連載 作業療法を深める・第103回
パラリンピックブレイン—神経可塑性の表出形
中澤 公孝
1
,
河島 則天
2
,
秤谷 名鷹
2
,
彦坂 幹斗
2
Kimitaka Nakazawa
1
,
Noritaka Kawashima
2
,
Nadaka Hakariya
2
,
Mikito Hikosaka
2
1東京大学大学院総合文化研究科
2国立障害者リハビリテーションセンター研究所 神経筋機能障害研究室
pp.674-678
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590070674
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はじめに
パラアスリートは例外なく何らかの障がいを有する.障がいは先天性にせよ,中途にせよ,中枢神経系内に障がい由来の可塑的変化を誘導する.パラアスリートにおいては,障がい由来可塑性と競技トレーニング特異的可塑性の相乗効果が,障がいのないアスリートに比べていっそう著明な変化をその脳に生じさせる1).それらの長期にわたる相乗効果の結果が,障がい特異的かつ競技特異的な脳再編として表出する.
本稿前編2)では,大脳皮質部位局在の再編に焦点を当て,いくつかの例を紹介した.今回は,下肢障がい競技を取り上げ,①競技特有とみられる神経系再編の例,②障がい由来とみなされる神経再編の例,そして③パラ競技特有のクラス分けに関して残存神経機能と競技パフォーマンスの関連性について紹介する.

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