JIM 24巻10号 (2014年10月)

特集 帰してはいけない疾患を除外した後の外来診療

今月のQuestion & Keyword Index
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より早く,より的確に内容をとらえるために,QuestionとKeywordによるIndexをご利用ください.それぞれ各論文の要点を示す質問とキーワードで構成されています.

Question

Q1 self-limiting diseaseの勉強を,どのようにしたらよいでしょうか? 888

Q2 感冒症候群と積極的に診断する意味は? 892

Q3 Mondor病と診断するメリットは? 896

Q4 Achenbach症候群ってどんな疾患? 898

Q5 Bornholm病の特徴は? 900

Q6 precordial catch syndromeの胸痛の特徴は? 902

Q7 良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)の診断プロセスを教えてください. 904

Q8 遷延する関節痛をきたす渡航関連の感染症は? 908

Q9 心身症と身体表現性障害の違いについて教えてください. 910

Q10 精神疾患,器質的疾患を疑うポイントを教えてください. 910

Q11 過敏性腸症候群(IBS)とはどのような疾患ですか?また,どのように診断されますか? 914

Q12 dyspepsiaとはどんな疾患か? 918

Q13 診断の際に上部消化管内視鏡を行うべきか? 918

Q14 症状改善に有用な薬物的・非薬物的治療は何か? 918

Q15 非特異性慢性腰痛の治療のポイントは? 922

Q16 抑うつ症状と線維筋痛症の関係は? 925

Q17 緊張型頭痛の診療で意識すべきポイントを教えてください. 928

Q18 疾患が見つからない,症状が続く時の診療の心構えは? 932

One more JIM
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Q1:風邪は万病のもと,と言いますが,どう考えたらいいでしょうか?

A1:患者が「風邪」という主訴で受診した場合に,感冒症候群以外のさまざまな疾患である可能性があることと,感冒症候群をきっかけに合併症や別の疾患を併発・続発することから,「風邪」のようでもいろいろな疾患に配慮が必要だという意味に理解できる.

 診断時,同時期に咳・鼻水・咽頭痛の3症状が現れる軽症急性疾患という感冒症候群の特徴に合わない病歴・症状・身体所見がないか,あるいは感冒症候群でみられることが少ない病歴・症状・身体所見がないか,を確認すること.高齢者や基礎疾患をもつ人では,症状や経過が定型的ではなかったり,合併症を生じる可能性が健康な人より高いので,診断や経過観察により慎重になること.受診時は軽症であっても,数日で軽快しなかったり,新たな別の症状が生じた場合に,再度受診するように患者に説明することで,風邪のようにみえる「万病」のピットフォールに陥る危険を少なくできる.

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 症状や不安などを訴えて患者が外来受診した場合,通常は問診,身体診察,診断に必要な検査を経て,医学的診断をして治療を行うというのが,通常医学教育において教えられる診療のプロセスである.しかしながら,このプロセスをニュートラルに行うというより,問診や身体診察の時点で作業仮説としての診断を絞り込みつつ,同時に,見逃すと大変なことになる危険な疾患を除外するというプロセスを臨床家は重視している.たとえば,胸痛の訴えのある患者において,症状と経過からは「病気っぽくない」が「念のため」冠動脈疾患,胸膜炎などの重大な疾患を除外したいと思うだろう.これらを除外した場合に,臨床家はまずホッとするものである

【self-limitingな疾患の積極的診断】

感冒症候群 藤原 靖士
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Case

感冒症候群患者での健康指導

 患者:35歳,男性.

 既往歴:特になし,検診で異常を指摘されたことはない.

 現病歴:昨日朝,咽頭痛から始まり鼻水が出現.夜になり咳が出たとのことで本日午前外来に受診した.倦怠感,食欲低下なし.体温36.7℃,いわゆるバイタル所見に異常なし.症状は軽症で,咳・鼻水・咽頭痛が同時期に出現していることから感冒症候群と診断.他の症状に乏しく,身体所見を確認して他疾患でないことを確認.仕事をしている年代の男性が平日午前中に受診したことから,受診理由を確認すると,小学校教諭であり,職場で児童にうつすことを心配しての受診であった.可能であれば仕事を休むこと,休むことができなければ手洗い,マスクの励行を勧めた.同時に,喫煙していることがわかったため,児童への影響も含めて禁煙指導を行った.

