作業療法ジャーナル 52巻9号 (2018年8月)

特集 今,作業療法室でできること

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特集にあたって

 日本作業療法士協会の作業療法の定義が改定された.新しい定義は「作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である.作業とは,対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」である.作業療法は,利用者主体に作業を志向した治療,指導,援助でなければならない.

 作業は環境の影響を受ける.対象者が作業を行う場で作業療法を行うことが最も望ましいかもしれない.作業療法室は,作業療法を受ける人々が訪れる場であり,施設によりさまざまに異なっている.OTには,対象者が必要としている作業療法を実践できるよう作業療法室環境を整えることが求められる.環境とは,治療道具,空間としての治療実施場所,治療場面を共有する他者とその他者とのかかわり,プログラムや時の流れとしての治療内容等である.

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Key Questions

Q1:作業療法室の現状は?

Q2:作業療法室「だから」できることとは?

Q3:今後、作業療法室でのリハをどう展開するか?

はじめに

 「作業療法室でできること」.作業療法室という場所でしかできないことは,やはり「ある」.一方,作業療法室以外でやるべきことも「ある」.私自身,OTという資格をもちすでに30年以上となるが,作業療法室のあり方についてはその時代と共にあるように感じる.思えば入職当時の各作業療法室は,木工や手芸等の作品に囲まれていた.自助具等の福祉用具はほぼ手づくりであったため,木くずや布などのゴミ等が散乱していることも自然であった.でも,なぜか安心感もあった.今では考えられない状況かもしれない.そう振り返ってみると,今の作業療法室は良くも悪くも「何だかキレイ」である.

 昨今,地域リハが浸透し,「どこでも作業療法」が可能であろう.普及はまだまだではあるが門は開かれている.2016年度(平成28年度)の診療報酬改定では,疾患別リハビリテーション料が医療機関外におけるリハでも算定できることとなった.これも画期的であり,一方では介護報酬等での作業療法の活動は,「外」であることが多いことは間違いない.今後は作業療法室以外での作業療法の展開もさらに進むであろう.

 今回,身体障害分野における診療報酬改定等の振り返りとともに作業療法の臨床の発展を整理する.また,私の勤務先の作業療法室をご紹介し,「作業療法室で何ができるのか」をあらためて考えてみる.地域によって,その場所によって,作業療法室のあり方は異なるかもしれない.しかし,「核」として必要なこと,それはあるだろう.本稿がそれぞれの「作業療法室づくり」のきっかけ・手がかりになれば幸いである.

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Key Questions

Q1:回復期リハビリテーション病棟とは?

Q2:回復期リハビリテーション病棟の作業療法とは?

Q3:多様なニーズに応える作業療法室とは?

はじめに

 作業療法における「作業」とは,日常生活活動,家事,仕事,趣味,遊び,対人交流,休養等,人が1日24時間365日を通して営む生活行為を指す.利用者主体の作業療法とは,患者の望む作業ができる状態にする支援である.

 筆者の勤務する東京湾岸リハビリテーション病院(以下,当院)は回復期リハ病棟を有する病院であり,当院に入院する患者は,脳卒中の発症や骨折等の受傷によりリハを必要とした状態である.患者それぞれに障害を抱え,病前の生活とはまったく違った生活の再構築を必要としている.回復期の作業療法では,患者一人ひとりにとって重要な「作業」に焦点を当て,生活の再構築の支援が求められる.そのためには,患者の状態を適切に把握し「根拠に基づく作業療法」を提供することに努め,患者の状態に合わせたさまざまな作業療法を実施できる物的・人的環境が欠かせない.

 理想に描く回復期の作業療法を実践するにはまだ課題はあるが,回復期リハ病棟における作業療法の一例として,当院の作業療法を紹介する.

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Key Questions

Q1:子どもにとって「豊かな環境」とは?

Q2:発達領域の作業療法に必要な環境とは?

Q3:成人の作業療法室で子どもの発達支援は可能か?

 本稿では,発達領域の作業療法室に必要かつ重要な環境について,筆者らの考えを述べる.また,実際の発達領域の作業療法室環境について紹介する.

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Key Questions

Q1:作業療法のための時間と場所とは?

Q2:作業療法のための活動とは?

