JIM 24巻9号 (2014年9月)

特集 臨床医のための産業医マニュアル

今月のQuestion & Keyword Index
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より早く,より的確に内容をとらえるために,QuestionとKeywordによるIndexをご利用ください.それぞれ各論文の要点を示す質問とキーワードで構成されています.

Question

Q1 産業医や産業保健についてもっと知りたいが,どう探したらいいか? 793

Q2 産業医の職務について述べよ. 797

Q3 適性管理って何ですか? 800

Q4 健康診断における早期発見,介入のポイントは? 804

Q5 過重労働面談の目的は何か? 810

Q6 職場復帰の可否判断面接で産業医が確認すべきポイントは何でしょうか? 815

Q7 産業医と事業主,労働者との関係の基本は? 820

Q8 企業の従業員が開発途上国のA国に長期滞在することになった.注意すべき感染症についてアドバイスすることになったが,どのようにして情報収集すべきか? 823

Q9 新たな職業性疾患を予防するには? 826

Q10 自閉症とは? 828

Q11 アスペルガー症候群とは? 828

Q12 産業医の訴訟リスクを避けるには? 830

One more JIM
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Q1:初めて産業医として活動開始するに当たって,何から始めればいいですか?

A1:担当する事業場の特質をまず理解しましょう.具体的には,何を,どこで,誰が,どのように作っている,企業なのか…,ということの基本理解です.会社の組織図があれば,ぜひ参考にしましょう.全体がわかります.次に,安全衛生委員会の開催について尋ねましょう.同委員会を定期的に開催しているという会社文化であれば,その時点で最初の合格点のつく会社です.労働安全衛生管理体制図があるので,あればこれも見せてもらってください.これができている会社は,相当に信頼のおける会社です.なぜならそこには,産業医の組織上の位置づけも,安全管理者,衛生管理者等の各役割と機能分担も明瞭となっているからです.ここまで安全衛生活動が機能しているようであれば,あとは産業医としての基本である定期的な職場巡視,定期健康診断結果に応じた就業制限や保健指導の実施,面接指導等という具合に順番に進めていけばいいのです.安全衛生法改正等が予定されている場合には,積極的に安全衛生委員会等にて解説をしてあげると,職場の方々は喜びます.

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 やや古いデータになるが,産業医学基礎研修で資格を得た産業医は,2008年11月現在で約75,000人である.同年12月末の届出医師数が28万7,000人なので,医師全体の約4分の1が産業医資格を有していることになる.産業医はわれわれにとって身近な職種と言えよう.本誌の読者の中で,これまで医学教育やOJT(On the Job Training)を通じ「産業医」という名称を一度も聞いたことがない,という方はいないであろう.本稿では産業医,特に嘱託産業医について概説する.

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産業医とは?

■法律の根拠

 職場において労働者の健康管理等を医学的観点から効果的に行う役割を担うのが産業医である.産業医の要件は,労働安全衛生法第13条に産業医の要件や業務が定められている.

 さらに法律では示されていない具体的な活動内容等は,労働安全衛生規則第13条(産業医の選任),第14条(産業医及び産業歯科医の職務等),第15条(産業医の定期巡視及び権限の付与)などに記載されている.このように法令上の根拠を持った産業医は,労働者の健康管理等を効果的に実施するために,常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場では,専門家として労働者の健康管理等に当たらせる産業医を選任しなければならないことになっている.

【現場に応じた産業医の1日】

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Case

産業医の提案にて長時間労働が削減できた事業所

 ある情報通信企業では,毎年労使間にて長時間労働の短縮を目指した活動の打ち合わせを行ってきたが,いつもスローガンに終わり,過去25年一度も労働時間の短縮に成功していなかった.長時間労働対策の協力を打診された産業医は,労働安全衛生マネジメントシステムの導入を提案し,次のように指示をした.

 「時短の目的は社員のワークライフバランスの向上である」,「全員が運動に参加すること」,「達成可能な目標を設定すること」,「実施可能な行動目標を職場単位で作ること」,「職場で定期的に行動達成の確認を行うこと」.

