検査と技術 48巻3号 (2020年3月)

増刊号 採血のすべて—手技から採血室の運用まで徹底解説

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 医療の根幹をなす臨床検査のなかで,検体検査の大部分を占める血液検体検査の重要性は論を俟ちません.そして,血液検体採取の手技である採血は,日常診療において昔から実施され,現在では最も高頻度に実施されている医行為の1つです.まさに,採血にかかわる知識や手技は,血算,生化学検査など多岐にわたる血液検査の品質・精度を保証するための礎であるといえます.また,採血は今や,検体サンプリングのプロフェッショナルである臨床検査技師の重要な任務ともなっています.

 一方で,採血は侵襲的な手技であり,リスクマネジメントの観点が極めて大切であるとともに,患者接遇面でも多大な配慮が必要となります.また,適切な採血室の運営は,患者サービスや病院機能評価・ISO 15189認定など,外部評価の観点からも極めて重要です.的確な採血ならびに採血室の運営は,臨床検査領域において大きな課題であるといえるでしょう.

Ⅰ 総論

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採血の歴史(表1)

 採血とは,文字通り“血を採る”ことであるが,その目的には大きく分けて

①患者の診断のために血液を採取し,それを材料として各種検査を行う(狭義の採血)

②輸血のために血液を採取する(献血)

③患者の治療のために血液を体外に排出する(瀉血)

の3つが挙げられる.

法令面からみた採血 千葉 正志
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法令における採血

 医事法制上,医業は医師の独占業務であり,医師の診療補助は看護婦,准看護婦などの独占業務とされていた.1970(昭和45)年に衛生検査技師法の一部を改正する法律(以下,改正法)の法規定が創設されたことにより,診療補助として行う生理学的検査および医師の具体的指示を受けて行う採血については,保健婦助産婦看護婦法の規定にかかわらず,新たに臨床検査技師も業として行うことができることになった.

 臨床検査技師にかかわる法律は,1958(昭和33)年4月23日に「衛生検査技師法」1)として成立したのが始まりであった.

Ⅱ 採血の実際

採血にかかわる解剖学 木森 佳子
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はじめに

 採血に使用する皮静脈は,肘窩部付近に多い.採血の合併症には神経損傷,動脈穿刺,血管迷走神経反応などがあり,医療事故のリスクを伴う.神経損傷,動脈穿刺を防止するには皮神経や動脈を避け,皮静脈のみを穿刺しなければならない.皮静脈は駆血によって皮膚表面への怒張によって目視できることもあるが,怒張に至らず目視できない皮静脈もある.皮神経と動脈はその走行を皮膚表面から目視することはできない.

 採血と静脈注射に伴う静脈穿刺において,新人の医療従事者は「経験すればわかるようになる」と諭され,十分とはいえない知識のまま経験を積み上げている.確かに“視診”ではわからない皮静脈を“触診”で捉え,穿刺に成功するようになれば“熟練した技能”とみなされ,臨床では重宝されるだろう.しかし,静脈穿刺による神経損傷を患者に負わせた裁判事例によると,静脈穿刺を実施した者はむしろ臨床経験があることが多い.実施者の法的責任が問われるのは経験の豊かさではなく,合併症を防止するための知識をもっていたか,苦痛を訴える患者の声に耳を傾け,危険回避行動がとれていたか,ということである.医療従事者にとって経験が重要であることは言うまでもないが,知識に裏打ちされた実践の積み重ねこそ,患者にとって必要な熟練である.

 本稿は,合併症を防止し,患者の安全を確保しながら採血の目的を達成するため,経皮的には十分観察できない肘窩部付近の皮静脈,皮神経,そして動脈走行の解剖学的知識と臨床での静脈穿刺技術を関連付けて説明している.どの位置の皮静脈に,どのように穿刺するのが適切か,解剖体の肘窩部付近を剝皮し観察した報告1,2)を中心に,以下の視点で説明する.

①Huter線と矢状線を軸とした4区域の肘正中皮静脈の走行パターンを知る

②危険な皮神経,動脈の走行

③各区域の皮静脈と危険な皮神経・動脈の走行

標準的な採血手技 東 克巳
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はじめに

 正確で精度の高い採血は担保された検査成績を提供するために不可欠である.血液は検体検査の材料として最も多く利用されている.血液一般検査や血液凝固学的検査では,血液が凝固していれば検査材料とはなりえない.

 採血の手技による不手際のため検査値に異常値が出た場合,検査過誤ではすまされない.採血手技の知識と技量に精通している医療従事者による検体採取が必要である.

 本稿では,標準採血法ガイドライン(GP4-A3)1)を参考に検体検査に欠かすことのできない採血について解説する.採血には必要不可欠な用具一式や患者接遇などがあるが,それらについては他稿に譲り,本稿では肘正中皮静脈や橈側皮静脈などの静脈からの標準採血法の手技を中心に解説する.

