連載 下肢慢性創傷への作業療法・第5回
下肢慢性創傷患者のリハビリテーションと作業療法士の役割
佐藤 浩二
1
,
加藤 恒一
1
Koji Sato
1
,
Koichi Kato
1
1大分岡病院
pp.964-969
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201419
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Key Questions
Q1:下肢慢性創傷患者に対する作業療法とは?
Q2:下肢慢性創傷患者の心身機能の特徴とその介入とは?
Q3:下肢慢性創傷患者に対する再発予防に向けた介入とは?
はじめに
下肢慢性創傷の予防に向けた運動療法やフットケアが注目されている.この背景には,糖尿病患者の増加によるところが大きい1,2).糖尿病が進行すると,周知の通り,さまざまな二次的疾病や障害を引き起こす.その疾病の一つに糖尿病性足病変がある3).糖尿病性足病変は,世界的な疫学的調査では,有病率1.5〜10%,発生率2.2〜5.9%,そのうち,7〜20%が下肢切断へ移行し,生命予後は不良であるといわれている4).しかし近年は,集学的治療の進展に伴い救肢率は向上し,リハ介入の重要性が示されている5).2016年度(平成28年度)の診療報酬改定では,腎不全期患者指導加算や下肢末梢動脈疾患指導管理加算が新設されたことも,この分野へのリハ介入に追い風となっているととらえる.
このような患者は複数の慢性疾患を抱えていること,また高齢者が多く認知症を併存していることも多いことから,大分岡病院(以下,当院)の下肢創傷センターでは,OTも集学的医療チームの一員として,この分野に積極的に介入している.
本稿では,下肢慢性創傷患者に対するリハと作業療法について当院での取り組みを紹介し,OTの関心の高まりを期待したい.
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