特集 総合診療医×がん治療医でハイリスク症状を見抜く—帰してはいけない がん外来患者
Part1 がん治療医のための外来診療の型と考えかた
診断エラーから考える! がん患者外来診察の基本スタイル
伊藤 亮治
1
1日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
pp.484-487
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200482
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はじめに
“帰してはいけない”患者さんをいかに早い段階で見つけ出し、先手を打てるかどうかは臨床医にとって必要な能力のひとつと言えます。
がん診療はよくも悪くも初診外来と異なり、多くの患者情報が手元にあります。がんの経過を含む病歴、既往歴、内服歴、家族歴、職歴、趣味や家族構成にいたるまで、患者さんとの付き合いが長くなれば情報量も多くなるのは自然です。
初診外来に比べて、がん患者さんの主訴に対する診断は一見容易に思えるかもしれません。しかし、実臨床では情報があるが故に認知バイアスを起こし、診断エラーにつながることもしばしばあります。ひとつのエラーを契機に医師-患者間の信頼関係が崩れることや、永続的な障害が残りQOL低下を招くこと、そして最悪の場合死にいたることになりかねません。
本特集ではいかにしてがん診療における見落としを少なくするか、そのためのきっかけを作っていきたいと考えています。
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