採血時のコツと注意点 服部 桜
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はじめに

 採血の基本的な方法や手技については別稿で触れられているので,ここでは実践に向けたコツや注意点について紹介する.

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はじめに

 静脈採血に用いられる器具・用具には,採血針,採血用ホルダー,注射器,採血管をはじめとして,消毒綿や駆血帯,分注器材,腕枕などさまざまなものが含まれる.それぞれにさまざまなサイズなどの種類があり,またメーカーによっても少しずつ特徴が異なるため,目的・状況に応じて適切な器具を使う必要がある.そのなかでも,ホルダーと注射器の使い分け,および採血針と翼状針の使い分けについては,採血法の選択にかかわるため,特に重要である.

 2019年3月に発行された最新の標準採血法ガイドライン(GP4-A3)では,採血器具を紹介する章の後に,新たに採血法の選択に関する章を設けている1).本稿では,特に重要となるホルダーと注射器の使い分け,および採血針と翼状針の使い分けについて,主にガイドラインの内容に沿って解説する.また,その他の器具・用具についても注意を要するものを取り上げて解説する.

採血管の選択と順序 三浦 ひとみ
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はじめに

 臨床検査は検体採取から始まり,なかでも採血は最も頻繁に実施されている採取方法の1つであり,血液を採取することにより検査できる項目数は年々増加している.診断や治療のために正確な検査結果を得るためには,検査目的に応じた採血管の選択,適切な採取方法,採血後の取り扱いが重要である.特に採血管には検査目的に応じた添加物が入っているものが多く,その機序を理解しておくことが正確な検査につながる.さらに採取の際には,添加物の混入や組織液の影響なども考慮した適切な採取が必要である.

Ⅲ 採血手技と検査値

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はじめに

 採血時の溶血や凝固は,検査室において最も身近に起こりうる検査値に影響を与える要因の1つである.適切な採血や検体前処理を行うことでその回避が可能であり,またその検査値への影響を理解することで,より精確な情報を臨床へ報告することができる.本稿のトピックは,採血時の溶血や凝固の原因やそれに伴う検査値の変動についてであり,主に血管外で引き起こる溶血および凝固を中心に述べる.

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はじめに

 採血前に血管を膨らませる目的で駆血帯を装着するが,この影響についてはあまり注目されていない.米国の採血ガイドラインでは,採血針を穿刺して血液流入を確認後,直ちに駆血帯を外すよう指示があるが,日本の標準採血法ガイドライン(GP4-A3)(以下,ガイドライン)1)では駆血したままの採血を認めている.この理由は明確には記されていないが,諸外国に比べ日本での採血本数が多いことが背景にあると考えられる.ガイドラインでは駆血後1分以内であれば影響は軽微としているが,実際には1分以上かかることも少なくない.また駆血帯を装着したまま手を強く握らせると,カリウムや乳酸が容易に偽高値となる.本稿では,駆血帯装着時の注意点や駆血や採血手技が与える臨床検査値への影響についてまとめる.

体位の影響 清水 慶久 , 市原 清志
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はじめに

 臨床検査は,臨床の現場で病気の診断,治療経過のモニター,予後判定に利用される.筆者らは世界規模基準値調査とともに,臨床検査値の変動についてあらためてより詳細かつ信頼性の高い結果が得られる条件で体系的に分析を行い,地域差分析,共有基準範囲の設定を行ってきた1)

 しかし,臨床検査の値は病態変動だけでなく分析前の条件でも変化し,分析前変動はさらに生理的変動と,測定技術変動に分けられる.分析前変動に関する研究報告は数多く存在するが,そのほとんどは検査値が標準化される以前のデータであり,また分析条件も不十分なものが多い2,3)

 臨床検査値の分析前変動については,採血前の体位が臨床検査に及ぼす影響はよく知られているが,立位から坐位,臥位から坐位など,体位を変化させてから,その影響がなくなるまでにどの程度の時間が必要かについては,これまで詳細に調べられていない4,5).そこで筆者ら6)は,科学研究費助成事業〔基盤研究(C)(課題番号:25460688)「臨床検査分析前変動の系統的再評価とデータ・レポジトリーの構築」〕を受け,健常者を対象に,体位の変化と時間を厳密に制御し,多項目にわたって臨床検査値の変動要因を解析し報告した.

 本稿では,筆者らの調査研究のデータをもとに,臨床検査値の体位の変動による影響について,その要因別に変動機序と,その影響を受けやすい検査項目を系統的に整理して解説する.また,採血手技が臨床検査の測定値に与える影響についても十分な配慮がなされなければ,正確なデータを臨床に提供することはできない.2019年に日本臨床検査標準協議会のガイドラインが改訂され,標準採血法ガイドライン(GP4-A3)が発刊された7).そこには,採血手技が血液検査の測定値に与える影響について,まとめられている.ぜひ,こちらも参照されたい.

