特別企画 対話の時代の臨床倫理 ジレンマ・メソッド入門
ジレンマ・メソッドによる臨床倫理カンファレンス
予後が残り少ない時間のなか、家族との面会を拒否し続ける患者と面会を希望する家族の希望にどう応えるか
守田 亮
1
,
清水 千佳子
2
,
田代 志門
3,4
,
一家 綱邦
4,5
,
宮田 佳代子
6
,
里見 絵理子
7
,
稲村 直子
8
1秋田厚生医療センター呼吸器内科
2国立国際医療研究センター病院乳腺・腫瘍内科
3東北大学大学院文学研究科社会学専攻分野
4国立がん研究センター中央病院臨床倫理支援室
5国立がん研究センター社会と健康研究センター生命倫理・医事法研究部医事法研究室
6国立がん研究センター中央病院相談支援センター
7国立がん研究センター中央病院緩和医療科
8国立がん研究センター中央病院看護部
pp.571-585
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200497
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Case Summary
[ID]
40歳代、女性。
[家族構成]
90歳代の祖母と2人暮らし。両親死別。兄弟姉妹はなし。
両親の兄弟もおらず、親族は祖母のみ。
[現病歴]
肺腺がん。
20XX年12月:肺腺がんに対する一次化学療法施行。一定の効果を示す。
20XX+1年3月:病勢進行のため、二次治療施行。転移性脳腫瘍と脊椎腫瘍の影響で、徐々に両側下肢の麻痺(脱力)を認めてきたため、緊急入院。緊急入院後すぐ、放射線治療開始。しかしながら麻痺の改善は乏しく、肺野病変の進行もあり、急激に病状が進行し、痛みや息苦しさが出現してきたためオピオイドが必要な状態であった。これ以上の積極的な抗がん剤の投与は不利益が大きく、抗がん剤の中止および対症療法を中心とした緩和ケアへの移行の判断を求められる状況になった。
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