作業療法ジャーナル 53巻13号 (2019年12月)

特集 私が考える精神科作業療法の未来

香山 明美 , 長野 敏宏
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特集にあたって

 2004年(平成16年)9月に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が提示されて以来,「入院医療中心から地域生活中心へ」という方策が推し進められ,現在まで精神障害者の「地域移行・地域定着」に向けたさまざまな施策が行われてきた.精神科病院においては,精神科急性期治療病棟等,急性期治療の強化,病床数の漸減,入院期間の短縮化等が進んだ.さらに,2017年(平成29年)2月の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」報告書では,精神障害者が地域の一員として,安心して自分らしい暮らしができるよう,医療,障害福祉・介護,社会参加,住まい,地域の助け合い,教育が包括的に確保された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」構築を目指すことが示された.

 このような動きの中で行ってきたそれぞれの実践を整理し,今後どのような役割を果たしていくべきなのか等,本特集では,経験ある実践家に「これまでの実践と精神科作業療法の未来」を論じていただいた.OTが,対象者が住むべき場所で自らの望む生活ができるよう支援をする職種として何をすべきか,作業療法の未来はどうあるべきか,10年後,20年後のOTの姿を考える機会としていただきたい.

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Key Questions

Q1:精神科のOTとしての基本的なあり方は?

Q2:精神保健領域の支援者チームの一員として必要な理念,コアスキルは?

Q3:病院のみならず地域,そして医療以外の分野で精神科作業療法の未来を拓くためにできることは?

はじめに

 これからの精神保健医療福祉のあり方として,精神障害者の地域移行を一層進めていくことが提示されている.「精神科のOTは病院やデイケアにいて,統合失調症や気分障害圏を対象にすることがほとんど」という現状や認識は依然あるが,今後は多くの精神科OTが病院以外の場で,多様な疾患(時には診断名がつく前の対象者)に対応していくことが求められるだろう.そして,ここ数年は特に,精神科OTが地域,時には医療分野以外で活動している報告を学会や研修会等の機会で目にするようになっている.それらの実践を聞いていると,非常に斬新で新しい視点や他分野のモデルがありつつも,これまでの精神科作業療法で積み重ねてきた知識や経験が礎になっているように感じる.

 本稿では,筆者自身のこれまでの精神科作業療法の経験に触れたうえで,そこから考えるOTとしてのあり方やOTの未来について私見を述べたい.

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Key Questions

Q1:統合失調症のリカバリー支援におけるOTの役割は?

Q2:統合失調症の予防支援におけるOTの役割は?

Q3:精神保健領域の作業療法の今後の課題は?

はじめに

 本特集のテーマをいただいたときに,いつの未来かわからないが,精神疾患を予防・根治できる方法ができていて,精神疾患による苦痛を感じる人がいなくなればいいと思った.もう少し近い未来には,作業療法の思想は残っているだろうが,作業療法自体はなくなっていることが望ましい.しかし,より近い未来を考えたときにはそうはいかない.

 筆者がOTになって1年目に,長期間入院していた方から,茄子の絵の横に「大きな大きな不安の中に小さな小さな希望が生きている」というメッセージが添えられた手づくりのポストカードをいただいた.その希望を大切に育んでいけるような未来を期待したい.障害が可能なかぎり改善されるとともに,その人が希望をもって満足のいく生活を送れるようになることが目標となる.そのためには,理想を語ることも大事だし,具体的な方法論も大事である.

 現在,筆者は精神科病院に勤務し,統合失調症をもつ人とかかわることが多い.本特集のテーマをみて思い浮かんだのは,「リカバリー」と「予防」であった.本稿では統合失調症を中心にこれらのキーワードについて概観し,医療機関の立場から作業療法の未来を考えてみたい.なお,本稿は筆者の個人的な見解であることをお断りしておく.

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Key Questions

Q1:効率的かつ効果的な作業療法を実践するためにはどう行動するとよいのか?

Q2:関連職種にどう作業療法を伝えるとよいのか?

