増刊号 採血のすべて—手技から採血室の運用まで徹底解説
Ⅲ 採血手技と検査値
採血後の検体保存の影響
田村 孝子
1
1東京女子医科大学病院中央検査部検体検査室
pp.262-267
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207917
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はじめに
検体検査は,良好な採血,正しい採血管,正しい攪拌に続き,正しい検体処理および保存によって初めて正しい検査値となる.採血後の検体に影響を及ぼす条件としては温度と時間経過,その他物理的な刺激などの要因も含まれる.これらを正しく対処し,本来の患者状態を反映した検査値を報告できるよう,検査室はその影響について理解し,追加検査の可否決定を含め適切な条件と期間内での保存が必要とされる.
また,これらの検体への影響に関しては,臨床検査技師はもちろんのこと,実際に検体を採取し検査室まで搬送してくる医師,看護師,搬送担当者などその他職種のスタッフも知っておくべきことであり,検査部からの積極的な啓蒙活動も大切である.ここでは,採血後の検体保存において,①温度の影響,②時間経過による影響,③その他に分けて解説する.なお,本稿の概略を表1にまとめたので参考にされたい.
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