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はじめに

 血糖,中性脂肪,リン,インスリン,コルチゾール,成長ホルモン,メラトニンなど各種血液生化学項目,特にホルモン系は日内変動,食事などさまざまな要因で影響を受けることは周知の事実である.また,性ホルモンは女性においては月経周期に伴い大きく変動するため日差変動が大きくなる.本稿ではホルモンの日内,日差変動で留意する点と,内分泌系負荷試験において影響しうる要因について概説する.

 なお,本稿での解説に先立って,保険診療で測定できるホルモンについて表1にまとめておく.フィードバック機構にある項目は,負荷試験で用いられる刺激性ホルモンや同時測定を行う際に有効なものをピックアップしているので,ぜひ活用してほしい.

抗凝固剤の影響 神山 清志
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はじめに

 臨床化学検査領域ならびに免疫検査領域における検体検査の分析試料は,一般的に血液が凝固したのちに遠心分離を行うことによって得られた血清が用いられる.逆に,血液検査やホルモンや特殊検査は,検査目的に応じた抗凝固剤が添加された専用の採血管を用いて試料を採取することが多い.また,臨床化学検査でも緊急検査や透析後の検査ではヘパリンを用いた血漿を試料とすることがある.

 本稿は,抗凝固剤についてその作用,使用目的,臨床化学検査に与える影響などを解説する.

採血後の検体保存の影響 田村 孝子
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はじめに

 検体検査は,良好な採血,正しい採血管,正しい攪拌に続き,正しい検体処理および保存によって初めて正しい検査値となる.採血後の検体に影響を及ぼす条件としては温度と時間経過,その他物理的な刺激などの要因も含まれる.これらを正しく対処し,本来の患者状態を反映した検査値を報告できるよう,検査室はその影響について理解し,追加検査の可否決定を含め適切な条件と期間内での保存が必要とされる.

 また,これらの検体への影響に関しては,臨床検査技師はもちろんのこと,実際に検体を採取し検査室まで搬送してくる医師,看護師,搬送担当者などその他職種のスタッフも知っておくべきことであり,検査部からの積極的な啓蒙活動も大切である.ここでは,採血後の検体保存において,①温度の影響,②時間経過による影響,③その他に分けて解説する.なお,本稿の概略を表1にまとめたので参考にされたい.

血液培養のための採血 大塚 喜人
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血液培養の目的

 血液培養は発熱の原因として,一過性,持続性または間歇性の細菌,真菌血症を惹起していると考えられる患者に対する検査であり,感染症診療において重要な検査の1つである.

 血液培養は細菌や真菌による感染症の原因部位の推定,原因菌の特定,治療抗菌薬の選択,治療期間の決定に役立つ重要な情報を与えてくれる.感染症のなかには問診や診察によって推定可能なものもあるが,血液培養はその確認や思わぬ感染症の特定につながることも多い.感染性心内膜炎やカテーテル関連血流感染症といった血流感染症では,血液培養が陽転し微生物を検出することが必要である.

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遺伝子関連検査・染色体検査の血液採取における留意点

 臨床検査における遺伝子検査は,①病原体遺伝子検査,②体細胞遺伝子検査,③遺伝学的検査(生殖細胞系列遺伝子検査)の3つの分野で行われており,これらを総称して遺伝子関連検査という.

 本稿では採血を伴う遺伝子関連検査(対象:血液・白血球,血清,血漿)にフォーカスし,採血時の留意点と採血後の検体の取り扱いについて述べる.なお,遺伝子関連検査・染色体検査の血液採取において共通した留意点として表1の他,下記の事項がある.

Ⅳ 採血合併症と予防・対応法

神経損傷 藤田 浩
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はじめに

 採血による神経損傷は,皮神経が皮静脈の表面を走行しているなど解剖学的理由により,従来不可避と考えられ,一定頻度で発生している.その理由をよく理解し,適正な採血手順を順守することが重要である.神経損傷の発生に対して適正な対応をすることで,患者不安を軽減させることにつながる.本稿では,神経損傷の機序,原因,病態,臨床的特徴,予防法,事後対応について解説する.