Mondor病 藤原 美佐紀 , 川島 篤志
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Case

 患者:36歳,女性.受診日は1月30日.

 現病歴:1月初旬頃,右脇腹付近に筋肉痛のような痛みが10日間ほど続き,その後,痛みがまばらになり,たまに痛い日が続き,最近になって,右胸下のほうに血管らしきものが浮いて出てきて,押したり,腕をあげて伸ばすと痛みがある.

Achenbach症候群 片岡 祐 , 川島 篤志
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Case

手指の血腫が突然生じた1例

 患者:45歳,女性.

 現病歴:突然,右手第3指付け根あたりのチクッとした痛みがあり,その後,皮下出血が広がり近医を受診された.同様のことが以前から時々あり,数日で自然に治るという.家人に膠原病(詳細不明)があることもあり,不安になっているため当院紹介受診となった.特徴的な症状よりAchenbach症候群と診断し,膠原病の可能性は少ないと説明すると安心された.経過観察のみで自然軽快した.

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Bornholm病の概要

 プライマリ・ケアでの胸痛を主訴とする症例のなかで,胸壁痛は20%,GERD(gastroesophageal reflux disease,胃食道逆流症)は13%,肋軟骨炎は13%を占めると報告されている1).Bornholm病(流行性筋痛症)は,このなかで胸壁痛を呈する疾患に該当する.胸痛を生じる致死的な疾患を除外できたとしても,発熱,激烈な胸痛・上腹部痛の訴えを呈する本疾患を知らないと現場では焦ってしまい,患者を不安にさせてしまうことや,必要のない入院を増やしてしまう可能性もありうる.

 本症は1930年代にEjnar Sylvestが,デンマーク領のBornholm島での症例を報告したことに由来する疾患であり2),流行性筋痛症とも呼ばれる.先述のとおり,激烈な疼痛を訴えるため,Devil's grip,epidemic diaphragmatic spasmと呼ばれることもある.わが国では2002年のエンテロウイルス属感染が原因と考えられる高校内集団発生例3)などの報告がある.

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Case

 患者:12歳の男児.

 現病歴:突然,左の胸が痛くなり,不安そうな母親に連れられて受診した.痛みは突き刺すような痛みで,左前胸部に指1本で指せる範囲に限局しており,深呼吸を2回したら1分もせずに突然消失したという.心音・呼吸音・筋骨格・皮膚は異常なし.胸部単純X線写真,心電図は異常なし.

 診断:若年者に突然発症した限局性の胸痛で,1分以内に突然軽快し,身体所見,検査で異常がないことからprecordial catch syndromeと診断した.

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Case

 患者:64歳,女性.

 現病歴:起床時に離床直後に回転性めまい,嘔吐が出現した.安静にすると1〜2分で改善するが,姿勢変化で再発し改善しないため来院.

 所見:意識,バイタルサイン正常.頭を動かすと回転性めまいと嘔気が出現するため左側臥位でじっとしている.感覚障害・麻痺や脱力を認めない.耳鳴や難聴は認めない.Dix-Hallpike試験では,右懸垂頭位で数秒の潜時の後に,めまいの増悪と垂直回旋成分を含む右方向への眼振を認めた.

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Case

遷延する関節痛を主訴に受診したRRV感染症の1例

 症例:30代,女性.

 現病歴:当院受診2カ月前に左足関節の疼痛・腫脹と右膝関節痛を発症した.その後,関節痛は上肢にも広がった.徐々に改善するものの症状が遷延するため当院受診.受診3カ月前から受診数日前まで,オーストラリアのメルボルンに滞在していた.発熱,皮疹はみられなかった.血液検査では白血球,赤沈,CRPいずれも正常であった.RRVの抗体を測定したところ,IgG,IgMともに陽性であり,RRV感染症と診断した.NSAIDによる対症療法を継続し,徐々に関節痛は軽快した.

