連載 「看護」の意味を見つめる 訪問看護の実践から・1【新連載】
人生の最後の時間を「無念」で終わらせないために看護師に何ができるのか
藤田 愛
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1医療法人社団慈恵会 北須磨訪問看護・リハビリセンター
pp.456-457
発行日 2019年5月10日
Published Date 2019/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201289
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「無念である」と口にして,望まぬ場所,望まぬ医療を受けながら命を終えてゆく高齢者たちの表情を忘れることはできない。静寂でありながら重く心に響く。気力を失ったまなざしは光を失い,どこを見ているでもない。心を閉ざし,言葉を発することもしなくなる。もはや無抵抗に周りの決めた道に身を委ねる。これは2004年訪問看護ステーションを開設して間もなくから,何度も出会った光景である。
私は看護学校を卒業後,急性期総合病院に就職した。多くの命を救い,延命することに使命を持ち,やりがいも感じていた。その後,訪問看護を始めた。家という暮らしの場では,病院という治療の場では見えていなかったあるがままの高齢者の生に触れるとともに,命のあり方や最後の時間への願いを知ることとなった。それは同時に自分自身の看護を問い直す機会になった。
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