実践報告
入院前から始める急性期病院の患者マネジメント—PFM導入による途切れのない情報とケアのつながりを目指して
森本 恭子
1
,
上岡 喜子
2
,
藤本 千恵子
2
,
三代 文子
2
,
真柳 紀子
2
,
大濱 江美子
3
,
高丸 賀子
2
1地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター 入退院センター
2地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター 看護部
3地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター 医療技術部
pp.1108-1114
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200601
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はじめに
大阪市立総合医療センター(以下,当院:表)は,大阪市の中核病院として急性期医療および小児医療を提供する1063床の高度急性期病院である。2014年10月に経営形態を地方独立行政法人に移行したが,「大阪市民の生命と健康を守る」という基本理念は継続している。2025年問題を見据え,医療の機能分化が進められる中,効率的で質の高い医療の提供と同時に在院日数のさらなる短縮が求められている。そこで当院でも,適正期間内に患者が地域・在宅へと安心して移行できるよう,2014年10月よりPatient Flow Management(以下,PFM)を導入した。
PFMとは,元東海大学医学部付属病院の田中豊氏が開発した手法で,入院時に病棟で実施していた問診やオリエンテーションを外来段階で実施することによって,入院前から患者個々の退院に向けた問題を明確化し,その情報を早期に多職種で活用し組織的に退院を支援していくシステムである。それにより在院日数が適正化されるとともに,患者・家族が安心して在宅や地域の医療機関へ移行することが可能となる。
当院においても,PFM導入によってそのような情報が関連職種へ早期につながり,目標が共有され,多職種協働の退院支援体制が徐々に確立していった。2016年3月でPFMの導入から1年半が経過し,予想していた成果を可視化し一定の評価を得ることができた。本稿では,当院での導入のプロセスとその成果,今後取り組むべき課題を報告する。
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