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特集 疾患別 バランス障害に対する作業療法
大腿骨近位部骨折のバランス障害に対する作業療法
Occupational therapy for balance disorders of proximal femur fractures
大形 篤
1
Atsushi Ogata
1
1倉敷第一病院
pp.412-416
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202959
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Key Questions
Q1:大腿骨近位部骨折のバランス障害の捉え方は?
Q2:大腿骨近位部骨折のバランス障害の要因の特徴と介入ポイントは?
Q3:大腿骨近位部骨折における作業療法アプローチの実践のポイントは?
はじめに
大腿骨近位部骨折の主な発生原因は転倒であり,その後にもたらされる歩行能力低下はADL能力やQOLを低下させることがわかっている1,2).転倒の多くは,歩行時やADL動作時にバランスを崩したことが原因になっており,バランスを維持しながら動作遂行することは,骨折の再発防止につながる.このため,セラピストはバランス障害の原因を理解することが重要である.
先行研究ではバランス障害をアウトカムにして論じられていることは少ないが,①ADL能力,②歩行能力,③認知機能低下,④視力障害,⑤服薬状況の5つの要因から予後予測が検討されていることが多い.バランス障害を理解するために,上記の5つの要因および周辺要因をまとめて,大腿骨近位部骨折におけるバランス障害の仮説プロセスモデル(図 1)を作成した.作業療法アプローチでも,心身機能面のさまざまな要因がバランス障害へつながっていくことが想定されている.本稿では,図 1の仮説プロセスモデルに沿って,先行研究から各要因の特徴やポイントを挙げる.
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