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はじめに—連載開始にあたって
看護実践において対象を理解するための一助としてナラティヴアプローチ註1)が注目されるようになり,久しいように感じます。しかしながら,いざ看護実践にナラティヴアプローチを取り入れようとすると,そう簡単ではないことに気がつく方は少なくないと思います。容易でないと思わされる主な要因は,①ナラティヴに関する理論が(一見)難解に感じられること,②実践のかたちの報告例が少ないこと,③成果をどう捉え,どう表現したらよいか分かりにくいこと(その方法が明らかにされていないこと),④“当たり前”を問い直し一旦置くこと,などが考えられます。
私たちは,これらの要因の1つひとつを丁寧に紐解き,看護実践におけるナラティヴアプローチについて探究し続けています。本連載では,私たちの取り組みのうち,継続教育におけるプログラムとして開発したナラティヴプラクティス(ナラティヴの実践)について紹介していきます。このプログラムでは,看護職者が自分の実践について自由に語り合える時空間を創造していきます。
まず,今回はナラティヴプラクティスの内容について説明します。ナラティヴプラクティスを継続教育のプログラムとして取り入れるとなると,その成果が気になるところです。第2回では,成果をどのように捉えようとしているのかについて述べます。そして,第3〜5回では,事例を通して成果を具体的に見ていきます。第6回では連載全体を通した発見について述べていきます。本連載は,臨床現場で実践について自由に語り合う時空間をもちたいと思っている看護職者,そのような時空間を創造したいと試行錯誤している看護管理者,継続教育に携わる方々の参考になることを目指しています。
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