Q3:OTが行うべきこととは?

はじめに

 「チームは一夜にしてできない.痛みがある年もあった.それをくぐり抜け,目標を成し遂げられた」

 今秋開催されたラグビーワールドカップで対戦国を破り,目標であり悲願の8強入りを達成した試合後のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチの言葉である.常々“One Team”を掲げ,ヘッドコーチ就任後の4年間で一体感を醸成し心を一つにできたからこそ,日本初の8強という重い扉を開くことができたのだろう.

 私たちの作業療法にも通じるものがあるのではないだろうか.これまでOTは,対象者の夢や希望を叶える手助け(リカバリーの促進)をし,対象者の「その人らしい」生活の獲得を目指して日々実践してきた.その反面,作業療法をうまく展開できなかったときの苦悩,多職種,多機関との連携・協働での苦労,所属機関内での先輩,同僚OT間の葛藤等のいわゆる“痛み”の経験も少なからず重ねていることと思う.それらを“くぐり抜け”,効率的かつ効果的な作業療法を実践するためにはどう行動するとよいのか.これから先の5年,10年,精神科作業療法の未来について,私なりの展望を表現したい.

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Key Questions

Q1:精神科作業療法の未来とは?

Q2:可能性とは?

Q3:可能性を拓くために大切なこととは?

はじめに

 皆さんは「精神科作業療法の未来」にどんなことを感じていますか?

 希望ですか? ワクワク感ですか?

 それとも絶望や危機感ですか?

 まったく想像もつかない感じですか?

 どう在りたいですか?

 また,創造したい未来のために今,何をしていますか?

 皆さんの精神科作業療法の未来を知りたい.聞きたい.語り合いたい.

 今回,私の提示する「精神科作業療法の未来」が,OTの仲間,作業療法の対象となる人・環境,誰かや何かを触発し,精神科作業療法の可能性が拓ける「今」や「未来」につながること,皆さんとの出会いにつながることを期待しています.

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Key Questions

Q1:精神科作業療法はこれからどうなっていくか?

Q2:精神科救急での取り組みにどのような例があるか?

Q3:包括的支援マネジメントのメリットは?

はじめに

 石川県立高松病院(以下,当院)は,病床数400の単科精神科病院である.41床を成人の救急病棟として,50床を重度かつ難治性病棟として,55床を回復期病棟として運用している.その他では,認知症高齢者の急性期治療病棟,認知症治療病棟,アルコール病棟等がある.

 筆者は2007年度(平成19年度)に県の定例人事異動で当院に着任した.それまでは身体障害の病院に通算 6年,県庁 1年,県リハビリテーションセンターに7年,保健所に12年勤務し,精神科病院の勤務は初めてであった.

 着任し,上司に挨拶をしたとき,「作業療法には何も期待していないので,とりあえず患者さんを遊ばせておいてほしい」と言われ,とてもショックを受けたことを今でも鮮明に覚えている.病棟の看護師は,OTはレクリエーションをする人という認識であった.これは一部の看護師からは現在でも根強くそのように思われている.さらに,作業療法は患者が参加を嫌がるため,積極的に参加を勧めていないとのことであった.

 初年度は認知症治療病棟を担当したため,前任のOTに精神科作業療法の評価方法やプログラム等,計画について相談するも,引き継いだ「評価」は緞通織の目数を作業終了後に数えることであり,医師からはMMSEの評価が期待された.プログラムはレクリエーションが60分,手工芸60分を実施することの申し送りを受けた.また,入浴の日には,患者の髪をドライヤーで乾かすことと化粧水をつけること,靴下をはかせることがOTの担当であった.

