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Key Questions
Q1:認知症の人に対する生活行為の目標の捉え方は?
Q2:認知症の人に対するMTDLPのポイントは?
Q3:認知症の人に対するMTDLPの活用の特徴は?
はじめに
わが国において2012年(平成24年)で認知症の人の数は約462万人,軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)の人の数は約400万人と推計され,合わせると65歳以上高齢者の約4人に1人が認知症の人,またはその予備軍ともいわれていた.2020年(令和2年)には認知症の人の数は600万人を超え,2025年には65歳以上高齢者の約5人に1人が認知症になると見込まれている(厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」より).
認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるよう,認知症の人の意思が尊重され,できるかぎり住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現すべく,2015年(平成27年)1月に「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜」(新オレンジプラン)を策定し,取り組みを進めてきている1).本戦略には,初めて“認知症の人に対するリハビリテーションについては,実際に生活する場面を念頭に置きつつ,有する認知機能等の能力をしっかりと見極め,これを最大限に活かしながら,ADL(食事,排泄等)やIADL(掃除,趣味活動,社会参加等)の日常の生活を自立し継続できるよう推進する”2)と提言された.
また,2019年(令和元年)6月18日にとりまとめられた「認知症施策推進大綱」1)では,認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる「共生」を目指し,「認知症バリアフリー」の取り組みを進めていくとともに,「共生」の基盤のもと,通いの場の拡大等,「予防」の取り組みを政府一丸となって進めている.
このようにこれからの認知症の方への支援として,①住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられること,②認知症の人の意思が尊重されること,③有する認知機能等の能力をしっかりと見極め,これを最大限に活かしながら,ADL(食事,排泄等)やIADL(掃除,趣味活動,社会参加等)の日常の生活を自立し継続できるようにすることが求められている.
本人が望む生活行為に焦点を当て,その実現に向けた支援を行うという意味では,日本作業療法士協会が推進する生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance:MTDLP)は,認知症の方への有効な支援ツールであるといえる.
当院での実践を含め,活用のポイントについて事例を通して,紹介したい.
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