【機能性疾患の積極的診断とフォロー】

身体表現性障害とMUS 朝倉 健太郎
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Case

「原因不明」の腹痛にて長らく日常生活に支障をきたした症例

 患者:30歳代,女性.

 現病歴:およそ10年にわたる腹痛を主訴に来院.時に下痢や発熱を伴い,症状がひどい時には食事もとれず数日寝込んでしまうこともあったという.これまでいくつかの医療機関を受診したが,血液検査や他の検査でも特に異常はなく「原因不明」といわれている.診察上,腹部全般に軽度〜中等度の圧痛を認めた.会話内容や質問への返答は的確であるが,やや抑うつ的な印象もある.夫と二人暮らし.子どもはいない.事務の仕事をしているが中間管理職の立場でもあり,相応の責任を負わされているという.当初,炎症性腸疾患などを念頭に鑑別を進めたが,やはり検査所見などから一致しない.対症療法を継続し,自宅安静を必要とする診断書を発行,療養を優先することを勧めた.当初は執拗に症状のつらさを訴えるのみであったが,継続的な診療のなか,彼女自身も仕事や家族内の問題と身体の症状に関係があるのではないかと捉えることができるようになり,症状は少し落ち着いた.

過敏性腸症候群 森屋 淳子
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 過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)とは,腹痛と便通異常を主体とする消化器症状が持続するが,その原因としての器質的疾患を同定しえない機能的疾患である.IBSの大部分は,ストレスによる症状の発症もしくは増悪で特徴づけられ,心身症(J1)の病態を呈する.IBSの有病率は主要先進国の人口の10〜15%と高頻度でみられ,女性に多い1).本稿では紙幅の制約もあり,患者への説明の仕方,セルフケアのアドバイスの仕方を中心に述べる.詳細は参考文献を参照されたい.

non-ulcer dyspepsia 吉田 伸
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Case

PPIが奏効したnon-ulcer dyspepsiaの1例

 患者:56歳,男性.

 既往歴:糖尿病,高血圧,肥満症.

 家族歴:父親が胃癌で65歳時に死亡.

 現病歴:上記疾患のため当院通院中の男性.3カ月前から食後の膨満感が出現し,徐々に空腹時の上腹部灼熱痛を伴うようになったため定期受診時に主治医に相談した.痛みは上腹部に限局し,1〜2時間続き,食事で改善する.年齢,家族歴を考慮して上部消化管内視鏡を試行したが,胃癌,胃十二指腸潰瘍,逆流性食道炎の所見はなかった.RomaⅢ基準を満たしており,functional dyspepsiaと診断した.胃粘膜生検の結果H.pyloriが陽性であったため,除菌を行ったが症状は改善しなかった.PPI内服を8週間行ったところ食後の膨満感は改善し,上腹部の灼熱痛も軽減した.

非特異性慢性腰痛 藤谷 直明
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 腰痛を有する患者数はきわめて多く,日本人の有訴者率のなかで,男性では第1位,女性では第2位を占め(2010年国民生活基礎調査),プライマリ・ケアの現場で遭遇する頻度も非常に高い.今回は腰痛のうち,危険な疾患を除外した後の非特異性慢性腰痛(J1)へのアプローチについて述べる.

線維筋痛症 本村 和久
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Case

 医師:全身のCT,頭部,頸部,腰部のMRI,膠原病検査を含む血液検査など詳しく全身を調べましたが,問題はありませんでした.

 患者:問題がないと言われても,痛いのは痛いのですが…….

緊張型頭痛 橋本 修嗣 , 宮崎 景
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Case

 患者:43歳,女性.

 現病歴:20年ほど前から月に2〜3回の頻度で,両側後頭部の締めつけられるような頭痛を認めていたが,日常生活は可能で,市販の鎮痛薬にて症状はコントロールされていた.4カ月前から徐々に頭痛の頻度が増加し,鎮痛薬を週4日以上服用するようになり他院を受診した.頭部MRI検査で異常なしと言われたが,症状に改善がないため当院を受診した.意識清明,身体所見,神経学的所見に異常なし.

