特別企画 はじめてのがん遺伝子パネル検査 特別講義
がん遺伝子パネル検査の基礎知識
柿島 裕樹
1
1国立がん研究センター中央病院臨床検査部
pp.218-228
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200404
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Precision Medicineとがんゲノム医療
よく知られるように、がんにはさまざまな遺伝子の異常が認められます。同一がん種だからといっても、「がん関連遺伝子の異常」という視点からすると、同じがん種の患者全てが同じような性質をもっているわけではありません。それぞれに個性(遺伝子的な意味でも)があり、その個性に応じた医療が必要とされています。
近年、それら遺伝子異常をマルチプレックス(同時多重的)に検出する解析手段が登場し、その解析結果に医学的な解釈や意義付けを行なうことが可能になってきました。今後はそうした個性に対応した、さまざまな分子標的薬の登場と治療戦略が展開していくと考えられています。これが「最適な分子標的薬を選択する精密医療」=「Precision Medicine」という概念1です。そして2019年6月より、がん遺伝子パネル検査2製品が保険収載され、ついにがんゲノム医療が動き始めました[→角南:p.41「C.使い分け」参照]。
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