血管迷走神経反応 入江 仁
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血管迷走神経反応(VVR)とは

 血管迷走神経反応(vasovagal reaction:VVR)はストレス,強い疼痛,排泄,腹部内臓疾患などによる刺激が迷走神経求心枝を介して脳幹血管運動中枢を刺激し,心拍数の低下や血管拡張による血圧低下などをきたす生理的反応とされる.迷走神経運動枝は骨盤内臓器を除く全臓器に分布する.そのため,心拍数や血圧の変化以外にも嘔気,腹痛,発汗など多彩な症状を呈する1).具体的な誘因としては長時間の立位あるいは坐位姿勢,痛み刺激,不眠・疲労・恐怖などの精神的・肉体的ストレス,さらには人混みの中や閉鎖空間などの環境要因も挙げられる2).採血では坐位姿勢,穿刺による痛み刺激,穿刺されることへの恐怖,採血前に不眠や疲労があることなどが誘因となろう.

 日本赤十字社はVVRを表13)のように軽症と重症に分類している.徐脈や低血圧が遷延すると,一時的に全脳虚血の状態となるため一過性の意識消失をきたす.この状態を失神と呼ぶ.VVRとして突然失神を呈することもあるが,失神に至ったVVR症例の3分の2は表13)の軽症に示されるような症状が予兆としてみられるとされている4).仮に失神に至っても,臥位をとらせることにより頭部への血流は回復するため,速やかに発症前と同等の意識レベルまで覚醒する.しかし,徐脈などの反応が極めて重度であったり,失神した患者を周囲の人が坐位や立位のまま支えていたりすると,全脳虚血の状態が続くため,痙攣や失禁にまで至ることがある(失神性痙攣:syncopal convulsion).

採血に伴う職業感染 笹原 鉄平
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はじめに

 採血手技では,患者への穿刺から始まり,血液検体の分注作業や検体分析に至るまで,検査者が血液に曝露される危険が常につきまとう.特に穿刺針を保持している間には,より問題となる針刺し・切創が発生しうる.患者の血液中には,なんらかの微生物が存在する可能性があり,細心の注意を払う必要がある.ここでのポイントは,“全ての患者に対して注意する”ことである.一昔前には,B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)などが陽性の患者のみを“感染症患者”として個別に対応していたことを覚えている読者もいるかもしれない.しかし現在は“全ての患者が危険な病原体を保有している可能性がある”ことを念頭に,“全ての血液・体液は感染性のあるものとして扱う”ことを原則とする標準予防策(スタンダード・プリコーション)の実施が必須である1)

 したがって検査者は,全ての患者の採血手技に際して手袋を着用し,患者ごとに手袋を交換しなければならない2).もちろん,採血前・採血後の手指衛生(擦式アルコール製剤を用いた手指消毒)も忘れずに行う.大人数を対象に採血を行う場合に,患者ごとに手袋を換えずに手袋を着用したまま手指衛生を行う検査者がいるが,避けるべきである.血液が付着した可能性のある手袋を消毒するにはアルコールでは不十分なこと3),アルコール製剤によって手袋が劣化し破れやすくなって危険なことなどが理由として挙げられる.

その他の合併症 山崎 家春
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皮下出血(止血不十分)1)

 損傷した血管周辺に血液成分が徐々に拡散していく現象が皮下出血である.

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はじめに

 過去の医療裁判例を概観すると,採血を受けた者(患者や健康診断の受診者)が,採血の行為に過失があり,それによって損害が生じたとして,穿刺者(臨床検査技師等)や医療法人等を被告として,損害賠償を求める民事訴訟を提起した事案はこれまでに10件以上存在することがわかる.

 そこで本稿では,上記の採血に係る損害賠償責任の根拠について示した上で,本誌の主たる読者である臨床検査技師が穿刺者であった裁判例(手技上の過失に係る裁判例)の概要を示す.

Ⅴ 採血室の運営と工夫

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はじめに

 外来および健診センターなどの採血室で,採血業務を安全かつスムーズ行うためには,採血スキルが,最も重要であることは言うまでもない.しかし,採血手技が検査値に与える影響や採血合併症などの知識は重要であり,それらについては前稿までに解説をいただいている.2016年度の診療報酬改定での“国際標準検査管理加算”の新設に伴い,臨床検査の標準化を目指した認定取得や2018年12月の医療法等の改正に伴い,病院,診療所における構造設備,管理組織,検体検査の精度確保のために標準作業書や日報などの整備が求められ,採血室のマネジメントも重要であるとの認識が高くなっている.そこで,本稿では採血室の運営に関する視点で述べたいと思う.

 採血室でのマネジメントの必要性は,採血管準備装置が1991年に発売され,2000年頃から大学病院をはじめ多くの施設に導入されたことがきっかけと考えられる1〜3).2006年の診療報酬改定では,外来当日の採血データで診察することで1項目10点,最大5項目までの外来迅速検体検査加算が認められるようになった.これにより,患者は1回の外来受診の最新データで診察,治療,投薬を受けられるメリットがあり,病院の収益向上にもつながり,多くの病院で利用されている.

