通して学んだ知識やスキルがあれば、過去のがん診療をもっとよくすることができたのではないか」という思いです。

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はじめに

 “帰してはいけない”患者さんをいかに早い段階で見つけ出し、先手を打てるかどうかは臨床医にとって必要な能力のひとつと言えます。

 がん診療はよくも悪くも初診外来と異なり、多くの患者情報が手元にあります。がんの経過を含む病歴、既往歴、内服歴、家族歴、職歴、趣味や家族構成にいたるまで、患者さんとの付き合いが長くなれば情報量も多くなるのは自然です。

 初診外来に比べて、がん患者さんの主訴に対する診断は一見容易に思えるかもしれません。しかし、実臨床では情報があるが故に認知バイアスを起こし、診断エラーにつながることもしばしばあります。ひとつのエラーを契機に医師-患者間の信頼関係が崩れることや、永続的な障害が残りQOL低下を招くこと、そして最悪の場合死にいたることになりかねません。

 本特集ではいかにしてがん診療における見落としを少なくするか、そのためのきっかけを作っていきたいと考えています。

Part2 ケースで学ぶ! がん診療の診断エラー

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Case

 53歳、男性。診断:小細胞肺がん。合併症:間質性肺炎。既往歴:てんかん(デパケン®、アレビアチン®を内服中)。

進行性小細胞肺がんの患者が、抗がん剤治療中にしびれを訴えた。担当医は抗がん剤の副作用としての末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy;CIPN)と診断したが、抗がん剤治療終了後にもしびれは進行・増悪するのであった。本当の原因は「髄内転移」。しびれ=末梢神経障害という安易な考えに陥らないためには、どのような視点が必要なのだろうか。

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Case

 72歳、男性。非喫煙者、診断:左上葉肺腺がん、多発肺転移、胸膜播種、既往歴:なし。

 がん化学療法中に頸部前胸部四肢の皮疹を認めた。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による皮疹を疑い、ステロイド外用剤で入院・経過観察とするも、みるみる患者の状態が悪化していってしまった。結果は「薬剤過敏症症候群」であった。初期対応に必要な視点、鑑別のポイントはどのようなものだったのだろうか。詳細な流れを振り返ってみる。

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Case

 72歳、男性。診断:びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(non-germinal center B-cell-like subtype;DLBCL)。合併症:高血圧、脂質異常症。既往歴:陳旧性心筋梗塞(10年前にカテーテル治療)。

 DLBCLの治療中に、患者が新規の頭痛を訴えた。がん患者の頭痛は決して少なくない症候であり、状況的には中枢神経浸潤、がん性髄膜炎が濃厚である。しかし、結果は「ヘルペス髄膜炎」であった。がん、非がん、それぞれ種々の原因から生じる頭痛について、鑑別と気づきのポイントを振り返ってみる。

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Case

 69歳、男性。診断:S状結腸がん術後。既往歴:高血圧(Ca拮抗薬を内服中)、2型糖尿病(DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬を内服中)。

 がん化学療法中に右大腿部の軽度発赤と浮腫を認めた。蜂窩織炎を疑い、抗菌薬処方でフォローアップとするも、患者は受診から3日後に発熱およびショック状態で救急搬送されてきてしまった。結果は「フルニエ壊疽」。初期対応に必要な視点、鑑別のポイントはどのようなものだったのだろうか。詳細な流れを振り返ってみる。

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Case

 65歳、男性。診断:胃がん肝転移、肺転移。既往歴:胸部大動脈瘤(ステントグラフト挿入後)、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症。

 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors;ICI)投与中の発熱と酸素化低下で、当科に引き継がれた。薬剤性肺障害が疑われるということだったが、結果は「細菌性肺炎」。ICIを使用している担がん患者にあっては、免疫関連有害事象(immuno related adverse event;irAE)、細菌性肺炎、両方の可能性を「常に」考慮しなければならないことを改めて実感した症例である。

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Case

 49歳、男性。診断:非小細胞肺がん。既往歴/合併症:糖尿病(メトホルミンを内服中)、脂質異常症(アトルバスタチンを内服中)。

 本症例では、低Na血症の原因が抗利尿ホルモン分泌異常症候群(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone;SIADH)によると診断された。しかし、水分制限、塩分負荷を行なうもNa値の改善は乏しく、倦怠感、食思不振も改善していない。結果として、本当の原因は「続発性副腎不全」であった。詳細な流れとともに、背景にある免疫関連有害事象との関係についてみてみよう。

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Case

 72歳、男性。診断:大腸がん。既往歴:高血圧。

 大腸がんに対して化学療法を施行していたところ、発熱と倦怠感の訴えがあった。腫瘍熱を疑ったものの、結果は「敗血症性肺塞栓症(septic pulmonary embolism)」。多岐にわたる担がん患者の発熱の原因にはどのようなピットフォールがあり、またどのように考えればよいのだろうか。