 正直,精神科作業療法は身体障害領域や保健所での業務とは異なり,何を目的に何をしているのかまったくと言っていいほどわからなかった.しかし,これまでの県職員経験から,とりあえず1年間は前任の仕事を引き継ぎ踏襲するとともに,この領域は初任者同然であったため,一人ひとりの患者と向き合い,勉強しつつ,評価と作業療法計画の作成,エビデンスに基づくプログラムづくりを試行錯誤した.その中で特に医師から期待された精神機能の評価は,精神機能の全体を網羅するものがなく,学会によってその分類や名称が異なっていることがわかった.結果としてWHOが定める国際生活機能分類(ICF)を用いて,対象者を把握することとした.

 このようにして始まった筆者の精神科でのこれまでの取り組みを紹介したい.

精神科作業療法の未来 香山 明美
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Key Questions

Q1:回復過程に沿った作業療法の役割とは何か?

Q2:包括的リハビリテーションプログラムとマネジメントとは何か?

Q3:「作業療法の定義」を踏まえた支援をどう行うか?

はじめに

 筆者は,1983年(昭和58年)にOTとしての職業人生を精神科病院からスタートした.リハとは単に機能訓練を意味するのではなく「全人間的復権」を理念とするものであると学んで卒業した新人OTだったが,生活療法が色濃く残り,看護職員が内職作業やレクリエーションを行う病院内の現状を目の当たりにし,学んだことと現実には大きな乖離があることに驚愕するだけで,そのことを言葉にすることも客観的に整理する力もなかった.しかし,現場には新人OTを温かく迎え入れる雰囲気はなく,この体制と闘っていかなければならない,と覚悟を決めていくには時間がかからなかった.

 入職した次の年に宇都宮病院事件が起こった.この事件を耳にしたとき悲しい思いを抱いたが,日本の精神科病院の厳しい現状を知る機会となった.幸い入職した病院に暴力はなかったが,患者さんの意思や主体性を大切にしていく考え方が根づいていくには大分時間がかかった記憶がある.

 精神科作業療法は作業療法の本来の目的である「応用的動作能力や社会適応能力の向上」に沿った活動ができてきただろうか.できなかったのなら,なぜできなかったのだろうか.これまで筆者が体験した精神科作業療法を振り返り,本特集で4人の筆者が取り上げた,「予防的介入」,「認知リハ」,「自己効力感」,「リカバリー」,「包括的ケアマネジメント」等のキーワードも含め,作業療法の未来を展望する.

講座 画像情報を作業療法に活かす・第1回【新連載】

画像情報の理解に必要な知識 妹尾 淳史
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基本的な脳画像の診方

 現在,臨床で使用されている診断画像は一部の診療施設を除き,X線写真やCT,MRI,SPECTおよび超音波断層画像を含め,すべての画像装置(モダリティ)はデジタル画像である.デジタル画像は配列状に並んだ数字の大きさを画像の輝度の大きさとして可視化したものであり,画像中の輝度の違いはモダリティから得られた生体内情報に大きく反映される.したがって,画像から適切に診断するためには,それぞれのモダリティがどんな生体内情報を含んでいるのか理解する必要がある.本稿ではカンファレンスでの情報共有に必要な断面,スライスの高さ,各種撮像手法の特性等,基本的な脳画像の診方について解説し,さらにOTが他部署と連携する折に画像関連で留意すること等についても解説する.脳以外の胸部・腰部・四肢等の骨画像を読み解くためのキーポイントについては成書1〜6)を参考にしていただきたい.

 脳の疾患には,脳梗塞や脳出血,狭窄,動静脈奇形および動脈瘤等の血管性病変や,細胞腫や髄膜腫および神経鞘腫等の腫瘍性病変等以外にも,浮腫や脱髄,ヘルニア等さまざまな種類がある.脳は構造的に左右がほぼ対称な形状をしていることから,脳画像の診方としては,どんなモダリティの断層画像でも最初に脳の左右の大きさや形状を比較することが基本である.

