作業療法ジャーナル 53巻12号 (2019年11月)

特集 発達障害者への生活支援・就労支援

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特集にあたって

 改正発達障害者支援法が示され,わが国に発達障害という理念が定着してきた.近年では,多様な障害像と各年齢期や生活背景に応じた支援を提供する人の質や場所の不足等の課題が挙げられている.さらに,関連法では18歳未満が児童福祉法,18歳以上では障害者総合支援法であり,支援の一貫性や継続性においても同様の課題がある.また,現状で発達障害者の方たちの中には,ライフステージに沿った支援を早期から受けることなく社会への参加を求められる場合がある.いわゆる「成人の発達障害」の方たちの存在で,支援を提供する人の障害に対する理解不足や不適切な対応により失敗体験を重ね社会への参加が困難となる司法関連の事例もある.

 今回の特集は,発達障害者への生活支援・就労支援である.支援を提供するOTは,発達障害を取り巻く社会背景を「制度」を通して理解し,異なる障害と個人特性を見極める知識が求められ,「当事者・家族の声」に寄り添うことが必要である.さらに,障害者の自立に必要な活動性の向上と社会参加を促すには「生活」と「就労」支援の充実が必要である.

成人の発達障害とは 市川 宏伸
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Key Questions

Q1:発達障害とはどのような障害か?

Q2:発達障害の診断はどう行われているか?

Q3:成人の発達障害はどう分類され,どのように対応すればよいか?

はじめに

 国内で,発達障害が公に知られるようになったのは,2005年(平成17年)に「発達障害者支援法」が施行されてからである.それまでも発達障害児・者は存在していたが,発達障害という言葉がなかったために,その存在を社会的に認められず,つらい思いをしていたと考えられている.この法律の中でICD-10(International Classification of Diseases第10版)に基づく発達障害の定義が記述されている.

 児童青年精神科の医療現場では,平成年代に入り,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: ASD),注意欠如・多動症(attention deficit hyperactive disorders: ADHD)等と診断される子どもが増えていた.小学校の就学相談では,「知的には問題ないが,学校生活を送るのに,“落ち着きがない”,“集団行動が苦手である”,“友人関係がつくれない”,“先生の指示に従えない”等の悩みをもつ児童が増えていた.1998年(平成10年)ごろになり,NHKがスペシャル番組で小学校の低学年の“学級崩壊”を取り上げたのが契機で,“発達障害”が社会的に話題になりはじめた.発達障害が学級崩壊を引き起こすという番組の内容であったが,「発達障害児への対応がうまくいかないと,他児も騒ぎ出してしまい,教室内が騒然とする」というのが本当のところであった.

 法律が施行されて2年後,教育では特別支援教育が正式に始まり,「個に応じた教育」が実践されはじめた.2005年ごろに小学校低学年だった学童は現在20代になっている.発達障害そのものは,特性とみられることもあり,一生を通じて存在すると考えてもよい.置かれる環境や対応の仕方によって落ち着く場合もあるし,社会的不適応をきたすこともある.小学校を卒業しても,中学や高校に進学しても,やはり困難を抱えているが,教員,友人,家族らの対応で様子は大きく変わってくる.中学校では,必要に応じて特別支援教育が受けられるようになってきているが,高校では通級が導入されたばかりで,サポート校等が対応している部分もある.大学入学のためのセンター試験では,提出した医師の診断書が認められれば,発達障害者に特別な答案,受験環境,試験時間等への配慮がなされる.センター試験で認められた配慮は実際の大学入試でも認められる.発達障害者は大学に入学後も履修届の提出で苦労するし,理科系ではグループで行う実習,文科系ではゼミでのプレゼンテーション等が苦手である.最も苦手なのは就職の面接であり,「試験官から何を求められているわからないので,見当違いの応答をしてしまう」と訴える.“相手の気持ちを理解できない”,“自分の気持ちをうまく伝えられない”という課題が露呈してしまうと思われる.