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Case

 63歳、男性。診断:胃がん、合併症:高血圧、既往歴:特記事項なし。

 胃がんに対する治療として胃全摘術+D2郭清施行(脾臓合併切除)を実施した患者が、悪寒戦慄を伴う発熱を訴えた。冬場ということもあり、インフルエンザを疑ったが、結果は「肺炎球菌による髄膜炎、菌血症」。インフルエンザ以外の可能性を視野に入れつつ、「脾臓合併切除」をどのように考える必要があるのだろうか。

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Case

 65歳、女性。診断:卵巣がん。合併症:なし、既往:なし。

 緩和医療に取り組んでいた患者。体調の安定から化学療法を再開するも、急激な呼吸不全をきたしてしまった。late lineの化学療法であることから、がんの悪化が疑われたが……結果は「ニューモシスチス肺炎」。緩和医療に存在する落とし穴に、注意が必要である。

Part3 外来がん診療で使えるスマホ・ベースドWEBツール

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私のがん診療へのスマホ活用論

スマホ活用十人十色

 スマートフォン(以下、スマホ)の普及は私たちの生活を格段に便利なものに変化させてきました。なにも調べずに家を出ても、スマホさえあれば電車の時間も、夕食のお店も教えてくれますし、最近では電車賃や食費・生活費の支払いまで済ませることができます。いろいろな手間を省略したり、さまざまな機能を集約化したりできることがスマホの最大のメリットといえます。では診療はどうでしょう? スマホは同じくらい便利にしてくれているでしょうか?

 筆者は学生時代にWindows MobileのHT-02Aを使い始めてから、現在のiPhone XSまで数機のスマホを乗り換えながら、なんとか診療により活用できないか試行錯誤してきました。途中、大量のアプリ(以下、App)を抱えて結局あまり使わなくなったり、情報整理に時間をかけ過ぎて便利どころか負担になったりと、右往左往しましたが、皆さんにもそのような経験が少しはあるのではないでしょうか。現在は以下で述べるような、自身の情報整理の原則に従ってスマホの位置付けを明確にすることで、スマホを駆使した診療ができているように思います。ただし、これはがん専門病院で駆け出しの専門医である私にとっての最適解であって、理想的な活用方法は、立場(例:専門医か後期研修医か)や施設(例:専門病院か総合病院か)などによって当然に異なってくるものと思います。方法の詳細ではなくて、それらの根底に流れている考え方をくみ取っていただき、それが読者の皆さんの診療とスマホをより有機的に結び付けるきっかけとなれば幸いです。というわけで、本稿は「がん診療お役立ちApp 10選」みたいな内容とはちょっと異なりますが(期待していた皆さんごめんなさい)、そういう特集は一部宣伝の要素も含まれますので、スポンサーがないことを武器に真の活用法に迫れればと思います。

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症例

61歳、女性。PS1。乳がんフォローアップのPET-CTにて、右の肺尖部に増大する結節を認め、呼吸器内科受診。

特別企画 対話の時代の臨床倫理 ジレンマ・メソッド入門

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動き始めた倫理コンサルテーション

 近年、病院内に新たに倫理コンサルテーションチームを設置し、医療者が直面する倫理的な悩みに迅速に対応しようとする医療機関が増えてきました1。倫理コンサルテーションチーム(倫理サポートチームとも呼ばれます)は通常、医師、看護師、メディカルソーシャルワーカーといった多職種で構成され、場合によっては生命倫理学者や法律家が加わることもあります。現場の医療者から相談を受けると、チームは事例に関する情報を収集し、関係者とカンファレンスを開催したうえで、倫理的問題の整理・検討を行ない、結果を伝達する、というのが一般的な流れです2

 私の所属する国立がん研究センター中央病院でも、以前から有志での事例検討会やインフォーマルなコンサルテーション活動を行なっていましたが、2017年9月に病院の共通部門に臨床倫理支援室が設置され、2018年からは公式な相談窓口が開設されました。コンサルテーションチームは2019年4月時点で13名のメンバーからなり、相談内容に応じて4〜5名程度のチームがその都度結成され、相談活動にあたります。チームをリードするのは5名のコーディネーターで、依頼者からの相談窓口になるのもそのいずれかです(医師2名、看護師1名、法律・倫理の専門家2名)。

