看護管理 29巻5号 (2019年5月)

特集 「関係の質」の高いチームをつくる 信頼と共感に基づく対話型の組織開発

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多様な知識や経験を持ったメンバーが,それぞれの特性や持ち味を主体的に生かし,知恵と力を合わせて協働できれば,その組織は継続的に成果を上げていくことができるでしょう。

その基盤として,信頼と共感に基づき協働する「関係の質」の高いチームをつくる,対話型・支援型のリーダーシップが求められます。

リーダーは,職場に「心理的安全性の高い場」をつくり,1人ひとりが自由で多様な発言をすることを促します。また,ビジョンの共有や,取り組むべき課題の共有を促し,職種や役割,部門の壁を超えた協働も促していきます。

本特集では,チームメンバーの「関係の質」を高め,人も組織も生きる対話型の組織開発とそのマネジメントについて,理論と技法,実践を紹介します。

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本特集のテーマである「関係の質」とは,「人間関係の状態」を意味する。関係の質が高まることにより,好循環が生まれ,結果として働きやすく成果も上がる職場が形成される。本稿では,関係の質の高いチームづくりの基本的な考え方を,特に「心理的安全性」の視点を重視しながら解説する。

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本特集では「関係の質」をテーマにしていますが,ここでは「関係の質」を高めるための具体的なコミュニケーション技法を紹介します。

①技法を使う前提,②よりよい影響を与えるための伝え方,③1on1ミーティング,④合意形成,最後に看護師長自身やスタッフの感情をマネジメントするための技法として⑤マインドフルネスを紹介します。

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 長尾文雄氏は29歳で進行性筋萎縮症を発症。病と共に生きながら,人間関係訓練やカウンセリングなどを探求し,ラボラトリー・トレーニング(Tグループ)の実践家として経験を重ねてきました。また,「いのちの電話」の活動を通じて,苦悩する人々に長年寄り添ってきました。

 本稿では,氏の豊富な対人援助経験と患者体験を基に,「看護の仕事と共感する力」の関係性を考察します。

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大阪国際がんセンターで教育担当の副看護部長および看護部長を務めた立場から,効果的な人材育成のために実践した組織改革の経験を振り返り,人と人,部署と部署,そして組織内の関係の質を高める方法について考える。

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筆者は急性期病院での看護師長を経て,現在はグループ病院の地区本部の看護専門職として看護管理者などへの教育研修を企画する立場にある。本稿では,看護師長としての経験を振り返り,病棟スタッフ間の良好な「関係の質」と看護師長の役割について,看護師長側からの支援・コミュニケーションという観点から考察する。

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筆者は複数の医療機関で病棟看護師長,母性看護専門看護師として活動してきた。医療を取り巻く環境が激しく変化する中,病棟チームや多職種チームによる質の高い実践には,対話を促進し,関係の質を高める支援的なリーダーシップが欠かせないという考え方を大切にしている。本稿では,筆者のチームづくりに対する理念と実践を報告する。

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巻頭の「あしたのマネジメントを考えるヒント,この人に聞く」に続き,本インタビューでは,特集テーマである「関係の質」を高めることについて,西川耕平氏に組織開発の視点から話を聞く。

特に「心理的安全性」と「リフレクション」をキーワードに,看護管理者はどのように「関係の質」を高め,人も組織も成長する組織づくりを実践できるのか,最新の知見を交えながら提示する。

巻頭 あしたのマネジメントを考えるヒント, このひとに聞く・5

西川耕平氏 西川 耕平
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アクションとリフレクションの学習サイクルを通して,人と組織が自ら変革することに向かう「組織開発」について教えてください

関係の質を高めることで,個人・組織が変革や成長を実現する「組織開発」が,いま再び注目されています。この背景には,社会変化の加速化,価値観の多様化などがあります。

人の関係性や信頼関係などのヒューマンプロセスは,重要な社会資源の1つであり,そこに働きかける組織開発への取り組みは,病院看護部にとっても不可避のものではないでしょうか。

本誌では,「アクションとリフレクションの組織的な学習サイクルこそが組織開発の本質」だとする組織開発研究の第一人者,西川耕平氏に話を伺いました。巻頭では組織開発の概要について,特集内インタビューでは組織内の人と人との「関係の質」を高めるための考え方を紹介します。

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本稿では,経験学習の成否を左右するリフレクションに焦点を当て,「事実の確認」「共感」「評価」から成る3ステップモデルを用いた,部下のリフレクションに対する支援方法を提示する。後半では副看護師長への質問紙調査を基に,部下の行動が改善された「成功事例」と,部下の行動が改善されなかった「失敗事例」から,リフレクションを通じた支援方法を紹介する。

連載 「看護」の意味を見つめる 訪問看護の実践から・1【新連載】

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 「無念である」と口にして,望まぬ場所,望まぬ医療を受けながら命を終えてゆく高齢者たちの表情を忘れることはできない。静寂でありながら重く心に響く。気力を失ったまなざしは光を失い,どこを見ているでもない。心を閉ざし,言葉を発することもしなくなる。もはや無抵抗に周りの決めた道に身を委ねる。これは2004年訪問看護ステーションを開設して間もなくから,何度も出会った光景である。

 私は看護学校を卒業後,急性期総合病院に就職した。多くの命を救い,延命することに使命を持ち,やりがいも感じていた。その後,訪問看護を始めた。家という暮らしの場では,病院という治療の場では見えていなかったあるがままの高齢者の生に触れるとともに,命のあり方や最後の時間への願いを知ることとなった。それは同時に自分自身の看護を問い直す機会になった。