 高校を卒業して就労する際には,発達障害の特性がわかっていれば,特別な配慮をされた就労が用意されることが多い.知的障害療育手帳や精神保健福祉手帳を所持している場合,あるいは証明するものがあれば,ハローワークで特別枠就労の相談にのってくれる.たとえば,特別支援学校高等部では,職業科コースが用意されており,就学中に職業実習をいくつか行い,卒業後にその実習先に就労する例も増えている.このような場合は就労先でも特別な配慮が可能である.義務教育年齢で,発達障害の課題に気づかず過ごした場合は,社会に出てから苦労する場合も多い.学力が優秀な場合は,特に気づくことなく,一流の大学,大学院等に進学して,一流会社に就職してから職場で適応できずに“自分は周囲とどうも違う”と気づいて,「自分は発達障害ではないか?」と臨床場面に姿を現すこともある.大学にもよるが,受験者の減少もあり,以前に比べれば発達障害者への配慮が行われている場合もある.

 一方で,就労現場では発達障害を知られずに就労した場合,合理的配慮は始まったばかりであり,まだまだ対応が不十分な会社もみられる.時には,“挨拶ができない”,“職場の雰囲気を乱す”等の烙印を押されている.職場が異動になると落ち着くし,才能を発揮する場合もあるが,会社が発達障害の存在を知らなかったり,対応が不慣れであると,退職を求められる場合もある.現在,当事者が30代以上の場合は,生育過程で発達障害という概念が知られていなかったため,社会に適応できず,“ひきこもり”になっている場合もある.この場合,養育者も“しつけのできない親”とされており,親子で“ひきこもり”状態になっている例もある.発達障害の高齢者については,まだ実情把握が不十分な面もある.

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Key Questions

Q1:発達障害にかかわる制度にはどのようなものがあるか?

Q2:発達障害にかかわるOTの役割とは?

Q3:発達障害にかかわるOTの課題とは?

はじめに

 2005年(平成17年)に「発達障害者支援法」が施行され,10年以上が経過した2016年(平成28年)に,超党派の議員立法により「発達障害者支援法の一部を改正する法律」が成立し現在に至っている.この間,障害保健福祉と教育領域に関する制度も同時に改正され,発達障害に対する理解・啓発が促進されてきた.しかし,当事者・家族にとって重要な,住み慣れた地域で一貫性のある,しかも継続的な支援を受けるための制度が十分とはいえない現状である.そのため,厚生労働省と文部科学省は発達障害にかかわるさまざまな課題に省庁間連携として継続的に取り組み,関係各省庁も障害者の自立支援や社会参加の促進を図るために関連法や制度の見直しを進めている.

 OTは医療専門職であり,医療領域に半数以上が勤務している.一方で,作業療法の特性から,福祉・教育・労働・保健等の領域で活躍するOTも,わずかながら年々増えている.社会のニーズに応えるべくOTが興味・関心を広げ,職域を徐々に拡大しているのである.これからもOTはさまざまな領域で専門性を活かし,支援技術を互いに研鑽し,もっている能力を発揮することで,当事者・家族への直接的な支援の充実を図る必要がある.また,当事者・家族を取り巻く環境に対して働きかけ,環境整備や家族支援といった間接的な支援に対しても能力を発揮する必要がある.

 発達障害にOTが関与することは,OTが人とかかわる専門職であることからも重要と認識している.なぜなら,人の成長過程に伴うプロセス体験を共有することで,乳幼児期から高齢期までライフステージに沿って見通す力を養うことができるからである.そのためにも,OTは作業療法の特性を活かし,その専門性をさらに活用しなくてはならない.OTは幅広い視点と現状を的確に把握するための分析力を有し,当事者・家族にとって必要な支援を選択し提供できる職種である.

 OTはまず発達障害の現状を知り,背景に何があるのかを理解したうえで,自らの役割や課題を明確にしておくべきである.今後も地域で一人ひとりの当事者・家族にかかわり続けていただきたい.制度の間で支援につながれず困っている方々のためにも,発達障害にかかわるOTが数多く育つことを期待している.

