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特集 脊髄損傷と作業療法
頸髄損傷の上肢・手指への機能的アプローチ—症候学に基づいた電気・磁気刺激療法の可能性
Functional approach to upper extremity and hand in cervical spinal cord injury: Potential of electric and magnetic stimulation therapy based on symptomatology
對間 泰雄
1
,
沼田 愛未
1
,
佐藤 彩菜
1
,
松本 琢麿
1
,
横山 修
1
Yasuo Tsushima
1
,
Manami Numata
1
,
Ayana Sato
1
,
Takuma Matsumoto
1
,
Osamu Yokoyama
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター 神奈川リハビリテーション病院
pp.579-585
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203825
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Key Questions
Q1:頸髄損傷者の上肢機能の問題は?
Q2:頸髄損傷の麻痺手の捉え方とは?
Q3:頸髄損傷者への上肢機能に対する末梢神経電気刺激療法や末梢神経磁気刺激療法はどのようなものか?
はじめに
昨今は中高年の不全頸髄損傷が増加し1),特に中心性頸髄損傷と診断された患者は上肢に重い障害があり,肩痛や関節可動域制限等の二次的な障害も問題となる2).また,保険診療で再生医療が行われるようになり3),再生医療後の患者を受けもつ機会が多くなった.
頸髄損傷者の上肢機能の問題は,下肢・体幹機能に問題がある四肢麻痺といった障害像を踏まえると,基礎的定位の障害として姿勢制御の問題を捉えながらアプローチする必要がある4).一方で,手指の随意性を確認できるが肩痛や徐々に硬くなる不全麻痺者の上肢に悩みながらも,手指の動きがなくとも物品操作を巧みにこなす完全麻痺者と,さまざまな麻痺手の継時的な変化に疑問を抱く.「何が違うのか?」と自問自答し,脊髄損傷の症候学に振り返りながら関連文献を抄読していくと,患者に起きている麻痺手の状態が理解でき,最新のテクノロジーの可能性に期待がもてる.
そこで,中心性頸髄損傷者の上肢機能の問題を踏まえたうえで,症候学や最新の知見を含めた麻痺手の捉え方を紹介し,頸髄損傷者への上肢機能に対するニューロモデュレーションとして,末梢神経電気刺激療法や末梢神経磁気刺激療法のアプローチを症例を交えて紹介する.
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