 臨床検査室の認定では.わが国でも2005年から国際規格ISO 15189(臨床検査室−品質と能力に関する特定要求事項)に基づいた審査が開始され,2019年9月現在186施設が認定されている.他にも日本医療機能評価機構による病院機能評価や国際的な病院機能評価であるJCI(Joint Commission International)認証があり,採血室業務の標準化が実施されている.これらの認証では,業務手順の標準化に加え,教育研修,力量評価などの検査室のマネジメントシステムを要求している.また,臨床検査の利用者(患者のみではなく,医師や看護師の医療従事者も含む)の要望を確認して,必要に応じて改善を検討する仕組みも求めている.大学病院などの多くの病院では,2010年頃までは採血待ち時間が長かったが,待ち時間を短縮する取り組みを実施して,検査結果の報告までの所要時間を1時間程度にする努力をしている4〜6)

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はじめに

 臨床検査室の国際規格であるISO 15189で求められている採血室に特化した設備要件として,“5.2.5 患者サンプル(試料)採取施設設備”がある.また,採血室の患者誘導を含む災害対応,システム障害時の対応も必要である.本稿では,ISO 15189の“5.2 施設及び環境条件”の要求事項のなかの採血室の設備の要件について解説するとともに,病院評価機構やJCI(Joint Commission International)認証との違い,当院における災害時/システム障害時の訓練について紹介する.

採血説明書と採血室の掲示 金子 誠
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はじめに

採血説明書と採血室の掲示の役割

 説明書や掲示は,“大事な情報をわかりやすく伝える”ために存在する.では,採血に関する説明書と採血室での掲示はどうあるべきか.もちろん,自施設の診療案内や採血室の待ち時間などを列挙しておくことは患者サービスとしてあるほうがよい.しかし本当に大切な情報は,採血前に被採血者(患者)に安全に実施するために確認すべき事項や採血に伴う合併症など,採血についての注意事項や詳細情報であり,これをわかりやすく知らせることで被採血者に安心感を提供することである.本来であれば,医師による説明がなされて,そのうえで被採血者が医療行為へ同意(自ら決定)するのであるが,現在のわが国の医療環境の制約により,個々の採血実施に関して被採血者の理解を十分に得ることなく実施されている可能性がある1).そのために採血説明書や採血室の掲示は,採血についての説明不足な点を補助する重要な役割を果たす重要な情報源であるべきである.

 採血に関するどのような情報を提供すべきか,標準採血法ガイドライン(GP4-A3)2)を参考に各病院で掲載内容をよく吟味したうえで,採血の安全性を高めるための方法の1つとして説明書や掲示するのがよいと考える.具体的にどのような情報が提供されるべきか,また,その注意点についてまとめたので参考にされたい.

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はじめに

 「私,失敗しないので!」という医療ドラマでの決め台詞があるが,日常の患者に対する生体侵襲のある医療行為で最も頻繁に実施している採血では,失敗はつきものである.しかし,この採血失敗は患者への心証を損なう他,採血実施者のメンタルにも悪影響を及ぼすことは周知の事実である.そこで“失敗させないシステム”を考案し実践したところ,ある程度までは失敗率の低減ができた.失敗しないことにより,待ち時間の短縮,無駄な物品の削減ができ,病院運営にも貢献できた.また,さらなる失敗率低下を目指し,失敗の原因を特定し,個人に対して失敗原因に対応する教育への取組みも開始した.安心・安全な採血室を実現することが私たちの望む採血室であり,それを実現するための業務改善について紹介する.

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はじめに

 多くの施設で外来採血室の運営は検査部(科)の重要な仕事の1つになっていると思われる.しかも,その円滑な運営は患者に対する医療サービスの向上のみならず,診療や外来迅速検体検査加算取得の点から病院経営などに対しても重要である.また,患者アメニティー(快適さ)の改善や患者満足度向上の点からも重要である.

 現在,中・大規模病院では診察前検査は普通になっており,医師が的確な診察ができるよう円滑な採血および迅速な検査結果報告が求められることが多い.採血待ち時間を短縮することも重要であるが,同時に採血を安心,安全かつ的確に実施することも必要である.そのためにはいくつかの条件があるが,その1つに採血を実施するうえで必要な情報である患者固有情報がある.実際の活用例をもとにその有用性を解説する.

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はじめに

 患者の臨床検査全般に関する満足度は,採血の満足度と関連することが報告されており,採血室で提供されるサービスが,患者のなかの病院全体の満足度にかかわることが示唆される.特に採血待ち時間は患者の満足度に大きくかかわっていることが国内外で報告されている1,2).近年日本では,採血支援システムの導入,早朝採血時の採血者の増員,採血の予約制度導入などにより,採血待ち時間の短縮を達成した報告が多くみられる.これらの報告から,患者満足度を向上させるための採血待ち時間の短縮はある程度達成できているように感じられる.