【疾患の見つからない患者へのアプローチ】

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 プライマリ・ケアの外来診療では,“診断が難しい”,“ラベリングが難しい”が,患者さんの症状が継続する場合がある.そのような場合にも,外来診療にストレスを感じることなく,診療を継続していくには,どのようなことが必要だろうか? 良い信頼関係を維持しながら,不確実性と向き合い,解決への光を見出すためのヒントについて説明したい.

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 このところ,『JIM』誌でピットフォール系の特集をすると,特に若い読者から大きな反響があります.「見逃してはいけない!」という視点は,もちろん大事なのですが,一方で,外来診療で圧倒的に多いのは,そうとも言えない患者さんではないかと思います.ところが,帰してはいけない疾患を除外した後については,あまり教育で取り上げられることもなく,対処法に困っている先生方が多いのではないかと思うのです.

 今回の特集では,self-limitingな疾患のラベリング,機能性疾患といわれるものへの対処法,そして最後に,よくわからないけれど症状がある状態で長くかかるケースとの付き合い方と,この3つを取り上げました.

 この鼎談では,これらをつなぐ見取り図的なものを示せればと思っています.

(企画:藤沼康樹)

Editorial

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 地域基盤型のプライマリ・ケアを主たる任務とする総合診療医,すなわち家庭医にとって,慢性の健康問題のケアは極めて重要な課題である.

 たとえば7年前の脳梗塞により,右不全片麻痺があり,高血圧症のある69歳の男性のケアを考えてみよう.この患者の問題点を①高血圧症,②脳梗塞後遺症の2点で内科外来フォローアップ中であるという記載はしばしば目にする.脳梗塞後遺症は固定しているので,内科的ケアの範囲外というふうにされるかもしれない.

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病歴

患者:83歳,男性.

主訴:意識消失.

現病歴:来院当日午前9時半から陶芸教室に参加.昼12時頃,片付け後にイスに座り休憩していた際,ふらつきを自覚し直後に意識を消失した.偶然血圧計があり周囲の人が測定すると78/36mmHgであり,救急要請.意識消失時から周囲の人が崩れ落ちないよう坐位のまま支えていた.救急隊到着後,臥位にして間もなく意識を完全に回復.意識消失時間は20分程度.強直間代性痙攣なし.当院到着時に茶色便の失禁あり.来院1週間前から水様下痢便,食事摂取量低下,体重減少(70kg台後半→73kg)あり.

既往歴:40年前,多発脳梗塞.20年前,糖尿病.15年前,十二指腸潰瘍.10年前,脂質異常症,高血圧症,前立腺癌.5年前,両側内頸動脈狭窄.

生活歴:ADL自立.妻と2人暮らし.喫煙は1日3本(20〜25歳当時).飲酒は日本酒1合/週.

内服:アムロジピン5mg,ドキサゾシン2mg,イミダプリル5mg,アスピリン100mg,シロスタゾール200mg,グリメピリド1mg,アトルバスタチン10mg,ランソプラゾール30mg,ナフトピジル25mg,デキサメサゾン1mg.

ROS陰性:頭痛,胸痛,冷汗,動悸,腹痛,嘔気・嘔吐,便秘,黒色便,意識消失前の便意・尿意,意識回復後の見当識障害.

シネマ解題 映画は楽しい考える糧[88]

「おくりびと」 浅井 篤
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死者に対する日本人の相反する思いと,自分の想いの伝え方

 本作は日本映画歴史上初めて,米国アカデミー外国語映画賞(第81回)を受けた作品です.主人公の大悟が遺体を棺に納めるのを業務とする納棺師として働くことになり,雇い主の佐々木をはじめ多くの人々と出会い,死者をあの世に送るプロとして成長していくお話です.大悟と美香(妻)を中心とした家族の物語として観ることもできるでしょう.死はいつでも社会的に大きな関心事です.一方で死は,常にタブー視されてきました.本作は多くの死と死者,納棺師を正面から描き,観る者に日本人の死生観を改めて考えさせてくれます.死とは何か,生と死はどのような関係にあるのか,そして死者の尊厳はいかなるものと認識されているのか,そして死穢(死の穢れ).語るべきことはたくさんありますが,今回は死者に対するわれわれ日本人の相反する思いと,自分の想いの伝え方について,ちょっと考えてみましょう.