Q3:作業療法のための人とは?

はじめに

 Occupational Therapyの“occupation”の意味には,「占領」,「占有」という意味が含まれている.OTとは,空間をoccupationすることで療法を可能にする療法士であるが,これらの根拠は作業療法の治療構造に示されている.

 中山1〜4)が提唱した精神科作業療法の治療構造では,精神科作業療法は4層の構造化から構成されている.4重構造の内訳は,第1層:一般的外的治療構造,第2層:作業療法室という外的治療構造,第3層:作業という外的・内的要素に渡る外的内的治療構造,第4層:一般的内的治療構造,であり,「作業療法室」の構造化は第2層に明記されている.また,松井5)は精神科作業療法の治療構造として,①時間,②治療者と非治療者の関係,③物的条件,④作業の4条件を述べており,これらの治療構造は,山根6)が提唱した精神科作業療法の治療構造にも示されている.

 本稿では,作業療法室を精神科作業療法の治療構造から再確認し,作業療法室と各治療条件との関係について具体的な臨床事例を示し解説する.

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Key Questions

Q1:スマートリハ室とは何か?

Q2:スマートリハ室が目指す未来は何か?

Q3:スマートリハ室でのOTの役割は何か?

はじめに

 近年,スマートフォンをはじめとした「スマート○○」という言葉をよく耳にするようになった.家庭やビル,交通システムをITネットワークでつなげ,地域でエネルギーを有効活用する次世代の社会システムの「スマートコミュニティ(スマートシティ)」や「スマートグリッド」1),さらに身近なところではスマートウオッチ,スマートスピーカー,スマートテレビ,スマートインターチェンジ等がある.これらには共通してIT技術が活用されており,最適化,効率化等のキーワードが共通している.「スマート」という言葉には「利口,賢い」,「無駄がなく手際がいい」等の意味が含まれる.リハ分野においても最先端の医療機器やIT技術を活用し,最適化・効率化・高度化を目指した「スマートリハ室」という用語が誕生した.湘南慶育病院(以下,当院)はこのスマートリハ室を日本で初めて開設した病院である.本稿では,このまだ聞き慣れない「スマートリハ室」とう用語の説明と,当院におけるスマートリハ室の取り組みについて紹介する.

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当院における「リハ室」のとらえ方

 当院は「老人にも明日(あした)がある」の設立理念のもと,たとえ障害があってもいきいきと暮らすことができるよう,多職種によるチームアプローチを実践している.そのなかにあってOTは,実生活におけるADL能力向上を目的とした病棟でのアプローチや,買物,公共交通機関利用の評価や能力獲得に向けた病院外でのアプローチを実施している.

 当院ではリハ室はもちろん,病棟,屋外等,さまざまな場所でリハを行う.なかでも特徴的な施設として,「楽しむ」ことで元気になり,その力を取り入れることでリハも効果的に行えるよう,多目的・多機能・多職種でさまざまな使い方が可能な「マルチルーム」がある(図1,2).ここには手工芸の道具,カメラ,パソコン,ゲーム等が備えてあり,社会復帰に向けて,あるいは新しい趣味や能力を獲得するためのスペースとしている(図3,4).

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 急性期,回復期,地域のデイサービスという経過をたどった2人の男性利用者のインタビューを基に「私にとっての作業療法室」について考えてみたいと思います.

 60代男性のAさんは,会社から帰る駅の階段から転落し,もともとあった頸部脊柱管狭窄症に加え,脊髄損傷を生じ不全麻痺となりました.50代男性のBさんは,仕事中に脳幹出血を発症し,左上下肢と右の顔面麻痺のほか,構音障害,嚥下障害,体幹失調等の後遺症が残存しています.