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Key Questions

Q1:当院における児童・思春期の精神科作業療法の実際は?

Q2:支援の課題は何か?

Q3:どのような支援事例があるか?

はじめに

 石川県立高松病院は,400床の精神科単科の精神科病院である.病院の特徴として,県内の精神科救急を担当,また,認知症疾患医療センターを併設している.400床の病床のうち,44床を救急病棟,50床を認知症対応の急性期病棟,15床をアルコール病棟,50床を重度かつ慢性期病棟,50床を認知症治療病棟,15床を重度知的障害者の病棟として運用している.

 石川県には児童・思春期病棟のある医療機関はなく,当院では救急病棟や外来で治療を行っている.当院外来精神科作業療法における指示者の実態は図 1の通りで,最近では24歳以下の若い世代の指示者数が増加しつつある.疾患別では,年齢にかかわらず一定の割合,発達障害が含まれている(図 2).

 今回,入院から外来へと支援を行った18歳未満の事例の作業療法アプローチを紹介し,今後の児童・思春期における作業療法と支援の課題を考察する.

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Key Questions

Q1:発達障害者の就労支援は何を支援するのか?

Q2:発達障害者の就労支援のアセスメントは?

Q3:発達障害者の就労支援でOTにできることは?

はじめに

 私たちは何のために働くのだろうか? この問いに対して,「3人のレンガ職人」の寓話がよくもち出される.旅人が3人のレンガ職人に出会い,それぞれに「何をしているのか?」と尋ねる.1人目は,「レンガを積むきつい仕事だ」と答える.2人目は,「レンガを積む仕事で家計を支えている」と答える.3人目は,「歴史に残る大聖堂を造っている」と答える.仕事に対する想いはそれぞれであるが,3人目のように,大きなビジョンをもつことが仕事のモチベーションを高めるとされる.確かに,就労している発達障害者においても,「仕事をして人の役に立っている」,「皆に喜ばれるよい商品を製造・販売している」という方は仕事へのモチベーションが高い.そして,家庭や他のコミュニティで安定した人間関係が築けていたり,家で役割をもっていたり,個人的な趣味をもっていたりすると,さらに継続して仕事ができる傾向がある.このような仕事以外のさまざまな要素も含めてその人らしい生活を実現するのが,OTの就労支援である.

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Key Questions

Q1:発達障害の捉え方と支援方法とは?

Q2:医療観察制度における発達障害者へのかかわりは?

Q3:医療刑務所におけるOTの取り組みとは?

はじめに

 筆者は,OTとして精神科病院に勤務した後,社会復帰調整官として医療観察対象者(精神障害による心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者.以下,触法精神障害者1))にかかわり,現在は,保護観察官として保護観察対象者(非行少年や犯罪者)にかかわっている.また,医療観察制度や刑務所からの障害者等の社会復帰支援システム(地域定着支援センター)の制度構築に携わった者である.共著者は,精神科病院の勤務を経て,現在,日本で初めて常勤職員として医療刑務所で触法精神障害者等にOTとしてかかわっている.このような立場や経験を通して,触法者の発達障害への支援について意見を展開し論じたい.

 多くの専門家が指摘しているように,発達障害と触法行為に直接的な因果関係はない.しかし,発達障害とその人を取り巻く環境等の影響により,不適応行動として触法行為に至る場合がある.実際に,医療観察制度における処遇や矯正施設である医療刑務所において,発達障害を抱える対象者は存在しており,そのような触法発達障害者に対して,その障害特性に応じたかかわりが必要である.これらの対象は成人の発達障害であり,その特性に合わせて支援する必要がある.

 本稿においては,まず,医療観察制度の処遇を通じて発達障害の捉え方や支援のあり方を考えたい.次に,少しずつ常勤OTの配置が広がっている医療刑務所での作業療法の取り組みを紹介する.さらに具体的な支援として事例を展開しているが,個人情報保護の観点から情報修正を加えていることをご理解願いたい.本稿が触法発達障害者に対する支援について,読者の皆さんと考える機会になれば幸いである.