 大悟の妻美香が彼の仕事について知り,触れようとする夫に向かって「さわらないで.けがらわしい」と叫ぶシーンは,本作品の最も印象的なシーンの一つでしょう.大悟の仕事を知った幼なじみも,そんな仕事はすぐにやめるように言います.「死者は穢れている」という昔ながらの日本人の感覚は,文献学的には神話『古事記』の中の神の身体が腐り,蛆が湧いていたエピソードまで遡ることができるそうです.死穢の感覚は死者に触れる者にまで及び,現代社会においてすら納棺師は差別されています.その理由は何でしょうか? はっきり分かっていないと思います.生きている者の本能かもしれません.

みるトレ

Case 71 佐田 竜一
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Case 71

患者:78歳,女性.

主訴:両下肢筋力低下,頭重感.

生活歴:もともとADL自立,喫煙・飲酒歴なし.

既往歴:4年前に慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy : CIDP)の診断にてIVIg/ステロイド治療で軽快.1年前にDVTに対しIVCフィルター留置.

薬剤歴:PSL 9mg,アザチオプリン100mg,ワルファリン2mg,タケプロン

現病歴:1日前から両下肢の力の入りづらさと頭重感を自覚していた.入院当日,こたつから起き上がれないため当院に救急搬送された.

身体所見:血圧152/52mmHg,脈拍70回/分,体温38.9℃,呼吸数16回/分,SpO2 98%,GCS E4/V5/M6=15点,頭頸部・胸部・腹部・四肢に明らかな異常なし.(神経所見)脳神経に異常なし,協調運動・感覚・反射異常なし.病的反射なし.項部硬直/neck flection test/jolt accentuationすべて陰性.両側腸腰筋/大腿四頭筋/大腿二頭筋のMMTは4,上肢・下肢遠位筋は5.

髄液所見:初圧18cm/H2O,単核球6/3μl,分葉核球0/3μl,乳酸2.3mg/dl,蛋白56mg/dl,髄液糖58mg/dl(血糖127mg/dl).

経過:無菌性髄膜炎ないしはCIDPの増悪を考え,髄液培養の期間を延長してもらい経過観察していた.しかし発熱・頭痛は全く改善せず,入院12日目に髄液培養陽性の報告があった.髄液穿刺を再度行い,グラム染色を施行した(図1).

Case 72 岩崎 靖
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Case 72

患者:妊娠20週の33歳,初産婦.

現病歴:妊娠悪阻のため経口摂取不良となり2週間前から産婦人科に入院中である.入院時より維持輸液の持続点滴を継続していたが,昨日より歩行時のふらつきがみられ,今朝より意識障害と全方向性の眼球運動障害を呈した(図1).

 緊急で施行した頭部MRI FLAIR像を示す(図2).

Case 73 忽那 賢志
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Case 73

患者:50代,女性.

主訴:発熱,皮疹.

病歴:昨夜から熱っぽさを自覚していたが自宅で様子をみていた.今朝になって下肢の激痛と斑状の紫斑が出現したため近医Aを受診し,総合感冒薬と解熱薬を処方された.解熱薬を内服し一時的に解熱したが,紫斑は上肢にも出現し全身倦怠感が強くなってきたため救急車を要請し,B病院に搬送された.B病院搬送時,収縮期血圧は50mmHg台,体温35.0℃,四肢冷汗を認め敗血症性ショックが疑われたため,精査加療目的で紹介受診となった.

ROS(+):全身倦怠感,下肢筋肉痛,両膝関節痛.

ROS(-):嘔気・嘔吐,下痢,咳・痰,咽頭痛,排尿時違和感,胸痛,腹痛.

既往歴:交通外傷のため脾臓摘出術(40代).

生活歴:野山の散策などしておらず,ダニの曝露なし.

