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特集 私が考える精神科作業療法の未来
精神科作業療法の未来
The future of psychiatric occupational therapy
香山 明美
1
Akemi Kayama
1
1東北文化学園大学
pp.1335-1340
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201937
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Key Questions
Q1:回復過程に沿った作業療法の役割とは何か?
Q2:包括的リハビリテーションプログラムとマネジメントとは何か?
Q3:「作業療法の定義」を踏まえた支援をどう行うか?
はじめに
筆者は,1983年(昭和58年)にOTとしての職業人生を精神科病院からスタートした.リハとは単に機能訓練を意味するのではなく「全人間的復権」を理念とするものであると学んで卒業した新人OTだったが,生活療法が色濃く残り,看護職員が内職作業やレクリエーションを行う病院内の現状を目の当たりにし,学んだことと現実には大きな乖離があることに驚愕するだけで,そのことを言葉にすることも客観的に整理する力もなかった.しかし,現場には新人OTを温かく迎え入れる雰囲気はなく,この体制と闘っていかなければならない,と覚悟を決めていくには時間がかからなかった.
入職した次の年に宇都宮病院事件註が起こった.この事件を耳にしたとき悲しい思いを抱いたが,日本の精神科病院の厳しい現状を知る機会となった.幸い入職した病院に暴力はなかったが,患者さんの意思や主体性を大切にしていく考え方が根づいていくには大分時間がかかった記憶がある.
精神科作業療法は作業療法の本来の目的である「応用的動作能力や社会適応能力の向上」に沿った活動ができてきただろうか.できなかったのなら,なぜできなかったのだろうか.これまで筆者が体験した精神科作業療法を振り返り,本特集で4人の筆者が取り上げた,「予防的介入」,「認知リハ」,「自己効力感」,「リカバリー」,「包括的ケアマネジメント」等のキーワードも含め,作業療法の未来を展望する.
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