特集 総合診療医×がん治療医でハイリスク症状を見抜く—帰してはいけない がん外来患者
Part1 がん治療医のための外来診療の型と考えかた
高い専門性に潜む“がん診療の落とし穴”
公平 誠
1
1公平病院腫瘍内科
pp.482-483
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200481
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プライマリケアを知れば、がん診療をもっとよくできたかもしれない
10年間がん専門病院で勤務した後に、地域のプライマリケアを中心とした病院で働き始め、3年が経過しました。今になって過去を振り返ると、“がん専門”という診療が、がんを抱える患者にとっていかに部分的なものにすぎないかを思い知らされます。現在、私は高齢者プライマリケアとしてさまざまな併存症を有する患者の診療に従事しています。地域医療の目線でみるとがんは多数ある併存症のひとつという位置付けであり、がん患者やがんサバイバーの方に日常的に発生するさまざまな健康上のトラブルへの対応は、むしろ非がん疾患が多いです。
私が勤務する病院には私のほかに2名の腫瘍内科医(がん薬物療法専門医)がおり、がん診療と同時にプライマリケアを実践しています。3人で苦労しながら診療に取り組むなかで、皆が共通で抱えているのは「プライマリケアを通して学んだ知識やスキルがあれば、過去のがん診療をもっとよくすることができたのではないか」という思いです。
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