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 自閉症,知的障がいのある24歳の息子は幼いころから飛行機が大好きでした.そんな息子が初めて意味のある言葉を発したのは4歳のとき.飛行機のおもちゃを指差して,「ヒコーキ」と言いました.現在,ANA松山空港カウンターで荷物をベルトコンベアーに流す仕事をしています(図 1).大好きな飛行機のそばで働けるなんて信じられない思いです.しかし,小さいころからの成長を手繰り寄せると,これは必然だったのかもしれません.

わたしの大切な作業・第19回

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 私にとって作業こそが生きること、と言ってもよいかも知れない。特に毎日のルーティンワークが1日の自分を支えてくれている。そしてそのほとんどは朝に済ませられる。自嘲的な言い方をすると、40代のころまったく身体をいたわらなかったおかげだ。その結果、48歳の冬の100日間、ほとんど風邪症状が抜けないという憂き目に遭ったのだった。とにかく寒気と肩こり、頭重感が抜けない。そのころは週に2〜3本はテレビやラジオの仕事をしていたのだが、本番直前までしんどくて机に突っ伏していたことすらあった。そんな最悪のコンディションの中で出会ったのが「足助式医療體操」だった。以来11年間、毎日欠かしたことがない。

 というわけで、朝、目覚めた姿のままで、つまり布団の中から私の作業は始まる。「足助式医療體操」の基本である足首回しからスタートし、快通快便体操という仰向けで膝を立て、交互にその膝を内側に折りたたむ運動を数百回するころには、スッキリとした目覚めの心地よさが全身を駆け巡っている。おかげで腹の調子が悪くて苦しんだことは一度もない。この体操はほとんどが寝転がったままでできるという、安全で誰にでもできる体操で、昨今注目されている大腸にもとてもよい影響があるらしい。

提言

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プロローグ

 OTは,元来自助具を考案・製作,提供してきた歴史がある.製造物責任法〔1994年(平成6年)〕が制定され,製造物の欠陥により損害が生じた場合の製造業者等の損害賠償責任について定められたこと,そして,介護保険制度〔2000年(平成12年)〕が開始され,一気に福祉用具の市場規模は拡大したことにより,OTが自助具を製作する機会がにわかに少なくなった.また,国家試験に向けた教育の充実の中で,製作技術に割り当てられる時間が削減され,臨床実習に割く時間と成果が求められることとなった.個別化と多様性が重んじられる時代,生活の援助者である私たちOTは,あらためてニーズとシーズのつなぎ役となることが求められているのではないだろうか.

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異例な速度で日常復帰

 右脳にアテローム血栓型の脳梗塞を発症し,高次脳機能障害を抱えながら生きることになって,そろそろ4年が経過した.日常生活や仕事の中で困りごとを感じることも少なくなり,“本当にようやくこの世に帰って来た感じがするな”としみじみ思う昨今.けれど僕の「ようやく」感に反して,3冊の闘病記的な書籍1〜3)を刊行し,リハ職や当事者やご家族等の読者様から数多く寄せられた感想の中で目立ったのは,「どうして鈴木さんの回復はそんなにも早かったのですか?」というものだった.

 実際僕自身,急性期からしばらくは,“これほど不自由で毎日が苦しく絶望的なら,ぽっくり死んでしまったほうが楽だった”と心底思うことも度々あったから,「もともと障害の程度が軽かったから」と言われたら少々心外.けれど実際には,僕と同程度の高次脳機能障害の当事者が,受傷後4年の時点ではまだほとんど機能を取り戻せていなかったり,仕事に戻れずに苦しんでいることを読者からのお便りで知り,自分が「異例な速度で日常復帰した異例な当事者」なのだということを認めざるを得なくなってきた.

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第59回

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小さな奇跡を導く手段

 私は,発達障害がある子どもや成人,高齢者,その家族と作業療法を通じてつながってきました.病院,発達支援センター,授産施設,通常の学級,特別支援学校や学級と,さまざまな生活空間で,医療の理屈では,説明のつかない彼らの不思議な力に魅せられてきました.

