増刊号 採血のすべて—手技から採血室の運用まで徹底解説
Ⅴ 採血室の運営と工夫
採血説明書と採血室の掲示
金子 誠
1
1東京医科大学臨床検査医学分野
pp.320-323
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207927
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はじめに
採血説明書と採血室の掲示の役割
説明書や掲示は,“大事な情報をわかりやすく伝える”ために存在する.では,採血に関する説明書と採血室での掲示はどうあるべきか.もちろん,自施設の診療案内や採血室の待ち時間などを列挙しておくことは患者サービスとしてあるほうがよい.しかし本当に大切な情報は,採血前に被採血者(患者)に安全に実施するために確認すべき事項や採血に伴う合併症など,採血についての注意事項や詳細情報であり,これをわかりやすく知らせることで被採血者に安心感を提供することである.本来であれば,医師による説明がなされて,そのうえで被採血者が医療行為へ同意(自ら決定)するのであるが,現在のわが国の医療環境の制約により,個々の採血実施に関して被採血者の理解を十分に得ることなく実施されている可能性がある1).そのために採血説明書や採血室の掲示は,採血についての説明不足な点を補助する重要な役割を果たす重要な情報源であるべきである.
採血に関するどのような情報を提供すべきか,標準採血法ガイドライン(GP4-A3)2)を参考に各病院で掲載内容をよく吟味したうえで,採血の安全性を高めるための方法の1つとして説明書や掲示するのがよいと考える.具体的にどのような情報が提供されるべきか,また,その注意点についてまとめたので参考にされたい.
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