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はじめに

 75g経口ブドウ糖負荷試験は,糖尿病前段階の耐糖能異常の発見,糖尿病の診断,および妊娠糖尿病のスクリーニング検査に欠かすことのできない,臨床上非常に有用性の高い検査である.被検者は空腹時に75gのブドウ糖溶液を服用し,その後経時的に採血を行い,血糖値,血中インスリン値,尿糖を測定する.

 東京大学医学部附属病院(以下,当院)では,外来患者の血糖負荷試験は外来採血室にて通常の採血業務と並行して実施している.依頼内容により採血開始から検査終了まで90〜300分を要するため,個々の患者によって採血回数が異なり,さらに検査開始時間は患者の来院時間によって決まるため,まちまちである.

 当院の1日の外来採血者数は1日平均で約970名であり1),外来採血患者の約90%は診察前検査であるため,採血開始時刻の8時10分から2時間ほどは患者が採血室に集中し,採血室の稼働がピークに達する.血糖負荷試験件数は年々増加傾向にあり,統計を開始した2008年は206件であったが2018年は508件で,全採血件数に占める割合はそれぞれ0.09%(206件/229,171件),0.22%(508件/226,728件)と増加している.

 血糖負荷試験は主に採血室専任スタッフが担当しているが,専任スタッフは他にも採血困難者や車いす患者,体の不自由な患者の対応,治験などさまざまな患者の対応を行っているため,必然的に血糖負荷試験への注意力が散漫となりやすい.特に採血患者数の多くなる午前中は,①採血業務の忙しい早朝の時間帯に血糖負荷試験採血が集中し,時間通りに採血ができない,②採血時刻に患者が不在の場合にスタッフが気づかず定時採血がなされない,③採血管の取り違いなど,さまざまなインシデントが過去に数件発生していた.この問題を解決するため,当院では通常の採血管供給システムに血糖負荷試験用の時間管理システムを追加し,運用を開始したのでご紹介したい.

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はじめに

 医療スタッフの多くは,医療現場は医療を提供する場であり,サービスを提供する場ではないと考えているが,近年では医療現場もサービス業と考える患者が増加しており,この考え方の差がクレームの要因となるのではないだろうか.

 接遇などの良し悪しを患者満足度調査という形で調査をした場合,患者の期待通りであるならば評価は“普通”であり,期待を上回った場合に“よい”という評価が得られ,下回ると“悪い”となる.期待を下回る理由の1つとして患者が感じる違和感があるため,その違和感を私たちスタッフが与えないということが大切である.

 そのためにも,正しい接遇を身につけ,患者だけでなくスタッフとの良好な関係性を築きたい.

採血室の安全管理 米山 里香
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はじめに

 採血室での安全管理は,採血に伴って生じる患者の合併症や採血者の針刺しの予防が最重要課題であるが,その他,採血に使用する物品などの衛生管理や患者急変時における緊急管理なども含まれる.前者に関しては,本特集の別稿で詳細に解説されるため,本稿では主に後者について概説する.なお,採血を行う現場としては,健診や献血など対象者が患者ではない場合も多くあるが,今回は病院の採血室での安全管理について主に述べるため,対象者を患者と表現する.

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はじめに

監視カメラの導入背景

 採血は多くの患者に日常的に行われる侵襲的な医療行為である.そのため,穿刺の痛みや合併症に加え,採血失敗や接遇に対して患者の不満が生じやすいプロセスである.こうした不満は時として苦情として寄せられることがあるが,事実関係を確認する場合に担当者の記憶に頼らざるを得ず,時として患者の主張と食い違う場合がある.特に採血に起因する末梢神経損傷を疑う症例では,穿刺直後の電撃痛の確認の有無や,穿刺箇所と症状の出現範囲が一致していることなどを正確に把握することが,その後の対応にとって極めて重要となる.また,こうした症状の訴えが採血後しばらくしてから患者から申し出られることがあり,患者とスタッフ双方の記憶が時間の経過によってさらに曖昧となって,事実関係の確認が困難になる場合がある.

 採血におけるこうした背景から,われわれは医療安全の確保を目的として,採血の状況を全て監視カメラで録画するシステムを構築した.本稿では,システムの構成ならびに記録した録画データをトラブル対応やスタッフの技量確認など採血室の管理に利用している東京医科歯科大学医学部附属病院(以下,当院)の取り組みについて紹介する.また,録画データの2次利用について今後期待することを述べる.