 これらを全職場で実施したとたん,即座に効果が表れ,翌1年後には約6割の職場が10%以上の残業時間短縮に成功した.副効用として職場のコミュニケーションも活性化され,メンタルヘルス不調者の減少にもつながった.

早期発見 福田 洋
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Case

高血圧の指摘を放置して腹部大動脈解離を発病した1例

症例:59歳男性,喫煙者.

現病歴:定期健康診断にて,例年,高血圧を指摘されており,2~3年前は140/90mmHgをわずかに超える程度であったが,今年は160/102mmHgと上昇が見られた.胸部X線では,大動脈蛇行の指摘のみであった.事後指導では,禁煙の必要性に加えて,月残業時間が60~80時間程度の比較的忙しい部署で働いていたため,過重労働を避け,自宅血圧の測定と規則正しい生活を心掛け,早めにかかりつけの内科を受診するよう話したが,本人は「忙しい」「症状がない」などの理由で受診を先延ばししていた.事後指導から3カ月後の早朝,自宅で突然の背部痛を自覚し,救急搬送され,腹部大動脈解離と診断された.

早期介入 福本 正勝
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背景

 企業における残業の増加は,“過労死”という言葉が社会でも使用されるようになった2000年頃から大きな課題として注目されてきた.残業時間が月45時間以上になると,脳血管疾患,心疾患発症の可能性が高くなることを示し,企業に対して管理の必要性を説いている.精神面に対する影響も同様に,残業時間が多くなると大きくなることは自明である.また,労働基準法改正により,2010年4月から,残業時間60時間以上の場合,通常の残業時間の2倍,つまり時間当たり1.5倍の賃金の支払いを命じている.

 このような背景から考えると,労働者の残業時間,つまり超過勤務が月100時間を超える場合は多くないように思われるが,実際にはどうであろうか.企業の中には常態化しているところもあり,社員全体の平均残業時間が150時間を超えていた事例もある.

職場復帰に向けて 津久井 要
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Case

うつ病から回復し,無事復職に至った一例

患者:41歳,男性.製造業営業職(営業職13年目).

既往歴:特記すべきものなし.

家族歴:精神疾患の負因なし.

性格:周囲に気を遣う穏やかな性格で,これまで仕事と家族を大切にしてきた.

現病歴:6カ月前から不況のあおりを受け営業成績不振となり,これを直属上司A氏から2時間連続して叱責され,朝礼で他のスタッフの前でも面罵される機会が重なる.2カ月前には親しい同僚が異動となり,結果,上司A氏と1対1になる機会が増える.同時期より頭から仕事のことが離れなくなり,体重減少,中途覚醒,全身倦怠感などが出現し,「楽なんだろうな…電車に飛び込んじゃえば」と出勤時に考えるに至る.これらが産業医との面談で本人より語られたため,医療機関紹介受診となる.

 診察の結果,うつ病(中等症エピソード)と診断され,自宅療養と薬物療法(セルトラリン100mg,アルプラゾラム1.2mgほか)が開始される.自宅療養開始2カ月後,主治医より職場復帰可能の診断書が提出される.これを受け産業医は,生活リズム,疲労感,体力回復等の調整・評価目的に出勤練習を開始.あわせて,今回の発症経緯を振り返り,同じことを繰り返さないために生活・業務上で何を軌道修正し,どのような心身の変調が出現したら要注意であるのかについて検討した.これらのプロセスを経て職場復帰し,その後長期にわたり順調な経過を得た.

【産業医が知っておきたい知識集】

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 産業医は労働者と企業の間で,企業のためにはその健康配慮義務を尽くす義務を,労働者に対してはその健康保持義務を,それぞれサポートすることが求められている.産業医の業務の中で健診の事後措置や過重労働者・メンタルヘルス不調者に対する面接指導とその事後措置は,多くの時間を割かねばならない業務となっており,これらはまさに労使双方をサポートする重要な職務である(図1)1).この際に,労働者のsensitiveな健康情報を含む個人情報の取扱いには十分注意する必要がある.

