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はじめに
外来および健診センターなどの採血室で,採血業務を安全かつスムーズ行うためには,採血スキルが,最も重要であることは言うまでもない.しかし,採血手技が検査値に与える影響や採血合併症などの知識は重要であり,それらについては前稿までに解説をいただいている.2016年度の診療報酬改定での“国際標準検査管理加算”の新設に伴い,臨床検査の標準化を目指した認定取得や2018年12月の医療法等の改正に伴い,病院,診療所における構造設備,管理組織,検体検査の精度確保のために標準作業書や日報などの整備が求められ,採血室のマネジメントも重要であるとの認識が高くなっている.そこで,本稿では採血室の運営に関する視点で述べたいと思う.
採血室でのマネジメントの必要性は,採血管準備装置が1991年に発売され,2000年頃から大学病院をはじめ多くの施設に導入されたことがきっかけと考えられる1〜3).2006年の診療報酬改定では,外来当日の採血データで診察することで1項目10点,最大5項目までの外来迅速検体検査加算が認められるようになった.これにより,患者は1回の外来受診の最新データで診察,治療,投薬を受けられるメリットがあり,病院の収益向上にもつながり,多くの病院で利用されている.
臨床検査室の認定では.わが国でも2005年から国際規格ISO 15189(臨床検査室−品質と能力に関する特定要求事項)に基づいた審査が開始され,2019年9月現在186施設が認定されている.他にも日本医療機能評価機構による病院機能評価や国際的な病院機能評価であるJCI(Joint Commission International)認証があり,採血室業務の標準化が実施されている.これらの認証では,業務手順の標準化に加え,教育研修,力量評価などの検査室のマネジメントシステムを要求している.また,臨床検査の利用者(患者のみではなく,医師や看護師の医療従事者も含む)の要望を確認して,必要に応じて改善を検討する仕組みも求めている.大学病院などの多くの病院では,2010年頃までは採血待ち時間が長かったが,待ち時間を短縮する取り組みを実施して,検査結果の報告までの所要時間を1時間程度にする努力をしている4〜6).
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