わたしの大切な作業・第5回

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 昆虫採集と標本の作製が、私の日常の作業である。採集には五感と全身を使う。歩く、探す、見つける、捕まえる。昆虫にもいろいろある。私の場合は甲虫で、蝶のように翅の始末が問題になるものは扱わない。

 採った虫を薬剤で殺す。それに昆虫針を刺す。採った場所、日時、採集者の名前を書いたラベルをさらに刺す。これなら簡単で、ヨーロッパの古い標本によくある。

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 私は大学で勤務するかたわら,東京都板橋区の中途障害者の支援を行うNPO法人の代表を兼任している.このNPO法人の支援対象の中心は高次脳機能障害者であり,地域活動支援センターであるデイサービスと,就労継続支援B型事業を運営している.また縁あって,同区の障害者地域自立支援協議会の高次脳機能障害部会長を拝命している.このような責任のあるボランティア活動を行う機会を与えてくれたOTという仕事に感謝するとともに,高次脳機能障害者を取り巻くサービスの現状がなかなか改善しないことに忸怩たる思いを抱いている.

 高次脳機能障害は古くからOT,STをはじめとするさまざまな保健医療職が支援を行ってきた.しかし,わが国において障害者手帳の申請対象に認定されたのは遅く,2011年(平成23年)にようやく精神障害者保健福祉手帳に認定された.それから7年,高次脳機能障害者の支援を行う地域資源は年々増加している.しかし,一部のモデル的な地域を除いて,いまだ医療から障害福祉サービスへの移行が円滑に行われているとはいえない.またサービスの質もばらばらである.

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第44回

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発見と希望

 作業療法って何だろう,ヘンな仕事だなと,もやもやしていました.でもOTになってから,小さな発見はたくさんありました.作業療法室で「この人,こんなことができる」と発見するのは,うれしいことでした.1990年代に,クライエントの作業を見つける評価法であるCOPMと,作業がどのようにできるかを測るAMPSを知ったとき,もやもやが少し晴れたような気持ちになりました.

 作業療法の中で,障害を負った後の人生にも,いいことがあると信じることができました.希望がビジョンになったのは,作業科学を知ってからです.どんな作業をどのように行うか(doing)から,自分の存在(being)が決まるという考えは,希望を生み出します.人生は,運命や誰かに決められたものではなく,自分でその気になったり,考えたりして,つくり上げていくことができます.作業から始めるという考えは,人や社会が未来に開かれている,変化を起こすことができると信じさせてくれます.

講座 作業療法士が知っておくべき栄養学・第4回

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Key Questions

Q1:栄養サポートチームとは?

Q2:栄養サポートチームが介入する対象者とはどのような人か?

Q3:栄養サポートチームでOTはどのような役割を担えるのか?

はじめに

 作業療法をはじめとしたリハが処方される対象者には,低栄養や食思不振等,何らかの栄養障害を認める者が多い1,2).栄養療法はすべての治療の基盤となり,栄養状態が不良であれば,原疾患の治療が長引くだけでなく,ADL,QOLの低下や生命予後の不良にもつながる可能性がある.栄養障害に陥る理由には,単なる栄養素の摂取不足だけでなく,生活習慣や経済的な問題,買い物に行けない,孤食,といった生活・社会背景が深く関係していることも多い.そのため,OTは多職種と連携して対象者個々の生活背景や価値観を理解し,栄養状態に応じた「活動」と「参加」を支援していくことが求められる.

 本稿では,「栄養サポートチームにおける作業療法士の可能性」と題し,栄養サポートチームとは何か,OTは栄養サポートチームでどのようなことを担えるのか,栄養サポートチームやリハ栄養におけるOTのこれまでの業績や現状・今後の課題について述べる.

連載 食べる楽しみを支える・第2回

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はじめに

 車いすに乗ったまま食事をとることはよくない,このことは多くのOTが知っています.これはなぜでしょうか.それは食べにくいからです.あたり前だと思うかもしれませんが,食事への作業療法介入では,自力摂取の「できる-できない」が注目されやすく,「食べやすさ-食べにくさ」という視点はおろそかにされる傾向があります.

 食べにくさは本人の主観的な問題だけではなく,多くの問題を引き起こします.たとえば食べにくい食事動作では過剰な筋活動が生じやすく,それが正常な嚥下運動を妨げることや,疲労を招き,食事中の傾眠が生じる等の問題です.つまり,食事の食べにくさを改善することは,本人が主観的に食べやすいと感じるだけではなく,誤嚥等のリスクを下げることも期待できるのです.