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はじめに

 採血患者および採血管の間違え防止対策として,三重大学医学部附属病院(以下,当院)においてもバーコードを利用した患者認証システムを運用してきたが,近年RFID(radio frequency identification)を用いた検体情報統括管理システム(Technomedica RFID Process control System:TRIPS)を導入する施設が増えている1〜3)

 RFIDは,ユビキタス社会の実現,高度情報サービスのツールとして期待される自動認識技術の1つである.業務改善やセキュリティー対策を実現するツールとして導入が加速している.RFID技術の発展や製品展開は目覚しく,製造,物流,小売り,サービス,交通などのさまざまな分野で,また個体識別,トレーサビリティ,環境への対応といった業務用途で重要な役割を担いつつある.バーコードのようにスキャナーを正確に当てる必要がなく,一つ一つスキャンする必要もない.また一度の読み取りで複数のICタグを認識できる特徴がある.

 当院では,外来棟移転時の2015年5月から医療安全性(採血患者および採血管の間違え防止対策)の向上,業務の効率化を目的としてRFIDを用いたTRIPSを中央採血室,検体検査室に導入した.導入効果が認められたことから,2016年2月からは,5部署の病棟にRFIDラベルプリンタとTRIPSを先行導入し,医療情報システム更新時の2017年1月からは全ての病棟(14部署)と救急外来にRFIDラベルプリンタとRFIDリーダー:iPod touch(RFID付き),RFID付きリストバンドを導入したので運用状況と効果について述べる.

付録 教科書には書いていない採血のコツ

翼状針の斜め持ち 杤尾 人司
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 翼状針を用いた採血は,痛みなどの不快感が少なく,不成功の確率が低いといわれている1).翼状針は通常,端を重ね合わせた二枚の翼を垂直に立て親指と人さし指でつまんで持つように設計されている(通常法:仮称“掌かぶせ持ち”).しかし,この持ち方で採血すると,血管を穿刺したことを示す重要なサインである逆血が両指の影となってリアルタイムに見えない.指を外して初めて逆血がないことに気付き,あわてて針を引き戻し,再度方向を変えて穿刺したり,あるいは逆血はあるが採血管に吸引できず,刺し過ぎたと考えながら少し針を引き戻したりするなど,あたふたとしてしまう.

 表題の,“翼状針の斜め持ち2)”とは,針先刃面は上に向けたまま二枚の翼の端をずらし,少し横に倒した状態で持つ方法をいう.翼状針を横から持つため,針先からチューブまで全体が見渡せ,血管を正確に穿刺したことを知らせる逆血がリアルタイムにモニターできる.

前腕内転法 杤尾 人司
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 一般的に採血では,患者は採血台に腕を差し出すが,その腕の掌(手のひら)はたいがい上を向いている1,2)

 これは,わが国の現在の医療状況を反映したものではないかと考えている.要するに,静脈採血は肘屈曲部の正中皮静脈から採取することが多いため,一度採血を受けたことのある患者は,採血される部位が見えやすいように常識的に屈曲側を上に向けて手を差し出す.あたかも,日本時代劇でみられる「お控えなすって」のワンシーンをほうふつさせる腕の姿勢だと筆者は感じている.そして,下手に出された腕から採血をする者として,こちらこそ謙虚にならなければいけない,と肝に銘じている瞬間でもある.

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 静脈血採血は一般的に肘窩の皮静脈1)から行われるが,100人に1〜2人(約1.8%2))はこの部位の血管が触れない.前腕部の内側を走行する皮静脈も細い.さて,手背の細い血管を選択するか1),あるいは神経接触のリスクを冒して手首の橈側静脈から採血するか,悩みどころとなる.

 このとき,前腕部の背面を探ると,隆々と弾性に富んだ血管が触れる.約7割以上の患者がそうである2).特に年配男性は多い.実は,前腕の背面を走行する尺側皮静脈の分枝が,静脈還流路のメジャー経路になっているのである.採血に適した血管であるが,背面という位置的な問題によって,正対したままの姿勢では患者に精いっぱい腕をねじってもらっても的確に穿刺することは困難だ.

駆血帯の下留め 杤尾 人司
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 駆血帯にはベルクロ®(面ファスナー)タイプもあるが,臨床現場ではシンプルで実用的な留め金の付いたゴム製がよく使用されている.駆血は差し出された腕に適切な圧力でゴム管を巻く作業であるが,スマートに採血を行うための“ちょっとしたコツ”がここにもある.外来採血室でてきぱきと作業をしている看護師は,駆血帯の金具を腕の背面で留めている.いわば“駆血帯の下留め”法である.

 この方法で行うと,腕の前面で留める通常法に比べ,

 ①駆血した残りのゴム管がぶらぶらしない.そのため穿刺時の集中力が増す.邪魔なぶらぶらゴム管を留め金具に絡める作業が省ける.

 ②(ゴム管を留め金に絡めていないため)採血終了時には,留め金を片手で簡単に外すことができる.動作が少ないため固定している針先の動きを最小限にすることができ,安全である.