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臨床倫理の歴史と世界的な傾向

臨床倫理の黎明期

 医療現場で遭遇する悩ましい個々のケースの倫理問題を、それぞれに異なる個別の事情を見極めながら解いていこうとするのが臨床倫理である。その起こりは1970年代初頭の米国だった。それまでの医療倫理やその後に生まれた生命倫理は、一般的で抽象的な問いを立て、客観的で合理的な答えを導き出し、理論や原理を示そうとする。これに対して、臨床倫理はケースに始まりケースに終わる。目の前のケースに向けて暫定(差し当たり)的で蓋然(腑に落ちる)的な答えをひねり出すことが目標である。それを一般定式化しようとか、非の打ちどころがないものにしよう、理論化しようなどと大それたことは考えない。

 現場の複雑な倫理問題を解くには、多分野の専門家たちから成る臨床倫理委員会(clinical/hospital ethics committee)を立ち上げて対応するのがよい、臨床倫理の草創期にはそう考えられた。しかしやがて一部の医師たちがこのような動向に異を唱え始めた。医学知識や臨床経験のない人々が話し合いの場に入ることで、医療方針決定上の医師の責任が十分に果たせなくなると危惧したのだった。そのため臨床倫理委員会の任務は、個々のケースの倫理問題の解決から当該施設の倫理指針の策定へと移っていった。そこで、専門的知識とスキル、経験をもった臨床倫理コンサルタント(clinical ethics consultant)によるコンサルテーションが行なわれるようになった1。時が移り、倫理委員会は個々のケースを再び扱うようになり、医療者ではない臨床倫理コンサルタントの数も増加した。コンサルタントは事務所を開いて病院と個人契約を結んだり、臨床倫理委員会の委員ないしは機動性のある少人数のコンサルテーションチームの一員として任にあたってきた。これら三形態のそれぞれに一長一短があることはこれまでにもよく議論されてきた2。現今、米国では臨床倫理委員会ならびに少人数チームによる倫理コンサルテーションが一般的なようである。

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ジレンマ・メソッドとは

「倫理的ジレンマ」への焦点化

 ジレンマ・メソッドは、MCD(moral case deliberation)と呼ばれる臨床倫理の事例検討法のひとつであり、オランダを中心にいくつかの欧州諸国で実施されています。日本では近年、北米型の個人コンサルタントによる助言・推奨という臨床倫理サポートとの対比でその可能性が注目されるようになりました1

 その実際を一言で言えば、「医療者が直面している倫理的ジレンマについて、当事者の誰か1人が事例提供者となり、訓練されたファシリテーターによって多職種での話し合いを進める」というものです。10名程度の参加者が車座になって45〜90分程度かけて特定の手順に沿って1つのジレンマを話し合います。

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Case Summary

[ID]

40歳代、女性。

[家族構成]

90歳代の祖母と2人暮らし。両親死別。兄弟姉妹はなし。

両親の兄弟もおらず、親族は祖母のみ。

[現病歴]

肺腺がん。

20XX年12月:肺腺がんに対する一次化学療法施行。一定の効果を示す。

20XX+1年3月:病勢進行のため、二次治療施行。転移性脳腫瘍と脊椎腫瘍の影響で、徐々に両側下肢の麻痺(脱力)を認めてきたため、緊急入院。緊急入院後すぐ、放射線治療開始。しかしながら麻痺の改善は乏しく、肺野病変の進行もあり、急激に病状が進行し、痛みや息苦しさが出現してきたためオピオイドが必要な状態であった。これ以上の積極的な抗がん剤の投与は不利益が大きく、抗がん剤の中止および対症療法を中心とした緩和ケアへの移行の判断を求められる状況になった。

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はじめに

—私は、あなたが今日の講演で“だめな説明”と言っていたやり方を、何十年もやってきました。患者さんにどう説明するか、納得してもらうにはなにが必要か、という教育は当時はありませんでした。説明のスタイルというものは、先輩のやり方を見よう見まねで学んで、研修期間が終わるあたりで身についてしまいます。ですから私は、今日の講演を、数十年前に聞きたかった—

 

 これは、とある講習会で、筆者がベテラン医師から言われた言葉である。その告白に敬意と感謝を感じつつも、彼が診てきた患者さんに感じたであろう申し訳なさが入り混じり、私自身がすべきことを怠ってきた結果でもあることが後悔の念となって押し寄せ、胸に沈殿した。

 その後の講習会などでも「患者さんからインフォームドコンセントをもらう際にどのように話をするか、という教育を受けた人はいますか」と問い掛けるが、手を挙げた人はいまだ誰もいない。「重篤な合併症は、飛行機事故より低い確率です」などと言われて、死亡や低酸素脳症による昏睡になった場合は、患者はもとより、家族は「話が違う、こんなはずではなかった」と思うだろうし、怒りの矛先は医療者に向かう。協力して患者の内なる敵と戦うはずの医師と患者が反目しあうのは互いに不幸であるし、患者や家族の不信感や怒りは医療者のQOLや人生も傷つけてしまう。