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Case

マラリアと診断された1例

患者:30代,女性.

現病歴:体温37.5℃,1日前から発熱,寒気,倦怠感,頭痛,関節痛があり,解熱剤を使用している.アフリカのブルンジの友人を訪問し,南アフリカ,レソト,ナミビア,ルワンダを3週間にわたって旅行してきた.旅行中に蚊に刺されたことがあった.友人はマラリアの既往があった.途中の乗り継ぎのケニア空港で発熱があったため受診した際,マラリアの可能性があるとして治療薬を処方され服用中.血液検査は受けていない.

検査結果:簡易検査キット;First Response Malaria Ag. pLDH/HRP2 Combo Test (Premier Medical)(熱帯熱マラリア陽性).

血液像でマラリア原虫を確認(写真).染色法はギムザ染色,アクリジンオレンジ染色.

PCR法による血液検査:マラリア陽性(熱帯熱マラリア),デング熱陰性,チクングニア熱陰性.

診断名:熱帯熱マラリア.

近医を紹介,入院後,直ちにマラリア治療を継続.

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 2012年3月に大阪の印刷会社(A社)でオフセット印刷業務に従事した元労働者が胆管がんに罹患したとして労災申請がなされた.その後の調べで,同事業場の現および元従業員での胆管がん症例は合計17例に上り,すべて業務上疾病と認定された.他の印刷会社でも多数発症し,そのうち2014年6月までに15名が業務上と認定された.

 A社においては,産業医や衛生管理者が選任されていなかったことが指摘されている.では,産業医や衛生管理者を選任していれば,どこまで予防できただろうか? 本稿にて検証してみたい.

職場における発達障害 新開 隆弘
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Case

患者:47歳男性,Aさん.

 Aさんはサラリーマン家庭に1人っ子として生まれ,何不自由なく育った.地元の進学校から国立大学工学部へと進み,さらに大学院で工学博士を取得,自動車メーカーにエンジニアとして就職した.入社以来,エンジンの不具合に関するトラブルシューティングを担当し,仕事ぶりも堅調であった.元来,人付き合いは苦手で,親しい友人もおらず,これまで結婚もしていない.会社近くのアパートに1人暮らし.これといった趣味はなく,部屋にこもってテレビゲームをするか,たまに近くの健康ランドに行く程度である.食事はコンビニ弁当や牛丼チェーンなどですませることが多い.

 昨年,海外への生産拠点シフトに伴い,社内で大幅なリストラが行われ,販売店へ異動となった.Aさんは入社以来の技術者から,全く畑違いの営業マンとなった.先輩販売員が営業のノウハウを教え込んだが,接客の仕方や顧客ニーズをつかむ会話術などが苦手で,なかなか車は売れず,ついに1年経っても1台も売ることができなかった.

 上司である販売店長はこれに立腹した.Aさんに,なぜ車が売れないか反省日記を毎日書かせたり,居残りで洗車や店舗清掃をさせたりした.さらには朝礼で,「入社以来,私の販売台数はゼロです」と皆の前で言わせたりもした.相談する同僚もおらず,トイレで嗚咽したり,食べた昼食を嘔吐する姿が目撃された.そのうちに自宅でも自分を叱責する上司の声が耳から離れなくなった.頭痛や不眠も訴え,会社の健康管理室へ相談した.

 相談を受けた産業医は,市立病院の総合診療科を受診させたが,スクリーニング検査や頭部CTに「特記異常はない」との返事であった.次に産業医は精神疾患を疑い,Aさんを当科(大学精神科)へ紹介した.紹介状には,幻聴体験から統合失調症の可能性も否定できないとの見立てがあった.

 診察すると,Aさんはややおどおどした様子で,顧客にどう話かけていいかわからないと言う.幻聴体験について質すと,夜間や休日も上司の叱責する顔が浮かぶとは言うものの,はっきりとした幻聴などの病的症状は特定できなかった.

 心理検査では,認知能力のアンバランスさや,他者の気持ちを読み取る能力に難があることが示唆された.

