特別企画 対話の時代の臨床倫理 ジレンマ・メソッド入門
臨床倫理とは誰にとっての問題か? 対話の技法としてのジレンマ・メソッド
田代 志門
1,2
1東北大学大学院文学研究科社会学専攻分野
2国立がん研究センター中央病院臨床倫理支援室
pp.548-551
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200494
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動き始めた倫理コンサルテーション
近年、病院内に新たに倫理コンサルテーションチームを設置し、医療者が直面する倫理的な悩みに迅速に対応しようとする医療機関が増えてきました1。倫理コンサルテーションチーム(倫理サポートチームとも呼ばれます)は通常、医師、看護師、メディカルソーシャルワーカーといった多職種で構成され、場合によっては生命倫理学者や法律家が加わることもあります。現場の医療者から相談を受けると、チームは事例に関する情報を収集し、関係者とカンファレンスを開催したうえで、倫理的問題の整理・検討を行ない、結果を伝達する、というのが一般的な流れです2。
私の所属する国立がん研究センター中央病院でも、以前から有志での事例検討会やインフォーマルなコンサルテーション活動を行なっていましたが、2017年9月に病院の共通部門に臨床倫理支援室が設置され、2018年からは公式な相談窓口が開設されました。コンサルテーションチームは2019年4月時点で13名のメンバーからなり、相談内容に応じて4〜5名程度のチームがその都度結成され、相談活動にあたります。チームをリードするのは5名のコーディネーターで、依頼者からの相談窓口になるのもそのいずれかです(医師2名、看護師1名、法律・倫理の専門家2名)。
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