連載 作業療法を深める ㊱健康食品

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 高齢化に伴い消費者の健康への関心が高まる中で,いわゆる「健康食品」の種類や販売量が増加している.しかし一般的に健康食品と呼ばれるものには制度上の定義の異なる多様なものが混在しており,消費者はもとより食品や医療に関係する人の中にも誤解や混乱がみられる.作業療法の現場では,患者さんが健康食品に関心をもったときに何気なく話題になることもあるだろう.そのような場合に適切な情報が提供できるよう,健康食品に関して医療従事者として知っておいてほしいことを記す.

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Abstract:〔目的〕本研究の目的は,作業療法教育の臨床実習で,学生が指導者に求められる「社会性」を明らかにすることである.〔方法〕神奈川県内のOTを対象とし,各施設に自由記載による調査票を郵送して調査を実施した.データはBerelsonの内容分析の手法を用いて分析した.〔結果〕320通の調査票を送付し,110通が回収され,回収率は36.5%であった.コアカテゴリとして,【社会人として備えておくべきこと】,【臨床実習時に備えておくべきこと】,【OTとして生涯にわたって培っていくべきこと】が抽出された.〔結論〕本研究の結果,臨床実習指導者が作業療法学生に求める「社会性」は,3つのカテゴリが抽出された.

プラクティカルノート

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はじめに

 照明の役割とは何だろうか? 照明は室内を明るく照らし,ヒトに対象物の外観を把握させる.暗闇の中の光は安心感をもたらし,イルミネーションは楽しさを演出する.光環境は概日リズムに影響を及ぼし,心身の健康に深く関係していることも知られている.

 筆者は精神科作業療法に携わり,言語的交流が困難な対象者への介入を模索する中で,スヌーズレンを臨床に取り入れるようになった.スヌーズレンは,視覚,聴覚,嗅覚,触覚等の感覚を心地よく刺激する機器を設置した空間で,利用者の興味ある活動を引き出したり,リラックスを促したりする活動である.筆者は,照明を見た利用者同士が「きれい」,「落ち着く」と話す様子から,照明は情動に働きかけ,コミュニケーション手段としての役割もあると感じ,興味をもつようになった.照明について学ぶ中で,病院や施設に手づくりの明かりを届ける「あかりバンク」を知り,その活動に参加することとなった.

わたしの大切な作業・第20回

こんな作業をするとは 有栖川 有栖
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これより作業を開始します。

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 この20年余りで,information technology(IT)は世の中を席巻し,瞬く間にヒトの生活に適応し,それどころかヒトとヒトをつなぐ頑強なツールとして,すでになくてはならないものとなっている.作業療法が属する医療や介護,そして地域といった分野でも,ウェアラブルデバイスを中心に,あらゆるモノがインターネットにつながるinternet of things(IoT)の実現により革新がもたらされ,ITが身近な存在となりつつある.また,筆者のようにITやIoTといった環境やデバイスが人生の半ばから世に頒布された世代とは別に,生まれたときからこれらの環境が整っている「デジタルネイチャー世代」が社会の中心を担っていく時代に移り変わりつつある.

 さて,このようにITの発達により,情報が伝わる,広がる速度と範囲が急速に変わりつつある時代において,筆者が主戦場としている学術についても考えてみたい.筆者の研究領域はいわゆる臨床研究と呼ばれている.臨床において,作業療法にかかわるエビデンス(証拠)を示すことが主な仕事となる.そして,それを伝える部分において,今までは学術論文や学会発表が主戦場であった.例に漏れず,筆者もそれらの機会を利用し,1年目から新人プログラム内の発表,近畿学会,全国学会と徐々にステップを昇りつつ,大きな舞台で発信を続けていた.また,4年目からは,「発表は記憶には残るが,記録には残らない.事実として消えてしまう」という状況を認知し,より広く文字にとどめ,世間に問うために学術論文の執筆に力を入れた.

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第60回

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「独楽吟」のたのしみは…

 「独楽吟」とは,江戸時代末期の歌人橘曙覧が詠んだ,「たのしみは」で始まって「……とき」で終わる形式の和歌のことです.

