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はじめに
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は滑膜炎を病態の中心とする自己免疫疾患であり,人口の0.4〜0.5%,30歳以上の人口の1%が罹患するといわれている.どの年齢の人にも発症する可能性があり,日本では2020年代から60代の発症が最も多くなっており,高齢発症の関節リウマチにも注目が集まっている.15歳以下で発病する若年性特発性関節炎もあり,成人のRAとは症状も検査所見も異なっている1).
RAの治療は,基礎療法,薬物療法,手術療法,リハビリテーション医療の4本柱2)といわれているが,その中でも薬物療法は,アンカードラッグであるメトトレキサートの積極的な使用,生物学的製剤の普及,さらにJAK阻害薬の登場により大きく進歩した3).RA患者は低疾患活動性あるいは寛解の達成・維持が可能となり,健常者と変わらない生活を送ることができるようになってきている.
しかし,疾患活動性のコントロールが可能となった現在においても,変形や関節拘縮等が発生しないわけではない.RAの場合,手および手指関節に関節炎を起こす頻度が高く,関節炎が持続することで変形が完成してしまう.手指変形が完成してしまうと巧緻動作や把持機能が低下してしまい,ADLやQOLの低下につながるといわれている4,5).また,変形は痛みを伴うわけではないため,RA患者自身も生活の中でやりづらさを感じた後に手指の変形に気づくということを耳にする.そのため,変形が完成する前に作業療法士が,その微妙な変化に気づき,どのように対応していけるかが重要となる.特に「目標達成に向けた治療(Treat to Target:T2T)」の中の基本的な考え方(Overarching Principles)では「患者の長期的なQOLを最大限まで改善する」と記されており6,7),長期的なQOLの改善に向けて,予防的観点から早期からの自助具の導入が必要と考えられるようになっている.
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