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 産業医が法的責任(J1)を追及されたり,まして訴訟を提起されたりすることは,まだまだ少ない.

 しかし,産業医の役割が注目を集めれば集めるほど,トラブルに巻き込まれるリスクは高まるであろうし,実際,徐々に産業医が訴えられるケースは増えてきているように感じられる.

Editorial

産業医はワクチンだ 伊藤 澄信
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 オフィスで管理職をしていると,部下の勤務時間管理や体調管理が気になる.とりわけ,一番頼りにしている事務官の超過勤務時間が100時間を超え,産業医面談の対象になったりするとなおさらである.企業の経営者の方も同様のようで,経営者から部下の方をご紹介いただくことがある.経営者も知っているし,紹介された方(患者)も知っているし,産業医と同じジレンマに悩むことになる.産業医制度指定講習会に参加しても,職場復帰のコツや産業医のジレンマ,自閉症などの方の職場への適応障害など,すっきりしない疑問点を持ち合わせていた.

 本特集はそんな臨床医の悩みを解消することを目的に企画した.職場復帰の可否判断にはいつも悩んでいたが,津久井先生の「午前中から図書館などへ行けて午後には軽い運動が可能である」といった明確な指標は,明日の診療の役に立つ.産業医に期待されている役割は職場における健康障害の予防であろう.残念ながら平成24年に労災申請された印刷業務に従事した労働者から発症した胆管がん症例はなぜ防げなかったのか,その疑問にも本特集は対応した.

What's your diagnosis?[141]

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病歴

患者:特に既往のない24歳,男性.

主訴:腹部膨満感,下痢.

現病歴:来院90日前より軟便傾向になった.徐々に頻度が増加し,30日前には1日10回の水様便が認められるようになった.同時期より腹部膨満感が出現し,間欠的に腹部正中に鈍い腹痛を認めるようになった.また寝汗も認め,食事量も5割程度になった.これらの症状が改善しないため,総合診療科外来を受診した.ティッシュで肛門を拭いた時に血が付くことがあるが,明らかな血便はない.

既往歴:特記事項なし.

内服薬:なし.

嗜好歴:タバコ20本/日×5年,焼酎1本/週.

陰性所見:黒色便,渋り腹,悪心・嘔吐,体重変化,悪寒,排尿時痛,頻尿,血尿,残尿感,頭痛,胸痛,呼吸苦,咳嗽,喀痰,皮疹,関節痛,動悸,振戦,暑がり,睾丸腫脹.

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 本誌では,昨年7月号の特集「症候別“見逃してはならない”疾患の除外ポイント」(『JIM』23巻7号)が品切れ大好評につき,今年7月号でPart Ⅱ(24巻7号)が企画され,引き続き11月号(24巻11号)ではPart Ⅲが準備されている.

 また同テーマで今年1月12日,公開収録セミナーを開催した.講師は,上記特集の企画者であり,わが国のトップジェネラリストとして名高い徳田安春氏と,本誌好評連載「血液内科学が得意科目になるシリーズ」の著者であり,優れた指導医として知られる萩原將太郎氏にお願いした.前々号から3回にわたり,公開収録セミナーでの白熱のカンファレンスをお届けしている.今回は第3部である.

メンタルクリニック便り・27

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 前回は,肥大した自己愛の矯正方法の一つとして認知行動療法をご紹介しました.今回はちょっと趣を変えて,野球を例に自己愛さんへの心得をご紹介します.

みるトレ

Case 68 岩崎 靖
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Case 68

患者:51歳,女性.身長152cm,体重82kg.

現病歴:糖尿病と脂質異常症で加療中である.半年前から明け方になると,右手指先に「ジンジン」と感じるしびれ,痛みが出現するようになった.2カ月前から家事をしている時など日中にも症状を自覚するようになり,1カ月前から物をつまむ時に右母指に力が入りにくいことを自覚した.手を振ると症状は軽くなる傾向があり,しびれ感は右第Ⅰ~Ⅲ指と,第Ⅳ指の第Ⅲ指側だけであった.