 家族との団らん,友人や知人とのかかわり,食べること,書籍を読んだり,花を愛でたりすること等,ちょっとした日常生活の中での「たのしみ」を,その人にとって大切なことや時間を見いだし,飾らず,素直で,ありのままに詠んだ歌です.

多職種を交えたリハビリ事例検討会・第25回

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事例提示

Aさん,80代後半,女性.要介護 3,身長 145cm,体重 38kg.寝たきり度 B2,認知症自立度 Ⅱa

病歴:3年前に股関節,膝関節の痛みが強まり歩行困難となって以降,車いす生活を送っている.立ち上がりや移乗動作は軽介助を要する.同年リハが介入するが,身体を動かすと痛みが強く,半年で終了した.2年前の秋,ろれつが回らなくなり,以降立ち上がり,移乗動作が全介助となる.医療機関は未受診.昨年秋,再びリハ介入.血圧 180/100前後,脈拍 100/分.仙骨部に発赤あり.皮膚科で処方されたジメチルイソプロピルアズレンを塗布していたが,12月に黒色痂皮が認められスルファジアジン銀を塗布.2019年1月にめまい・嘔吐があり,食事もとれなくなり3週間ほど入院した.入院時のMRI検査では原因は不明

現病歴:糖尿病,高血圧,めまい,股関節炎

生活歴:洋裁学校の教員をしていたが結婚を機に退職.専業主婦として2人の子どもを育てた.現在は60代の娘と二人暮らし.日中は食事前後に車いす上でテレビを観て過ごすが,その他の時間は臥床傾向にある.主介護者は娘で介護には積極的だが,今以上に時間を割く余裕はない.ADL全介助で介護負担は大きい

居住環境:一軒家,持ち家.福祉用具として,車いす,ベッド,シャワーチェア,スライディングボードを利用

性格:新しいことや環境の変化に弱い

趣味・関心:洋裁,庭の手入れや鑑賞.仲のよい友人以外との交友関係は少ない.リハ中は育児についてお話しすることが多い

処方薬(朝-昼-夕-就寝前):アジルサルタン錠(高血圧症剤)20mg×1 1-0-0-0,アスピリン錠(抗血小板剤)100mg×1 1-0-0-0 2019年2月,グリメピリド錠(糖尿病剤)1mg×1 1-0-1-0,ミグリトール錠(糖尿病剤)50mg×3 1-1-1-0,ランソプラゾールOD錠(消化器用剤)30mg×1 0-0-1-0,アログリプチン安息香酸塩錠(糖尿病剤)25mg×1 1-0-0-0,アムロジピンベシル酸塩OD錠(高血圧症剤)2.5mg×2 1-0-1-0,デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏(外用副腎皮質ホルモン剤),ヘパリン類似物質油性クリーム(抗炎症血行促進剤),アルプロスタジルアルファデクス軟膏(皮膚潰瘍治療剤),オキシテトラサイクリン塩酸塩/ポリミキシンB硫酸塩軟膏(複合抗生物質製剤),トラフェルミンスプレー(皮膚潰瘍治療剤)

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誰も気づかなかった学童保育×OT

 2019年(令和元年)9月30日に発表された全国学童保育連絡協議会の調査によれば,共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす「放課後児童クラブ」(以下,学童保育)の「支援の単位」数は3万2,654,入所児童数は126万9,739人で,1年生から6年生まで,どの学年でも入所児童数が前年比で増加,最高数となり,働きながら子育てをする保護者にとっては,なくてはならないものとなっている.保護者や指導員,地域住民が守り育て,そこに公的な支援がついてきたという歴史があり,今でも地域差が非常に大きいのが現実だ.

 私は,2人の息子を学童保育に預けながら,市民活動の専従事務局員,失業してヘルパー資格を取得,訪問介護事業所起業という道を歩んできた.子育て真っ最中のときも,そして,一段落着いた今も,学童保育をよくするための活動を続けている.学童保育は「働く保護者をもつ子ども」が共通項なので,「障害の有無」には基本的に関係なく利用できる.研修機会や専門的なサポートが少ない中,指導員がさまざまな子どもたちの成長を願い,奮闘している姿に何かいい方法がないものかとずっと心に引っ掛かっていた.

