特集 帰してはいけない疾患を除外した後の外来診療
【self-limitingな疾患の積極的診断】
Bornholm病(流行性筋痛症)
神宮司 成弘
1
,
岩田 充永
1
1藤田保健衛生大学病院救急総合内科
キーワード:
エンテロウイルス属
,
コクサッキーウイルスB群
,
発熱と体幹の激烈な筋肉痛
Keyword:
エンテロウイルス属
,
コクサッキーウイルスB群
,
発熱と体幹の激烈な筋肉痛
pp.900-901
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414200009
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Bornholm病の概要
プライマリ・ケアでの胸痛を主訴とする症例のなかで,胸壁痛は20%,GERD(gastroesophageal reflux disease,胃食道逆流症)は13%,肋軟骨炎は13%を占めると報告されている1).Bornholm病(流行性筋痛症)は,このなかで胸壁痛を呈する疾患に該当する.胸痛を生じる致死的な疾患を除外できたとしても,発熱,激烈な胸痛・上腹部痛の訴えを呈する本疾患を知らないと現場では焦ってしまい,患者を不安にさせてしまうことや,必要のない入院を増やしてしまう可能性もありうる.
本症は1930年代にEjnar Sylvestが,デンマーク領のBornholm島での症例を報告したことに由来する疾患であり2),流行性筋痛症とも呼ばれる.先述のとおり,激烈な疼痛を訴えるため,Devil's grip,epidemic diaphragmatic spasmと呼ばれることもある.わが国では2002年のエンテロウイルス属感染が原因と考えられる高校内集団発生例3)などの報告がある.
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