 筆者に告白してくれた医師の時間を実際に巻き戻すことはできないが、始めるのに遅すぎることはない。

 

 あの医師が、大学病院でスタッフドクターになったばかりに私と出会っていたらどうなっただろうか。インフォームドコンセントとはなにか、患者に納得してもらえる説明の方法とはなにか。そんなシーンを想定して、インフォームドコンセントについて少し話してみようと思う。

連載 國頭ゼミの課外授業 わたしたちは、こう考える[6]【最終回】

言葉について考える 國頭 英夫
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病院での専門用語

國頭 今回のテーマは言葉の使い方、でありまして、とても重要であることはそれこそ「言を俟たない」のでありますけれども、また極めて難しい、もしかしたら一番難しい問題です。もうひとつ、これに関しては、「お前が言うかよ」みたいな話もありまして(苦笑)、私の言葉使いが乱暴であるのは周知の事実であるだけにやりにくい。

 そして、現在の日本では国語教育がないがしろにされているというのも多くの識者の指摘されているところで、敬語を上手く使える人がごく限られている一方、「患者様」なんてへどが出るような卑語を厚労省の木っ端役人が推奨したりして……。

連載 患者さんに「寄り添って」話を聴くってどういうこと?[5]【最終回】

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今回の登場人物

加藤潤先生:

卒業後6年目のレジデント。内科医で、腫瘍内科の専門研修を開始して2年目。現在は桜川先生の指導を受けている。明るい性格で、患者さんを励ますのが上手だが、積極的抗がん治療の適応がなくなった患者さんに接することには若干難しさを感じている。明るい性格で大学時代はテニス部のキャプテンだった。

田村義則さん:

54歳、男性。膵臓がん再発。

自営業。妻と26歳の長男との3人暮らし。

田村和子さん:

50歳、女性。専業主婦。

清水先生:

がん患者とその家族のケア(精神腫瘍学)を専門とする精神科医。心理的な問題に関するコンサルタントとして、担当医や看護師など他の医療者が困るケースの相談も積極的に受けるようにしている。

桜川啓介先生:

20年目の腫瘍内科医で、肝胆膵内科を専門としている。患者・家族の信頼も厚く、レジデントの面倒見もいい。

*清水先生を除き、全て架空の人物です

連載 Medical Oncology 2.0[8]【最終回】

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なぜ患者さんは合理的でない決定をしてしまうのか?

 前回まで、リスク下や不確実下でも最適解を得るためのスキルについて解説してきました。さぁこれで準備万端、実践だ!と意気込んで、練りに練った「最適解」を導き出し、自信たっぷりにいざ患者さんとの面談に臨んだものの、思わしくない反応に戸惑ってしまう……。「最適解」と考えられた選択肢にもかかわらず、患者さんは、こちらからするとどうしても合理的とは思えない選択をされる。そんなとき、私たちは無力感を感じてしまうのではないでしょうか。

 どんなによい治療だと考えていても、患者さんにとって納得できる選択でなければ、その効果を発揮することはできません。連載最終回である今回は、治療計画スキルの最後のステップでもある、患者さんとの“合意形成”を扱っていきます。

連載 もうひとつのがん診療の世界 AYA・小児がんの「その後」を知る[後編]【最終回】

がん治療と性機能 長沖 優子
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introduction

AYA・小児がん診療の現場から

 聖路加国際病院小児科では、国内でも先駆けて1960年から小児白血病と小児の固形腫瘍診療を行ない、これまで延べ600人以上の治療と外来フォローを行なってきました。

「小児」と一口に言ってもその対象は単純なものではありません。体重10kgに満たない乳児もいれば、成人した大人と変わらないような体格の児まで含まれます。

連載 Dose intensityを維持する漢方スキル[3]【最終回】

食欲不振 元雄 良治
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症状の概要

発症機序

 シスプラチンを含むがん薬物療法による食欲不振の機序は、シスプラチンがセロトニン系を介して、食欲増進ホルモンであるグレリンの胃壁細胞からの分泌低下をきたすことによる1。更に視床下部などでのグレリン受容体発現を低下させることも関与している2

 がん自体による食欲不振は、消化器がんであれば、腫瘍による消化管圧排・閉塞(通過障害)や、肝転移巣の増大による上腹部膨満感、肝機能障害などによる。またがん細胞から放出される種々のサイトカインなども原因となる。

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目次

企画・執筆者紹介

休刊のお知らせ

Editorial

基本情報

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Cancer Board Square
5巻3号 (2019年10月)
電子版ISSN:2189-6429 印刷版ISSN:2189-6410 医学書院

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