 食べにくさを引き起こす主要な要因の一つが食事姿勢です.本稿では自力摂取の際に食べやすい食事姿勢について,一般的な食事姿勢を例に解説します.基本的なことが多く,ご存知のことが多いかもしれません.たとえば「食事のときは足を床に着ける」.それでは,なぜ足を床に着けるのでしょう.この「なぜ?」に答えられなければ,現場で看護師や介護士の方々を納得させることはできません.OTのADL介入は常に,看護師や介護士等,介助者への広がりを意識した介入が必要です.

連載 下肢慢性創傷への作業療法・第5回

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Key Questions

Q1:下肢慢性創傷患者に対する作業療法とは?

Q2:下肢慢性創傷患者の心身機能の特徴とその介入とは?

Q3:下肢慢性創傷患者に対する再発予防に向けた介入とは?

はじめに

 下肢慢性創傷の予防に向けた運動療法やフットケアが注目されている.この背景には,糖尿病患者の増加によるところが大きい1,2).糖尿病が進行すると,周知の通り,さまざまな二次的疾病や障害を引き起こす.その疾病の一つに糖尿病性足病変がある3).糖尿病性足病変は,世界的な疫学的調査では,有病率1.5〜10%,発生率2.2〜5.9%,そのうち,7〜20%が下肢切断へ移行し,生命予後は不良であるといわれている4).しかし近年は,集学的治療の進展に伴い救肢率は向上し,リハ介入の重要性が示されている5).2016年度(平成28年度)の診療報酬改定では,腎不全期患者指導加算や下肢末梢動脈疾患指導管理加算が新設されたことも,この分野へのリハ介入に追い風となっているととらえる.

 このような患者は複数の慢性疾患を抱えていること,また高齢者が多く認知症を併存していることも多いことから,大分岡病院(以下,当院)の下肢創傷センターでは,OTも集学的医療チームの一員として,この分野に積極的に介入している.

 本稿では,下肢慢性創傷患者に対するリハと作業療法について当院での取り組みを紹介し,OTの関心の高まりを期待したい.

連載 ユーモアと笑い・第12回【最終回】

ユーモア,笑いの研究 柏木 哲夫
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 ユーモアや笑いは,学問,研究の対象になりにくいと思われがちであるが,必ずしもそうではない.この分野の学術団体および研究をいくつか紹介したい.

連載 作業療法を深める ㉑腸内常在菌

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はじめに

 ヒトの腸内常在菌の構成がきわめて個人差が大きいために,腸内常在菌が棲む場である大腸は,ヒトの臓器の中で最も種類の多い疾患が発症する場とされている.腸内常在菌を構成している細菌が直接腸管壁に働き,消化管の構造・機能に影響し,宿主の栄養,薬効,生理機能,老化,発がん,免疫,感染等にきわめて大きな影響を及ぼすことになる.腸内常在菌が産生した腐敗産物(アンモニア,硫化水素,アミン,フェノール,インドール等),細菌毒素,発がん物質(ニトロソ化合物等),二次胆汁酸等の有害物質は,腸管自体に直接障害を与え,発がんやさまざまな大腸疾患を発症するとともに,一部は吸収され長い間には宿主の各種内臓に障害を与え,発がん,肥満,糖尿病,肝臓障害,自己免疫病,免疫能の低下等の原因になるであろうと考えられている(図1).

 さらに,先述のように腸内常在菌は,年齢や性別,生活習慣による個人差がきわめて大きい.腸内常在菌は,食物の消化・吸収だけでなく,免疫系や神経系の働きとも密接にかかわっているため,こうした個人差から有用な情報が得られれば,健康維持の手がかりとなる.

 近年,ヒト腸内常在菌と生活特性(年齢,性別,BMI,食生活,運動習慣等)との関係が解明されてきた.21世紀は腸内常在菌の構造と機能が全面的に解明され,それを人類は健康診断に応用し得る時代となる.

ひとをおもう・第5回

形態を吟味する 齋藤 佑樹
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 定年退職後,友人との交流や趣味のヨガを楽しみながら毎日を過ごしてきたサキさん.脳梗塞により中等度の右片麻痺を呈し,回復期病棟に入院してきました.入院当初からサキさんは,右上肢を積極的に作業に参加させ,生活に必要な能力をどんどん身につけていきました.

 一見とても前向きにリハに取り組んでいるようにみえたサキさんでしたが,実はとても気になっていることがありました.それは「食事」でした.