 OTは,生活の文脈に対象児・者の不思議な力を発見し,もてる技術を駆使して「小さな奇跡」を導いています.生活空間には「作業」が満載です.「不思議な力」は,「作業」のかたち,色,奥行き,リズム等の特性や「作業」を共有して楽しむ人とOTにより,「小さな奇跡」へ導かれます.そして,また「不思議な力」は,仮説検証的介入からではなく,じっくり自身の作業療法を振り返ることや,対象児・者への関心,共感を深めることで観えてきます.OTとしての41年間は,「不思議な力」から「小さな奇跡を導く」ことに専念した貴重な時間でした.

連載 脳損傷者への就労支援—対象者のデータベース化と多職種による支援の試み・第3回

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はじめに

 就労年齢脳卒中患者では,回復期リハビリテーション(以下,リハ)医療を経て家庭復帰することはもちろん,社会復帰としての就労が最終的なリハゴールである.就労支援では,病前に就労していた職場と調整することで退院後に前職に復職できる場合と,前職はいったん退職し新規就労を支援する場合がある.復職の場合はそのまま普通雇用を継続することが多いが,新規就労の場合は,障害者手帳等を利用しての障害者枠での就労となることも少なくない.復職が可能な場合には,入院中に職場との調整を行い,退院後数カ月以内に実際に働き出すことが可能であり,再就労まで回復期リハスタッフがかかわりながら支援することができる.しかし,新規就労の場合は,障害が重度であることが多く,また障害者手帳は発症から6カ月以上経過して申請が可能となるため,退院後も外来や就労支援施設に移行しながら長期にわたる支援を受ける必要がある.

 当院では,就労年齢の脳卒中患者で退院後の就労希望がある場合には,早期から就労支援を意識したリハ医療を行い,回復期リハ医療の期間に就労への具体的な方向性を確定できるように努力している.本稿では復職を主体に,当院での就労年齢脳卒中患者への就労支援における医師のかかわり方について解説する.

連載 作業療法を深める ㉟覚醒下脳神経外科手術

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はじめに

 脳神経外科とリハの医療連携,というと手術前後のお付き合いというイメージかと思う.しかし,覚醒下脳神経外科手術では,手術中にもリハに重要な役割をお願いしている.運動,感覚や言語機能はもちろんのこと,ボタンをはずす,消しゴムや箸など小道具を使う,足し算や引き算等の計算,といった高次脳機能が保たれているかを手術中に確認してもらっている.動画を用いると簡単に説明ができるのだが,本稿ではOTの皆様に私たちが行っているユニークな治療連携として,最新の覚醒下脳神経外科手術におけるリハ科と脳神経外科のコラボレーションを紹介する.

特別企画 本を読もう!!

本を読もう!!
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 食欲の秋,芸術の秋,スポーツの秋…….「○○の秋」というと,読者の皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 編集室では断然,「読書の秋」を推したいと思います.

 というわけで,1月号に続いて,「本を読もう!!」の第2弾です.今回も読書家の先生方に,小説,マンガ,専門書,ジャンルを問わずに推薦図書を挙げていただきました.秋の夜長に読書を楽しみましょう.

話題の著者に聞く

橋本弘子氏
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『パーキンソン病はこうすれば変わる!—日常生活の工夫とパーキンソンダンスで生活機能を改善』(三輪書店)の刊行から7年.活用くださった当事者やご家族より,新しいバージョンのダンスのリクエストが多かったこと等より,2019年4月に『続 パーキンソン病はこうすれば変わる!—病気の理解とパーキンソン・ダンス』が発行された.この続編の特徴,ダンスDVDの見どころ等を,著者を代表して橋本弘子氏にうかがった.(編集室)