 ③外したときに,ゴム管の跳ねる範囲が小さく,ゴム管が針に当たることはない.

などの優れた点がある.

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 穿刺血管は,できる限り太く,怒張した血管であることが望ましい1)が,駆血するだけで十分な怒張が得られるケースはそれほど多くはない.

 血管を怒張させる手技として,通常患者には手を軽く握ってもらうが,それでも容易に血管が確認できない場合は,手首から肘のほうに向けて前腕をマッサージしたり,2本の指で血管を軽くたたいたりする1).さらには,40℃程度に温めたビニール袋入りのぬれタオルで穿刺部を温めることもある1)

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 両側の肘窩部に採血可能な血管がない場合には,前腕または手背の静脈が採血に用いられる1)

 手背からの採血は,神経損傷のリスクが低く術者にとっては安心して行えるが,もともと肘窩の血管が細い方を対象とする場合が多いため,細い血管をいかに太くさせるかということ,ならびに移動しやすい手背の血管を穿刺時に動かないように固定することが,成功させる重要なポイントとなる.手背採血時には,拳の握り方とその角度に注意していただきたい.

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 皮下埋没型中心静脈ポートを留置中の場合や刺青を見せたくないなどの特別な理由がある場合を除くと,肘窩の血管が細く同部に採血可能な血管がない患者では,手背(手の甲)の血管も細いことが多い.わずか1〜2mmの場合もある.

 静脈採血を行うためのトレーニングファントムはあるが,これは血管径3〜4mmの健康な人を想定したものであり,初心者を対象としている.肘の皮静脈からは採血できるが手背からの採血ではおじけづいてベテランと交代する採血者も,いずれは手背採血を行わなければならないときがくる.

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 採血を始める前には,患者確認というリスクマネージメント上重要な最初のステップがある.システムの電子化によって患者間違いは激減したが,本人確認のために患者自身に姓名を述べてもらうことは依然原則である1)

 しかしながら,システムが出力した受付番号で患者を採血ブースまで誘導しておいて,

 「確認のため,名前を言ってください」

と,マニュアル通りに名乗らせる手法は,患者にとってはあまり好感が得られることではない.どこかオートメーション化された工場のようで,物として扱われているような気にもなる.

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 採血は,臨床検査技師が行う業務のなかで唯一,患者に観血的な痛みを与えなければならない特殊な業務である.体に針を刺すため,当然のことながら大なり小なり痛みが生じる.これを患者に与えながら業務することに嫌悪感を抱いている採血者は多いだろう.たとえ無難に採血できたとしても,患者には強い痛みを与えていたかもしれず,できれば,痛みは最小限にしたいといつも思っている.

 今回は,痛みを軽減するためのコツについて述べてみたい.しかしながら,提示するコツは採血成功のためのコツと裏腹の関係にあり,「標準採血法ガイドライン(GP4-A3)」1)をしっかり理解したうえで,失敗することはまずないと判断される太い血管のみに対して行ってもよい手技であることを付け加えておく.

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 触診で確認した血管を目標にして翼状針を用い慎重に穿刺したが,逆血がみられない.“あっ,”と,突然背中に冷や汗をかく瞬間が時にある.今回はこうした逆血がない場合の原因と対処法について述べたい.

 その原因として,①皮膚は穿刺したものの,血管には命中しなかった場合,②血管に命中してはいるが,静脈圧が低いため十分量の逆血が見えなかった場合,③血栓が充満した静脈を穿刺した場合,の3つのケースが考えられる.

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 順調に採血できていたが,突然に,あるいは徐々に血が止まり,採血できなくなることがある.背中に冷や汗をかきながら頭のなかであたふたするシーンだ.しかし,困った様子を患者に見せてはいけない.こんなときも,ベテランは何事もなかったように無難に切り抜けている.今回は,実施途中で採血できなくなった場合の対処法について述べる.

 その原因は,①供給する動脈の血流量が少ない場合,②針先が血管壁などでふさがれてしまう場合,③陰圧ではない採血管で採血しようとした場合,の三つのケースが考えられる.

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 血管迷走神経反応(vasovagal reaction:VVR)とは,心理的不安を抱きながら極度に緊張した際に,一時的に気分不快,冷汗,顔面蒼白,失神などが生じることをいう.正確なメカニズムは不明であるが,迷走神経の興奮による血圧の低下や徐脈により,脳貧血を起こすと考えられている1)

 静脈採血時には,針が刺さることへの恐怖や痛みに対するストレスが原因となって,しばしばVVRが生じることがある.その頻度は1%未満とされているが1),多数の採血を行っている外来採血室では,決して小さな値ではない.

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目次

基本情報

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検査と技術
48巻3号 (2020年3月)
電子版ISSN:1882-1375 印刷版ISSN:0301-2611 医学書院

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