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Abstract:本研究では,認知症高齢者42名を対象に,注意課題ゲーム(Pゲーム)とTrail Making Test(TMT)との関連性と,簡易テストとしての有用性について検討した.Pゲームは25マスの図案の上にランダムに置かれたペットボトルキャップを順番に取り出すゲームである.PゲームはTMTに似せてつくり,数字のみをPゲームA,数字と平仮名をPゲームBとし,キャップに数字や文字を貼った.TMTとPゲームの各測定値の比較では,PゲームはTMTと比較して有意に遂行時間が短く,課題を最後まで遂行できる割合も高かった.測定可否の比較では,PゲームAはすべての対象者が測定可能であったが,PゲームBは中・重度者の実施が困難であった.Pゲーム中のビデオデータ解析では,①並べる,②助言,③声だしの3つの特徴(以下,対処行動)が観察され,PゲームBの時にすべての対処行動が増加した.本研究よりPゲームは,注意機能検査であるTMTと比較し難易度が低く,TMT-Bで測定不可の者に対しても測定ができるため,簡易テストとして有用と推察される.

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Abstract:今回筆者らは,前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血後,脳血管攣縮による脳梗塞を呈した50代女性A氏の作業療法を担当した.覚醒が低く傾眠傾向であったA氏に対し,覚醒を促すことを主目的に興味・関心のあると思われる作業である太極拳をテーマとしたカード見合わせ課題や書道を導入した.そして,患者にとって目的のある作業を用いることで覚醒が安定し,日中の活動量の増加により,発動性の向上や注意力の向上がみられた.それは,自ら夫へ手紙を書くことにつながり,その中には「家で夫と共に暮らしたい」という気持ち・要望が表現されていた.またその人らしさを取り戻すきっかけにもなった.

 急性期病院における作業療法を実施するにあたって,患者の日々の状態を把握し,よりタイムリーに即実行できるようなかかわりが大切である.また患者にとって重要で意味のある作業を適切な時期に提供し,その重要な作業を誰と実施したいかをも把握することで効果的な治療につながると考えられた.

昭和の暮らし・第20回

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 夏の風物詩といえば,風鈴,かき氷,蚊取り線香等いくつか思い浮かぶが,その一つに行水がある.洗濯用のタライ等に水をはって汗を流す行水は,昭和の半ばごろまであちらこちらで見られた夏の風景だ.

 手押しポンプでくみ上げられる井戸水は,とても冷たくて気持ちがよかったと聞く.「ヤカンでお湯を足して入りごろにした」との声も.家々で行水の仕方も異なるようである.

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目次

表紙のことば/今月の作品

次号予告

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 過日,第13回 作業療法ジャーナル研究助成対象選考会が開かれ,岩田祐美氏の研究が選ばれた.岩田氏の研究テーマは「活動・参加を促進する訪問作業療法の基準づくり」である.助成期間は3年間であり,助成金額は30万円である.研究経過については,次年の本誌に掲載する.

研究助成テーマ募集

Archives

学会・研修会案内

編集後記 中村 春基
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 歴史は動いている.日本作業療法士協会平成30年度定時総会において,協会が定める作業療法の定義が「作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である.作業とは,対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」と改定された.この間,多くの関係者から驚きや称賛,疑問等が寄せられた.印象はさまざまであるが,世界に通用する定義だと確信している.今後は本定義を柱に,作業療法がますます国民の身近に存在し,活用していただけるようにしていきたい.

 さて,本特集は「今,作業療法室でできること」である.この背景には,人,作業,環境にアプローチするOTの構造を鑑み,あらためて「環境」を見直し,作業療法を再考することがある.そのような意味で,山本,坂田,松本ら,早坂各氏の報告は,示唆に富んだ内容である.また,木下のスマートリハ室の報告は近未来の治療環境を考えるうえで参考となる.茂木の利用者の期待と視点は,一貫した作業療法の大切さを事例の言葉を借りてリアルに表現している.中間らの「リハビリテーション室を考える」は,病院そのものの構造がいかにあるべきかを紹介し,視点を広くする.

基本情報

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作業療法ジャーナル
52巻9号 (2018年8月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

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