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Abstract:研究の目的は,対象者の語りによって在宅がん患者における罹患後の作業の変化を明らかにし,それに対するOTの役割と今後の課題を探求することである.対象者は在宅の女性がん経験者 5名で,対象者に対し,がん罹患後の日常生活の変化について半構造化面接を実施した.分析はグラウンデッドセオリーアプローチ(ストラウスVer. 戈木改)の手順に沿って進めた.対象者の語りから合計696枚のラベルが生成され,仕事と余暇活動における変化が導き出された.仕事では,仕事の大切さを実感し継続する者と,罹患により仕事の位置づけが低下した者の2つの経過が示された.余暇活動では,後悔したくない思いや,仕事の位置づけの低下とも関連して,余暇活動に積極的に取り組む姿勢の変化がみられた.今後は医療機関でのがんリハにとどまらず,就労,学業,余暇活動等作業療法の専門性をより発揮できる地域での支援体制の整備が必要である.

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Abstract:【目的】精神科訪問看護(以下,訪看)のOTの支援・介入を調査し,訪看にOTが加わる意義を検討する.【対象】ICD-10のF2,F3圏の91人.【方法】訪看の支援・介入コード表を作成し,初回訪問日から1年間の訪問記録をコーディングした.患者1人ごとの年間訪問回数のうち,OT訪問回数が50%以上の者(OT積極訪問群,n=15)と50%未満の者(OT消極訪問群,n=76)に分け,支援・介入の実施率と訪問中の年間入院率を比較した.【結果】OT積極訪問群(n=15)はOT消極訪問群(n=76)より医学的介入(前者:77.8±50.7%,後者:44.6±29.6%,p<0.05),日常生活支援(前者:85.6±70.0%,後者:29.6±26.9%,p<0.01)を高率で実施した.OT積極訪問群(n=15)の年間入院率は20.0%,OT消極訪問群(n=76)は28.9%であった(p>0.05).【考察】OTが訪看に加わる意義は,医学的介入と日常生活支援を組み合わせて患者の生活を支えることであると考えられた.今後はOTの訪問効果検証のための前向視的研究が必要である.

昭和の暮らし・第35回

写真用コーナー 市橋 芳則
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 明治時代から昭和初期ごろの古いアルバムを広げると真っ黒の台紙にモノクロ写真が貼りこまれている.アルバムのサイズはさまざまであるが,B5サイズくらいで横長のものをよく見かける.こうしたアルバムに写真を糊で直接台紙に貼る場合と,上の写真のように四隅をとめる紙製のコーナーを用いる場合とがある.写真用コーナーを使うと,写真に糊をつけることなく,台紙にとめることができる.再び取り外すことができ,写真を傷めることがない.

 写真用コーナーにはいろいろなタイプのものがあり,オーソドックスなものは上の写真の左下のように,とめた際,三角形が表に見えるタイプである.三角形の部分に写真の4つもしくは2つの角を差し込むものだ.

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目次

表紙のことば/今月の作品

次号予告

研究助成テーマ募集

Archives

第55巻表紙作品募集

学会・研修会案内

編集後記 西出 康晴
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 9月に発生した台風15号により被害に遭われた方々に,心よりお見舞い申し上げます.特に,被害の大きかった地域の方々の生活が心配されます.2018年7月に地元の災害支援に携わった者として,災害弱者と呼ばれる障害児・者,高齢者の方々のことが一番に気になります.早急な復興,安定した生活の回復を心よりお祈りします.

 さて,本号の特集は,発達障害者の生活支援と就労支援がテーマです.昔の話になりますが,脳性麻痺のある女性の就労に際し,母親と共にとても苦労したことを今でも記憶しています.機能障害はあるものの,話すこと,考えること等,仕事をするうえで,一般の人とまったく見劣りしないのに,身辺動作に少しでも支援が必要になると,どこも採用してくれないといった歯がゆい思いをしました.その当時の社会的な状況を考えると致し方なかったと今では思える反面,なぜ社会がもっと早く整わなかったのかと残念でなりません.

基本情報

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作業療法ジャーナル
53巻12号 (2019年11月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

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