学会・研修会印象記

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国際化するOT学会に参加して

 2019年(令和元年)9月6〜8日にかけて,第53回日本作業療法学会(以下,OT学会)が福岡で開催された.新時代最初のOT学会のテーマは「作業療法研究のターニングポイント」であった.“ターニングポイント”とは,「変わり目,転換点,分岐点」を意味し,“変わり目”とは,「物事がある別の状態に移り変わるとき」を意味する(広辞苑).私は,作業療法研究が別の状態に移り変わる前の状態(過去),今の流行り(現在),移り変わろうとしている方向(未来)に興味をもち,OT学会に参加した.私の印象を記したい.

 印象に残ったことはたくさんあるが,特記すべき点が2つある.1つ目は,ポスター発表会場の熱い雰囲気であった.私は本学会で初めてポスター発表を経験した.OT学会のポスター会場に初めて足を踏み入れた私は,その凄まじい熱気にあてられた.ポスター会場は大勢の参加者で埋め尽くされ,直線で歩けないほどであった.至る所で活発な討議がなされ,発表時間を過ぎても討議が止まない場面が多くみられた.また,私自身,本大会でポスター発表の素晴らしさに気づくことができた.それは,発表者と聞き手が1対1で討議できる場であることだ.発表者は自分が誰よりも詳しく知っているであろう症例(私の場合,症例報告であったため)について,可能なかぎり多くの情報を聞き手に伝えることができ,聞き手は細かな疑問点を発表者に直に訊くことができる.聞き手が症例について可能なかぎりありありとイメージでき,その症例について討議できた場が私はとても心地よかった.

話題の著者に聞く

林 園子氏
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ここ数年で格段に進歩し,安価になってきた3Dプリンタ.日々の活動に利用できないかとお考えの読者も多いのではないだろうか.そんなとき頼りになる書籍が刊行された.『はじめてでも簡単!3Dプリンタで自助具を作ろう』(三輪書店)である.今回その編者である林 園子氏にお話をうかがった.(編集室)

昭和の暮らし・第36回

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 年の瀬が近づき,寒さも厳しくなってきた.年末には大掃除が待ちかまえている.寒い時期の掃除や洗濯は,現代でも大変な仕事だが,特にたらいと洗濯板を使ってゴシゴシと手洗いする古くからの手法での洗濯は,なおさらであったろう.

 これを変えたのが,電気洗濯機.

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目次

表紙のことば/今月の作品

次号予告

わたしたちの作業療法

研究助成テーマ募集

Archives

第55巻表紙作品募集

学会・研修会案内

編集後記 長野 敏宏
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 先日,DSM-Ⅳの作成委員長であるAllen Frances先生に私自身がかかわる現場・地域を見ていただきながら,とても濃厚な時間を過ごした.その中で,先生が米国の精神医学やロサンゼルスで精神疾患の方々が置かれた現状を盛んに心配しておられたことが印象に残った.精神疾患の診断の拡大,過剰な薬物療法,その中での重度の精神疾患の方への支援の乏しさ,社会的支援の乏しさ.ある意味頂点をきわめていったん一線から退いた先生が,危機感から再び活動を始められ,イタリアのトリエステに何度も足を運び,学び,考え,行動し続けられるお姿にとてもとても感銘を受けた.また大きな勇気を与えられた.

 世界中の精神医療保健福祉は試行錯誤の最中である.今回の機会で,ご本人の立場からみると診断・治療もリハも,社会的支援のあり方も,地域社会そのものもきわめて不十分であることを確信し直した.私たち精神科医療専門職は,その状況を謙虚に受けとめながらも,それぞれの置かれた立場でベストを尽くし続けなければならない.また,大きな変革を起こしていかなればならない.

基本情報

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作業療法ジャーナル
53巻13号 (2019年12月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

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