増刊号 採血のすべて—手技から採血室の運用まで徹底解説
付録 教科書には書いていない採血のコツ
前腕内転法
杤尾 人司
1
1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部
pp.365
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207937
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一般的に採血では,患者は採血台に腕を差し出すが,その腕の掌(手のひら)はたいがい上を向いている1,2).
これは,わが国の現在の医療状況を反映したものではないかと考えている.要するに,静脈採血は肘屈曲部の正中皮静脈から採取することが多いため,一度採血を受けたことのある患者は,採血される部位が見えやすいように常識的に屈曲側を上に向けて手を差し出す.あたかも,日本時代劇でみられる「お控えなすって」のワンシーンをほうふつさせる腕の姿勢だと筆者は感じている.そして,下手に出された腕から採血をする者として,こちらこそ謙虚にならなければいけない,と肝に銘じている瞬間でもある.
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