連載 個人の進化と組織の活性化をもたらす ナラティヴプラクティス・1【新連載】

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はじめに—連載開始にあたって

 看護実践において対象を理解するための一助としてナラティヴアプローチ註1)が注目されるようになり,久しいように感じます。しかしながら,いざ看護実践にナラティヴアプローチを取り入れようとすると,そう簡単ではないことに気がつく方は少なくないと思います。容易でないと思わされる主な要因は,①ナラティヴに関する理論が(一見)難解に感じられること,②実践のかたちの報告例が少ないこと,③成果をどう捉え,どう表現したらよいか分かりにくいこと(その方法が明らかにされていないこと),④“当たり前”を問い直し一旦置くこと,などが考えられます。

 私たちは,これらの要因の1つひとつを丁寧に紐解き,看護実践におけるナラティヴアプローチについて探究し続けています。本連載では,私たちの取り組みのうち,継続教育におけるプログラムとして開発したナラティヴプラクティス(ナラティヴの実践)について紹介していきます。このプログラムでは,看護職者が自分の実践について自由に語り合える時空間を創造していきます。

 まず,今回はナラティヴプラクティスの内容について説明します。ナラティヴプラクティスを継続教育のプログラムとして取り入れるとなると,その成果が気になるところです。第2回では,成果をどのように捉えようとしているのかについて述べます。そして,第3〜5回では,事例を通して成果を具体的に見ていきます。第6回では連載全体を通した発見について述べていきます。本連載は,臨床現場で実践について自由に語り合う時空間をもちたいと思っている看護職者,そのような時空間を創造したいと試行錯誤している看護管理者,継続教育に携わる方々の参考になることを目指しています。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・16

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第15回(4月号)では,一般病棟用『重症度,医療・看護必要度評価票』にC項目が登場した2016年診療報酬改定を機に看護師算定ルールを改変した経緯について,A得点とB得点の組み合わせによる患者分類と看護師配置係数の検討プロセスを紹介しました。

今回も引き続き,C項目による患者分類と看護師配置係数の検討プロセスを紹介します。

連載 看護×経済学 経済学で読み解く看護サービスと医療政策・5

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本連載は経済学の視点から,看護サービスの特性や取引の規模,看護師の生産性や雇用環境,診療報酬や介護報酬が及ぼす影響などさまざまなデータを活用しながら解説します。

第5回では,看護師のスキル(技能)に見合った賃金が支払われにくいのはなぜか,診療報酬制度の仕組みから考察していきます。

連載 マグネットジャーニー 聖路加国際病院のチャレンジ・4

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本連載では,聖路加国際病院看護部が「マグネットホスピタル認証」を取得するまでの道のりを「マグネットジャーニー(マグネット認証への旅)」として紹介していきます。「CNSと管理の研究会」伴走のもと走り続けるこの過程はチャレンジに満ちています。

第4回では,ナースの代表者会議で表出した「気づき」をもとに行動計画をまとめていく過程と,「活用しやすい部署間のリリーフ体制」の構築について紹介します。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・13

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。

前回から「対話」について皆さんと掘り下げていますが,今回は「ダウンローディングから抜け出す」がテーマです。

連載 特定行為研修を修了した看護師としての実践・5

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患者にとって最善の医療サービスの提供にこだわりを持つ

 滋賀医科大学医学部附属病院(以下,当院)は,滋賀県唯一の大学病院として地域医療の担う中核病院であり,高度・先進医療を推進する612床(一般569床,ICU12床)の特定機能病院です。当院は,急性期医療のニーズに応えつつ,今後拡大し続ける地域医療ニーズに対する取り組みを推進する役割が期待されています。滋賀医科大学(以下,本学)は,国立大学で初めての看護師特定行為研修の指定研修機関として2016年に特定行為研修センターを開講しました。

 当時の私は,ICUの副看護師長として教育を担当しており,患者に最善のケアを提供するための「看護師としてのこだわり」を持つことの大切さをスタッフに常々伝えていました。その中で,特定行為に係る看護師の研修制度(以下,本制度)が「看護師としての責任と覚悟」をあらためて見つめ直し,自身の看護観をさらに醸成し得るものと直感し,研修受講を決意しました。看護部長は,私の思いを受け止め,最大限の応援をしてくださいました。そして,本学特定行為研修センターで呼吸器関連3区分6行為の研修を修了しました。

連載 看護師長のための介護保険の基礎知識・5

ケアマネジャーの実像 高野 龍昭
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 患者(高齢者)の退院支援や在宅生活支援にあたり,看護師にとっては介護支援専門員(ケアマネジャー)が最も重要な連携相手かもしれません。今回は,そのケアマネジャーの実像を明らかにしてみたいと思います。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・154

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 「あなたの好きな色は,何色ですか?」

 そう問われたら,答えは人によって様々だろう。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・16

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病院の看護師の間で「在宅での看取り」への関心が高まっているそうです。退院前後の日々を,郁代さんのケースでご紹介しましょう。

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臨地実習の充実を支えてくれる,楽しみながら学べる1冊

臨地実習の充実は,現場の指導者の能力向上から

 2020年の教育大改革を控え,看護学教育においても,画一的でなく自分自身で考える力を持つ学生の養成が課題に挙げられ,臨地実習の充実が求められている。また,地域包括ケアシステムの中で,医療や介護の多職種連携が求められる時代において,「看護を必要としているところに学生が実習に行く」という観点への変換が必要である。

 本書は,新しい時代の看護を教えるひと(臨地実習指導者と看護教育機関の教員)を読者対象として,その教師力を高めるための経験型実習教育の事例とワークを収載している。

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今月の新刊紹介

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
29巻5号 (2019年5月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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