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編集後記
長野 敏宏
pp.1406
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201958
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先日,DSM-Ⅳの作成委員長であるAllen Frances先生に私自身がかかわる現場・地域を見ていただきながら,とても濃厚な時間を過ごした.その中で,先生が米国の精神医学やロサンゼルスで精神疾患の方々が置かれた現状を盛んに心配しておられたことが印象に残った.精神疾患の診断の拡大,過剰な薬物療法,その中での重度の精神疾患の方への支援の乏しさ,社会的支援の乏しさ.ある意味頂点をきわめていったん一線から退いた先生が,危機感から再び活動を始められ,イタリアのトリエステに何度も足を運び,学び,考え,行動し続けられるお姿にとてもとても感銘を受けた.また大きな勇気を与えられた.
世界中の精神医療保健福祉は試行錯誤の最中である.今回の機会で,ご本人の立場からみると診断・治療もリハも,社会的支援のあり方も,地域社会そのものもきわめて不十分であることを確信し直した.私たち精神科医療専門職は,その状況を謙虚に受けとめながらも,それぞれの置かれた立場でベストを尽くし続けなければならない.また,大きな変革を起こしていかなればならない.
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