身体所見:体温35.3℃,脈拍120回/分,血圧72/40mmHg,呼吸数23回/分,SpO2 92%(酸素2l下).GCS 13(E3 V4 M6),項部硬直なし,その他の髄膜刺激症状も陰性.呼吸音:ラ音なし,心雑音なし.下肢を中心に全身に斑状の紫斑を認める(図1),痂皮なし.

Dr.徳田と学ぶ 病歴と診察によるエビデンス内科診断・2

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徳田:皆さん,こんにちは.この連載では臨床疫学的アプローチを用いた具体的な診断戦略を学んでいきます.実際に遭遇した症例に基づいて,レジデントの皆さんとの対話形式で進めていきます.最近の夏は,全国各地で気温が40℃近くにも昇る猛暑が通常となってきています.このような環境では脱水が起こりやすく,特に高齢者はリスクが高くなります.高齢者の脱水は見逃すと死亡率も高くなるため,早期の輸液により予後を改善させる必要があります.今回は脱水疑いのケースについて,まずは症例の病歴と身体所見,簡単な検査結果をみてみましょう.

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◆入院後および手術後の発熱でも,熱源精査をするうえで詳細な問診と診察が何より重要であることは言うまでもない.

血液内科学が得意科目になるシリーズ・7

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 前回は血小板減少のお話をしました.今回は,逆に血小板の増加を考えてみます.

 血小板が多い患者も,普段の診療で見かけることがあると思います.血小板減少とは違って慌てる必要はないかもしれません.しかし,このまま外来で経過観察というのも心配です.そのような経験をされた先生も少なくないのではないでしょうか?

 今回も症例を通して考えてみましょう.

誰も教えてくれなかった不定愁訴の診かた・12

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 今回は,過換気発作を繰り返し,希死念慮,めまい,意識消失発作なども伴っていた40代女性の症例をご紹介します.

メンタルクリニック便り・28

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■薬物療法

 今どきの女性の「うつ」に対する薬物療法について,この連載の第12回に「彼女たちのは気分の問題であるより情緒の問題なので,まず情緒を安定させることを優先的に考える.そのためにアリピプラゾール(エビリファイ)3mg錠のさらに1/4を使うのが有効なケースが多い」と書きました.そして「実は男性でも同じだ」とも書きました.

 ただ,女性の場合にはいきなりSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)を使うことはないと書きましたが,男性の場合は「会社に行けない」「朝起きられない」「デスクに向かっても頭が働かない」など意欲や思考力・集中力の低下を訴えるケースが多いので,アリピプラゾールに加えてSNRI,特にサインバルタを処方することが多いです.動悸や手の震えなどの不安症状が強ければ抗不安薬のロフラゼブ酸エチル(メイラックス)か抗てんかん薬に分類されるクロナゼパム(リボトリール,ランドセン)を加え,不眠が強ければ睡眠薬を加えるのは女性の場合と同じです.

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かけがえのない一人の存在として尊重すること

 私たちは誰もが人生の折々にスピリチュアルな苦悩に直面する.患者のスピリチュアルな苦悩に医療者は当然対応すべきものであるが,適切なアプローチがとられず,時には睡眠薬や抗不安薬などで,患者はその苦悩に向き合うことすらできずに最期を迎えることさえある.著者がいうように「スピリチュアルペインは人間にとって成長の痛み」であるにもかかわらず.

 本書はスピリチュアルケアについて,丁寧に,丁寧に解きほぐしている.すなわち,「スピリチュアリテイ」,「スピリチュアルケア」,「スピリチュアルペイン」,「スピリチュアルな経験」について,医療の実践家にわかりやすく(時には哲学的表現で)丁寧に説き,「目の前の相手を人格として大切に遇せよ」という結論に導いてくれるのだ.読者は読み進むうちに医療者としての自分自身の原点に立ち返り,「人を大事にする」という姿勢に立脚することが,最も大切なケアであることはもちろん,そのプロセスを通して自分自身の成長につながっているのだと気づいていく.医療・ケアの対象は,かけがえのない存在としての“個”であり,それをどれだけ尊重できるかが,その質に大きく影響することを改めて確認した.

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基本情報

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JIM
24巻10号 (2014年10月)
電子版ISSN:1882-1197 印刷版ISSN:0917-138X 医学書院

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