身体所見:右手関節の正中付近をハンマーで叩くと指先にしびれ感が放散し(図1),両手関節を屈曲し胸の前で甲を合わせた状態にすると右指先にしびれ感が出現した(図2).

Case 69 忽那 賢志
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Case 69

患者:30代,男性.

主訴:発熱,呼吸困難,全身倦怠感.

病歴:数日前より体調不良を訴えていたが,来院当日道端で倒れているところを発見され近医に救急搬送された.近医での検査の結果,肺炎と診断され当院に転院となった.来院時,意識混濁と右肺炎による重症呼吸不全のため気管挿管され,人工呼吸管理が開始された.来院時に採取された喀痰グラム染色では少数のグラム陽性球菌,陽性桿菌,陰性桿菌を認めたため,誤嚥性肺炎の診断でドリペネムの投与が開始された.その後も呼吸状態の改善がみられず,発熱が続くため感染症内科にコンサルトとなった.

既往歴:気管支喘息.

身体所見:血圧155/99mmHg,脈拍95回/分,呼吸数20回/分,SpO2 97%(FiO2 0.4),体温38.6℃.

胸部聴診上,右肺野で吸気終末時のcracklesおよび肺野全体で呼気時のwheezeを聴取した.

検査所見:胸部X線検査:右中下肺野に浸潤影を認める(図1).血液検査:WBC 18,580/μl,RBC 4.69×106/μl,Hb 13.0g/dl,Plt 23.2×103/μl,AST 479IU/l,ALT 158IU/l,ALP 1,653IU/l,CK 39,800IU/l,BUN 44.3mg/dl,Cre 3.25mg/dl,CRP 45.81mg/dl,Na 128mEq/l,K 4.3mEq/l,Cl 90mEq/l.尿中抗原検査:肺炎球菌(-),レジオネラ(-).喀痰のヒメネス染色所見を図2に示す.

Case 70 佐田 竜一
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Case 70

患者:65歳,女性.

主訴:右眼の霧視・視力低下.

生活歴:もともとADL屋内自立,喫煙・飲酒歴なし.

既往歴:他院にて20年来の関節リウマチ,半年前から骨髄異形成症候群と診断.

    (末梢血の芽球陰性/骨髄中の芽球9%:RAEB typeⅠ)

薬剤歴:他院にて2年前からエタネルセプト使用中.

現病歴:骨髄異形成症候群に対して,他院にて赤血球輸血を月に1回,血小板輸血を2~3カ月に1回実施.好中球減少に対して10日に1回G-CSF注射が行われていた.2週間前から右眼の視力低下を自覚したため,1週間前に近医眼科を紹介受診したところ,前房の炎症と硝子体混濁,黄斑部に白色塊と出血を認めた.点眼薬で経過観察されていたが,徐々に視力低下が進むため,当院に紹介された.

身体所見:前房蓄膿あり(図1),右眼は手動弁.

検査所見:WBC 1,600/μl(Neut 25%),Hb 7.5g/dl(MCV 78fl),Plt 2.1×104/μl.

Dr.徳田と学ぶ 病歴と診察によるエビデンス内科診断・1【新連載】

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徳田:皆さん,こんにちは.この連載では臨床疫学的アプローチを用いた診断戦略の具体的な方法を学んでいきます.実際に遭遇した症例に基づいて,レジデントの皆さんとの対話形式で進めていきます.今回は,毎年冬に流行期を迎えるインフルエンザの診断についてです.まず,症例の病歴と身体所見,簡単な検査結果をみてみましょう.

誰も教えてくれなかった不定愁訴の診かた・11

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 今回は慢性疼痛,乳癌術後に各所の疼痛が持続した一例について紹介します.

シネマ解題 映画は楽しい考える糧[87]

「エクソシスト」 浅井 篤
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医療専門職のプライバシー保護義務を考える

 ホラー映画の古典的傑作.公開当時は確か「オカルト」というジャンル名で呼ばれていました.初めて観たのがリバイバル劇場上映の時,かれこれ30年前の高校生時代になります.凄く怖かったことを憶えています.本作のあと続編も2本作られ,最近はメリン神父の若き日を描いた第4作もありました.しかし単にホラーとしてではなく,映画の歴史の中で古典としての地位を確立しているのは第一作だけでしょう.

 本作はタイトルが示す通り,エクソシスト(悪魔払い師,ちなみに悪魔払いがエクソシズム)の活躍を描いています.イラクで発掘作業をしていたメリン神父が悪魔の像を発掘しました.そのあと米国ワシントンD.C.に住む女優クリスと12歳の娘リーガンが住む家に異変が起き,天井裏でガサゴソ音がしたり,ベッドが動いたり,コックリさんが勝手に動いたりします.そのあとリーガンの様子がおかしくなり,医療機関で複数の科の医師から診察や検査を受けますが,原因がわかりません.同時に近所の教会ではマリア像への冒涜行為や変質者によると思われる殺人事件も起きます.

血液内科学が得意科目になるシリーズ・6

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 前回は,免疫学的機序による血小板減少の代表的な疾患である「特発性血小板減少性紫斑病」をとりあげました.では,次の症例を一緒に考えてみましょう.

臨床の勘と画像診断力を鍛える コレクション呼吸器疾患[37]

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本連載では,沖縄県臨床呼吸器同好会の症例検討会をもとに,実況中継形式で読者のみなさんに呼吸器内科疾患を診る際のポイントとアプローチ方法を伝授したいと思います.宮城征四郎先生の豊富な臨床経験に基づいたコメントに注目しながら読み進めて下さい.画像診断のポイントと文献学的考察も押さえています.それでは早速始めましょう.今月のテーマは,慢性咳嗽(湿性),血痰,および1カ月前からの腰痛と左下肢のしびれ・疼痛を呈した57歳男性に対するアプローチです.

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◆われわれは第270回日本内科学会北海道地方会専門医部会教育セミナーにて症例提示を行った.今回はその症例を『New England Journal of Medicine(NEJM)』誌におけるClinical Problem Solving形式で報告したい.

(注:Clinical Probrem Solvingは『NEJM』の連載であり,プレゼンターと解説者が交互にプレゼンテーションと解説を加えていき,最終診断に至る,という方式で書かれている.本稿でも同様な方式で,プレゼンターの文章は太字で,解説者の文章は細字で記載する.)

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 的確な日本語訳のない用語は理解が難しい.スピリチュアルケアもその一つである.「霊的」「魂の」「精神の深い部分の」などいずれの訳語もピンとこない.

 新進気鋭のホスピス医である岡本拓也君がこの問題に取り組んだ.その基礎となっているのが構造構成理論である.岡本君は単著第一作『わかりやすい構造構成理論』(青海社)でケアにかかわる理論的枠組みを示した.

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●診断学を超えた,臨床のバイブルとも言える一冊

 本書は診断の道筋や戦略を言語化した,今までの診断学書とは一線を画す一冊である.普段ベテラン医師が無意識に頭の中で行っている臨床推論,つまり「戦略」を明快に言語化・理論化し,私のような経験の浅いレジデントでもその思考過程を容易にたどれるように書かれている.そして,ベテラン医師の戦略に豊富なバリエーションがあるように,本書にも実際の診療で使える多彩な戦略バリエーションが記載されている.これらの戦略を明日からの実臨床で実践していくことで,診断のエラーを防ぎ,より早く確実な診断へと至ることができるはずだ.

 今までの診断書と大きく異なる点がもう一つ.臨床推論の具体的なトレーニング方法が詳細に述べられている点である.経験豊富なベテラン医師が患者を目の前にしてどのように考え,診察し,診断していくのか.その思考過程を身に付けるためのトレーニングをどのように行えばよいのか.その具体的な方法論にも言及している.

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基本情報

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JIM
24巻9号 (2014年9月)
電子版ISSN:1882-1197 印刷版ISSN:0917-138X 医学書院

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